クリスマスケーキ④
四話 誰が、何のために…
クリスマスの景色から一転、年末年始の景色に代わり、ショッピングセンター内にはお正月の音楽が流れ出している。
豪からその後、メールで届き「警察にケーキの事、脅しととられるようなメモを見せてケーキには毒は入ってないのと…筆跡も誰の者かを探しますと言ってたよ…」
と言う文面で来て、例の名木田の事で
「名木田君が持ってきた箱だけど、バイトの娘に確認したら、確かに白い箱を持ってきたけど中身はケーキじゃなく、クッキーが入ってた」
「クッキー?」
「そう、クッキー…ウチの店の箱に、養鶏場の社長の奥さんが、クリスマスだからプレゼントとして、俺達に手作りのクッキーをプレゼントしてくれた…確かに、仕事の合間に二枚位クッキーを食べたのを覚えてる…後の残りは従業員達が食べたみたいだけど。」
クッキーだったか…紛らわしい。
それと気になった名木田と言う人物、繭のストーカーだったと言う過去の事を聞いてみた。
「ちょっと、カメラに映っていた名木田君、もしかして、過去にストーカーとかで警察に捕まったとか、そんな話を聞いたことがあるかい?」
「それはどうだろう…ちょっと探ってみるよ」
とメールでの会話を終了をした。
もう少して連休、僕と繭は大晦日と正月の準備や買い物、連休の予定などを相談をして、あのクリスマスケーキの事を忘れかけていた頃、豪から電話が、名木田の事と警察から気になった話があって詳しくは店で話をすることにした。
店を閉めた頃、豪の店で、
「どう?何か分かったの?」
「まず、名木田君の事…やっぱりストーカーで一度警察に注意をされているよ…プライバシーの保護で詳しくは教えてくれなかったけど、やっぱり繭ちゃんのストーカーをしていたというのは間違いないかも…」
やっぱり…あいつだったか…
「あと、それと…ケーキの話で…警察がちょっと気になった事を話したよ」
「えっ、どんな事で?」
「ケーキには毒が含まれていないっと、言ってたのは分かるよね…しかもそのケーキはコンビニに売られている商品、だけど箱は俺の店の箱…警察が気になったって言ったのが、ケーキの上に細かい欠片が降りかかっていたって。」
「細かい欠片って、それはコンビニの店に聞けば分かるんじゃ…」
「警察もとりあえずコンビニから同じケーキを買って見比べて、そのケーキには小さな欠片があった…店に確認したら、商品にはその様な食材は振りかけていないそうだ。」
「じゃ…毒でも無けれ、ばわざわざ振りかけているものは何?」
「それが、おそらく…クッキーの粉じゃないかなって」
「クッキー?」
「そう、警察の人がお宅の商品にクッキーをだしてますか?だって…その質問に対しては、クッキーは出してないですね…って、言ったんだ、警察がケーキの箱全体にクッキーの様な欠片が沢山あったんですって」
「えっ!それって…もしかして」
「そう、クッキーは間違いなく名木田さんの奥さんが焼いてくれたクッキーだろうね…あの時全部食べちゃったから調べることはできなかったよ。」
「じゃ…そのクッキーの箱を空にして、コンビニのケーキを入れたと言う事になるのか!…それが本当なら誰が入れたんだ?」
「ウチの娘達を疑いたく無いけど…当時、何時もいるバイトの娘2人で笹木 紗奈と立石 瞳で、2日だけのアルバイトの娘が1人山下 朋美何時ものバイトの2人は、レジとケーキ造りの手伝いをしてもらい、臨時の娘は出来上がったケーキの箱詰めをお願いしていた。」
「あの娘」
と豪は奥にいる女性に指した。
少しポッチャリとした、いかにもお菓子大好きそうな女性。
「もしかして、その臨時の娘?」
「俺はケーキを作っている場所とケーキを箱詰めする場所は同じだし、俺がその場に居なくっても他のバイトの娘も同じ場所に居るから、あのケーキを入れるのは難しいと思う。」
確かに、仕事をしても少しでも変な動きをしていると誰かが見て注意するはず…
「その臨時の娘って、どうやって雇ったの?」
「紗奈ちゃんの友達だよ、クリスマスは忙しいからね…誰か紹介を頼んだら紗奈が連れてきたよ、朋美ちゃんは結婚して年末に旦那さんと子供を連れて旅行に行くお金の足しに、俺の所にバイトしに来たんだ。」
一体誰がこのケーキを箱詰めしたのか?
「それと…一茂にケーキを渡したのは紗奈ちゃんだっただろ?あの時、一茂に渡すケーキを間違えないようにピンク色の付箋に星マークを付けていたんだよ、だけどその付箋はあのケーキに付いていた。」
それを聞いて僕は驚いた。
「じゃあ、あのケーキは僕に渡すために仕込まれたのか?」
「恐らくな…」
確実に僕が狙われてたのか…
五話へ続く