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血の機構  作者: みーむあーる
Prologue Number.33
6/6

Ep.5.リクト値


彼は食器を退けた。

 

「凄い吐き気がして、脳が幻覚を起こし、魔法が使える体になり…その魔法で死ぬ。記憶が完全に復活したのはあれが世界を変革した瞬間、あれは……醜い何かを見た時の吐き気の様なものが、想像上の嫌悪から来るような何か、それが一挙に押し寄せてくるような吐き気がする」カプセルは薄暗いが生命活動、または必要最低限とでも言おうか、その程度の光は有していた。


「そうか」男は無関心そうに答えたがそれはまだリシャが赤の他人であった名残であり、こうして実際に会うのは初めてだ。



「………私は逃げてきた、あとは……わかるでしょ」



「体調はどうだ、元気か?」だからだろうか、謎の……久しぶりにあった親の台詞のように言い放ち席に座る。



「さぁ、知らないわ、医者が見たら嫌悪するでしょうね」



「?……何故だ」



「……本当に分からない?」



「………」



「身体の内部構造が……複雑だから」



「……まぁ、よろしく頼む、現実世界で…会うのは初めてだなハリソン」やはりよくわからなかったのか、二度目の挨拶を彼は行った、差し出された手に「ええ、そうね、キャストウット」当然のようにリシャは返した。



「……お腹は空いていないか?」実際の所、空いてはいないそして空いているとわざわざ言う必要もない。



「……何故かは分からないけど…空いていないわ」



「だが、二日も何も食べていなんじゃ?」



「……?あたりね、その通り」確かにその通りである、AREA109を抜け出してから何も食べていない。



「だとしたら何か食べよう、要望はある?」



「特に、ない」



「はは、困ったな、パスタは食べたことあるか」



「…………ない」



「そうか、今作ってやる、俺がな」



「電子製品で作ればいいじゃない」



「まぁ、それも一興ってやつだ」



「……おーまじかよ、麺がない、気分だったのに」



「ぷっ……」久しぶりの笑みを噛み締めつつ、未だに棚を漁るキャストウットを見ていた。



「なっ、人の家にお邪魔してるのに笑うんじゃない」



「ここが?ふふっ、ただのカプセルよ」



「暮らせているだろうが」



「そうね」



「あー、もうこれでいいか……そこの発電機にぶち込め」そう言って彼はリシャに投げ棄てると、入れろとハンドジェスチャー付きで命令した。



「二つとも?」



「ああ、そうだ」



「入れたわ」



「十秒待てば出来上がる、それ以上経つと爆発する」



「前に爆発したの?」



「……早く引っ張りだせ」爆発した事があるようでそれ以上は何も言わなかった。



「そう」



「早くっ!」



「爆発させたのが相当苦い思い出だったようね」



「黙っとけ、おら食うぞ」



「食器なんてあったの」食器棚から食器を取り出す彼の姿を見て驚いてしまっていたのは事実だったにせよ、いつもならいちいち感想など言わないやはり浮かれている。



「引き出し見てねぇのか」



「口調が随分解けて来たじゃない」



「もっと、もっとこうなんかこれからの話をしよう」



「例えば?」



「……ぁあ、HRDの改変には耐えられるかとか」



「まず、無理でしょうね……できたとしても…」



「しても?………なんだ?」



「まずは食べましょう、話はその後」彼女はスプーンを手に取った。




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