表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
19/52

19.頭の中のお花畑

「ただいまっと」


しばらくして、メルが戻ってきた。


「見つけたぞ、魔王の居場所」


「ありがと。どこに?」


あたしはバッドから起き上がり、洋服のシワを手で伸ばす。


「急に起き上がって大丈夫か?」


「もう大丈夫そう」


立ちくらみもなく、いつもの状態に戻ったみたいだ。


「で、この近く?」


「それが変わったところにいたんだよなぁ」


メルは珍しく歯切れが悪い。


「ビニールハウス?みたいな」


「ビニールハウス?」


「まぁ、いいや。行けばわかる」


あたしたちは連れ立って、窓から飛び出した。


城の裏手にまわると、広い敷地に白いビニールハウスのような建物があった。


「あの中?」


「ああ。1人でいる」


あたしは地上に降り立つと、入り口の小さな窓から中の様子を覗いた。


緑色のまっすぐな植物が膝丈くらいの長さで生えている。

この魔界で初めて見た、目を刺すように鮮やかな緑だ。

そこに、黒い魔王がいた。


屈んで植物に触れたり、何かをノートに書いたり、あちこちを確認するように視線を配っている。


「…何か用か」


こちらを見ずにルウが口を開いた。

バレてた…。


あたしはおずおずと扉を開け、室内に入る。

中はポカポカ陽気の天界みたいな暖かさだった。


そのまま、まっすぐ彼の元に進む。


「あの、ありがとう。助けてくれて。もう大丈夫みたい。お礼を言いたくて来たの。あと、これからよろしくお願いします!」


沈黙が怖くて早口で気持ちを伝える。


「お前をここに置くと決めたのはセスだ。セスに感謝するんだな」


ルウはペンを走らせながら、淡々と返してくる。


「…植物を育ててるの?」


あたしは話を変えることにした。


「そうだ。魔界の土地は岩場が多くて植物がなかなか育たないからな。こうやって実験をしている」


「そうなんだ…なんか意外」


素直にポロっと口にすると、ルウがちらりとこちらを見た。


「魔族は人間界に行って、人間を堕落させたり、憎悪や争いをばら撒いてる…って聞いたから。植物を頑張って育ててるなんて意外だなぁって」


あたしは言い訳をするみたいに、また早口になる。


「そうだ。それが魔族だ。だが、オレは魔王。魔王として、魔界の安定と発展が一番の仕事だ。この栽培がうまくいけば、魔界の者たちに新しい野菜を供給することができる。それを食べて、また人間界での仕事に力を入れてもらう。そういうことだ」


「へぇ〜凄い」


素直に感心して頷くと、ルウは大きなため息をついた。


「オレが望むのは魔界の安定。天使が1匹入り込むことで厄介なことになるのは御免だ」


「そ、それは…」


「セスはお前たち天使と同じくらい、頭の中がお花畑だから仕方ない」


うっ。


あたしとセスをバッサリ切って、彼は扉へと向かう。


そして、くるりと振り向いた。


「ここで生活する以上、気をつけろ。お前をめずらしがって歓迎するやつもいれば、その白い羽根をズタズタにしてやろうというやつもいる。ここは魔界だ。魔族の巣窟だ。そのお花畑の脳みそに叩き込んでおけ。油断するな」


あたしを指差し、警告をするとそのまま去っていく。


「口悪いけど…」


隣で浮かんでるメルを見る。


「心配してくれてるんだよね?」


「間違いなく、そうだな」


相棒も同意した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ