ほんとうの花
咲いているでしょう。
あの紫陽花の花は額なんだよ。
前に誰かが言っていた。
綺麗に見えるところが、
必ずしも花じゃないって。
花は、あまり見えないところに
あるのかも。
そんな感じ方も、紫陽花のことが
きっかけになっている。
あれは、アリスだったか。
その初期の頃、紫陽花という歌を
歌っていた。
失恋の歌だった。
あまり、知られていない歌を、
今でも覚えているのは、
紫陽花、だったから。
人それぞれ、ほんとうの花を、
気づかなくても、歌っている。
紫陽花の頃が過ぎれば、
夏が見えてくる。
どこか、心寂しい季節が
ひっそりと見えてくる。
ぼくは、そう思う。