クリスマスケーキ②
二話
クリスマスケーキの下のメッセージは誰が
クリスマスイブの夜は幸せ?…
あのケーキ事件が無ければ本当に幸せな夜だった。
いや、婚約をOK!してもらったのだから幸せな夜になったんだな、あの事件があって逆にインパクトのあるプロポーズになった。
僕の携帯に豪からの電話、
「もしもし、豪か?どうした?」
「一茂…昨日のケーキの事だけど、ケーキの下にメッセージ有ったの気づいてた?」
「えっ?メッセージ?僕と豪で考えたケーキのメッセージ?」
「じゃなくって、あの誰が作ったか分からないケーキの下にメッセージカードがあったんだよ!」
「本当?」
「電話で話しても伝わらないから、まず、今日仕事終わってから店に寄ってくれ!」
メッセージカードって、僕のケーキじゃなく間違って渡したケーキなんだから、間違いなく渡すべき人のケーキだからメッセージカードは違う人へのメッセージ…だから、僕には関係ないはず…まっ、豪が「来てくれ」と言うのだから、何かあったのだろう。
仕事を終えて薄暗くなる街なかクリスマス2日目、まだ人々はクリスマスでキラキラとした街中、豪のケーキ屋も2日目忙しそうだ…。
閉店近く店の忙しさも落ち着いた頃、店へと入り、豪に会って挨拶も無く一言め僕は
「その、手紙の内容はどんなの?」
「あああ、見てくれ」
ケーキの下に入っていたのは白い何も書いていない便箋、その便箋には四つ降りになってケーキの下に入っていたようで、豪は書いていた内容を見て驚いた。
『一茂、結婚なんて許せない!あなたが幸せになるのは許せない!』
僕の名前…違うのか他にも一茂と言う人がいるのか?
豪が「このケーキ、コンビニで売られているケーキだった…その上にウインナーと指輪…この指輪って、何処の指輪だろうな…」
「どっかで見た指輪だと思ってた…」
「どっかで?」
「元カノに渡した指輪」
「えっ、元カノってもしかして朋子ちゃん」
「あああ、朋子…でも朋子は」
「朋子ちゃんは亡くなったよね」
僕は指輪を取って見て、
「亡くなって5年になるかな…勘違いか…指輪だって、似ているデザインだろ」
僕と朋子は中学生からの同級生…もちろん豪も朋子の事も知っている。
成人式に朋子と出会って数回、会話も趣味も合い付き合うのに何の問題もなかった。
小柄でショートヘヤーの似合う朋子何処に行くにも一緒、趣味である映画も一緒…買い物も何も一緒。
朋子の両親にも挨拶できる仲までにもなった頃、朋子は体調を崩してしまった。
最近まで、元気に過ごしていたのに突然激しい痛みを訴え病院に診察をしてもらった結果、ガン…ステージ4
僕は朋子のガンを受け入れる事ができなかった。
それどころか、辛い治療で僕は見舞いに行っても、まともに世話が出来なく…実際、辛いのを我慢している朋子をどの様に接して良いのか分からなくなってしまった僕がいて、それに気づいてしまった朋子は僕が見舞いに来る度、喧嘩となり朋子の方から別れを告げられた。
本当であれば、最期まで見届けるのが良かったのだろうけど、それが出来ない自分がいて、悔いを残してしまった。
それから数ヶ月の後、朋子は亡くなってしまった。
「でも、このメモは何だろう?従業員に聞いても、一茂のケーキの隣に置いていた誰が?…ケーキはコンビニのケーキだけど、このケーキの箱はウチの店の箱…誰が移し変えて、ここに置いたのか?」
「わざわざコンビニのケーキを買って、僕と同じ名前のメッセージと…ん!こ指輪…!」
僕は指輪を見て驚いた
「どうした?」
「指輪の内側に刻印が彫ってる」
『kazushge & Tomoko』
「これ、僕と朋子のペアリングだ!」
「えっ、マジ!」
僕は指輪の刻印を豪に見せた。
「確かに、彫ってある…でも、この指輪がケーキの中に入れてたのか?それに、朋子ちゃんが亡くなっているのに、イタズラでケーキに入れて、しかも脅しのようなメッセージ…」
「僕が繭にプロポーズをするのを知っている人…お前か!」
僕は冗談で豪に人差し指を指した。
「じょっ!冗談よしてくれ!」
豪は両手を胸の位置まで上げて、手のひらを僕に向けて降った。
この指輪と脅しみたいなメッセージ、筆跡は朋子の筆跡じゃない…ただ、女性の字ではないが、字に力が入っていて相当恨みを込めたような字だ、でも、誰がこのメッセージを書いていた入れたのか?
「豪…この字…筆跡には見覚えがある?朋子の字じゃないと思うし、もし、女性が力を込めて書いたとして、こんな荒々しい文字になるのかな?」
「ちょっと、癖のある文字だよね…右上がりの文字」
誰が、朋子のペアリングを持ち出したのか…
僕と朋子の関係を知っているのは誰なのか?
この癖のある文字は誰が書いたのか…
どうして、僕と繭の婚約の事を知っているのか?
僕の事を恨んでいるのか?
三話へ続く