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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
25/52

25.何か1つでも欠けてたら

「ほんとにほんとに、どうもありがとう!」


山羊の顔を持つ女性はあたしの両手を強く握りしめると、手を振って去っていった。


振り返した手を下ろし、一息をつく。

無事1つのカップルを誕生させることができた。


あれから数日、特になんの動きもない。

ルウとも顔を合わせていないし、セスは女の子とのデートで忙しいらしい。


あたしは依頼を受けて相談に乗ったり、ハートを撃ち抜いたりしてる日々。


「さて、帰りますか」

「おう」


隣で浮かんでるメルを見ると、彼も同意する。

もう夕暮れ時だ。


今日は依頼人が働いている城下町に来ていた。

いろんなお店が立ち並んでいて…雰囲気はそう、人間界でやってるハロウィンの飾り付けに似ていた。

黒や紫の建物、オレンジの煉瓦の道。


白を基調としている天界とは真逆で刺激的だ


「シャーロット!これあげるわ。クロエさまと食べて」


「わぁ!ありがとうございます」


とんがった耳を持つ、お菓子屋のおかみさんが茶色い袋を渡してくれる。


「おぅ、天使ちゃん!いつもパンダの相手ばかりでつまんないだろ。オレとデートしようぜ」


「考えとく〜」


赤黒い肌をした肉屋の主人をかわし、通りを進んでいく。


「魔界に馴染んで来たな」


メルが苦笑する。


キラキラ明るく賑わってる城下町を出ると、とたんに静かで荒れた大地になった。

町の発展にルウは力をいれてくれてるって、さっきのおかみさんは言ってた。

意外と人懐っこい気さくな魔界の人たち。


グランツと争うことで、皆や町が破壊されることをルウは心配している…。


「…俺はたまに考えるんだ」


唐突に口を開くメル。


「もしお前に弓矢が授与されていたら?のんびり、幸せにキューピッドとして天界で活動できたろう。銃を授与されても、あのまま天界に残っていたら?お前は辛い生活をしなくちゃいけないが、少なくとも命の危険はないだろう」


「…そうだね」


「俺はお前の守護獣として…命を危険に晒したくはないんだ」


「わかってる。でも、もしもはないでしょう。あたしに弓矢は授からなかった。今までのこと、何か1つでも欠けてたら今のあたしじゃない」


あたしは自分に言い聞かせるように噛み締めながら、足の階段を一歩一歩上がっていく。


「…対峙する気か、グランツと」


「…それは」


なんて答えようか迷ったその時、右端の草むらが紫色に光った。


光は丸い大きなもの。


階段を駆け上がり、岩の影に隠れて様子を伺う。


「魔法陣だ」


メルが低い声で呟いたとたん、魔法陣の中から、二本足の大きなサイのような姿のものが現れた。

手には石斧を持っている。

サイ男(男だろう、多分)が光の円から出ると、魔法陣はスッと消え失せた。


「グランツの手の者か?」


「…わからない」


あたしたちは歩き出すサイ男にそっと近づいていく。


男はどんどんと城の方向へと進んでいった。


そして、 あのビニールハウスの前で立ち止まった。

しばらく眺めていたけど、ビニールハウスに近づき、石斧を振り上げた。


だめ!あそこにはルウが育ててる大事な植物が!


考えるより早く、体が動いていた。


銃を出現させ、男とビニールハウスの扉の間に滑り込む。


石斧を振り上げる右手に黄色い光線を撃ち込んだ。


その手は拘束され宙で固まったけど、男は左手であたしに拳を打ちおろす。


それを咄嗟に左に飛んでかわし、左手を狙って撃つ。


男はギリギリそれをかわした。


「…お前が噂の天使か?」


「なんだ、言葉喋れるんじゃない」


あたしたちは睨みあった。


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