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血の機構  作者: みーむあーる
Prologue Number.33
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Ep.3.【AREA】-109-①

( *˙ω˙*)و グッ!もぐ( ˙༥˙ )もぐOrz アザ━━━━━━━━ス!

 私は30番台だ、周知の事実ではあったがエネルギー生成体だった。でも、今は違う、同接計画の実験体だ。 

 何回も記憶をフラットにされても地頭でVRの異次元空間が現実ではないと気がつき、施設から脱走し生成体から昇進したというべきだろうか、同接体になった。そして、何回もの記憶をフラットにされて何年か流れた。


 107が喋る、喋る、意気揚々と実験に行き、そして精神が病んで帰ってきた。そんな事だろうと思っていたが、これはこれでうるさい。


 VRの恐怖は様々だった、拷問、RPG、時代錯誤の200年前のホラーゲーム、自殺を意味不明な理由で強制させる意味のわからないゲームに、ただただ、意味不明の危険まみれの日常。でもそれらよりも現実の拷問じみた実験の方が百倍辛い。


 ATP型エネルギー生成機は、アドレナリンを85%のエネルギー変換率でエネルギーに変換できた。それには、多種多様な生命が存在するこの世界で人間以外には使えないものでこれはメタバースの技術を使ったエネルギー生成技術だ、21世紀後半、神経と外界を繋げられることが発覚してから、人間は夢に旅立った。


 金星は、人間の命の上に成り立っている。



「あの、なんで……い、痛いのに耐えられるの?」


「…………?」私は一瞬意味がわからず首を傾げて、107の眼を見た。少なからず喋れたのか、と驚きも含まれていただろうが、彼女は震える声で聞いてきた。


「あ、あえっっと………」


「もう少ししたら、私は蘇生機になる。だから……今死んだら全てが無駄になるの」


「そせいき?」


「人を、人を甦らせることの出来る、機械」


「でも、き、君は人だよ…?」


「そうね」







 

 その日はひどく暑かった、それだけが理由ではなかったにせよ、それは彼女を憂鬱な気分にさせるに十分だった。


 さっき彼女はまた拷問に連れていかれた。キッチリ整えられたシーツに数冊の本、数着の着替えと、精神安定剤、そして──聖書、彼女が言っていただけで決まった訳では無いのだが。たとえ平静を装っていても彼女は救いを求めているのだろうか。全三十九巻、その内一巻だけが彼女の身代わりかのようにベッドの中央にあった。


 その後彼女は頭を掻きむしり、寝返りを数回うった後、立ち上がった。当たりを見渡しても何も無い、彼女は持て余した時間を何に使おうか迷った挙句、「読むな」と言われた本を手に取った。


 

「??」



 だが見たことの無い文字に困惑を露わにして、ゴロゴロとする生活に戻った。ベッドからベッドにジャンプして本を重ねてタワーにする、そしてその上に乗ろうとして───盛大に転けた。


 床に頭を打ち付けたが立ち上がることもせず腹の上に乗った本を軽く叩くと良い音が出た。



「───」ノイズが発生した。



「ん?」



 ベッドの下からだった、毛布をどかして覗き込むとそこには白い発信機か何かがあった。


 周りを確認して手を伸ばす、思いの外長かった自分の手は発信機を獲ることが出来た。



 未知のものに心臓の鼓動が激しくなっていく、いや他にも理由はある、さっき落としたのを見たが無視した。先程の研究員が通信機器を落とした時に知らせられなかったのは落ち度だが、正直に申すならばどうでもよかったのは事実で、実際に今ここにあるものは明らかに潜在意識的観点から見て重要な物だった。



「AREA-107への潜入おめでとう、マードック博士。気分を害したかい?ああ、君の声はこちらに届かないそれはもう一度確認させてもらう」



 声だった、知らない声だ。優しそうで怖そうな声、私はマードックではないけれどと、107は満を持して聞いてやろうとベッドの毛布にくるまった。



「リシャ、ハリソンは同接実験をしているのだろうが……あと、数日から長くて一週間、いつでも構わない、奴が完全になる前に行動を起こせマードック」



 リシャ…?誰だろうか、彼女だろうか。ベルが13時だと知らせるが、そんな事を構わずに107はマードックに向けた言葉を聞く為耳にそれを当てた。



「それと出来ればだが───」牢屋の扉が開いた。



「ラットネス……、誰だ」足が噛み締めるように近づいてくるのが耳でわかる、ハチドリ並に早くなった心拍を必死に押さえつけようと枕を噛んだ。しかし、抵抗虚しく毛布を取られ手に持っていた発信機を落とすと、、男は鬼の形相で107を睨んだ、心臓の鼓動がさらに早くなっていく。白衣の上、首からかけられた-パート ウィンズロウ-と記載された名前表が揺れる、幾ばくかの時間が流れた後に、彼が口を開いた。



「ここから逃げたいか?」彼は手を、差し伸べた。









 推敲な使命に犠牲は付き物だ、ハッピーエンドの裏側に数々のBADENDがあるように、彼女ら生成体は実験に参加できたことに感謝すべきだった。悲鳴を聞く度に思う、こいつらは改心し始めていると、だからこそ嗤う。

 時代錯誤の英雄の名を冠す宗教のシンボルネックレスが煌めき、その祭壇に立とうとする33に賛辞の拍手を贈る、良かったではないかと、蛆虫を卒業できるぞと。



「おめでとう!言い残すことはあるかい?」それは哀れみから来る言葉ではなく蔑みから来る言葉なのは確かで、その証拠に、彼女と目を合わせようとすらしなかった。



「…………」彼女は笑った。



…………気に食わない、そう思いつつもそのレバーにかけた手を離さない、0,5、10、少しづつ彼女の周囲を重厚な機械が覆い始める。完全に覆い尽くすまで時間はかからなかった。


 そして────ブザーがけたたましく鳴り響いた、不快感たっぷりの最低の音色と今この状況に於いて起きたという事実が彼の精神を容易に崩壊させる。



「っ!?なんだっ!?…ウィンズロウは、パートは何処へ行ったぁあ!!」



 重厚な機械奥底から声が聞こえた、嘲りを大いに含んだ本音だが彼はその声を確かに聞き取ると、壁に立てかけてあったレールガンを装備し、奥へと走っていく。



 「出てこいリシャ、貴様は死ぬべきだ」マードックは右眼を取り外し、機械の前に置いた、その光景はお世辞にも不快感を得ることはないとはいえぬ光景だ。


 

「マードックッ!?」博士はレールガンにかけた指を迷わずその右目玉に撃ち込んだ。






《補遺-1》

AREA-109は協力な電波妨害があるよ!

だがら外からの受信は送れないよ!(一部をのぞく)

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