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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
18/52

18.彼とあたしの孤独

「そうなんだ…」


よっぽど父親の遺伝子が強いんだろうな…

3人は外見は本当に良く似てるのに。


「アタシたちの瞳の色、片方ずつ違うでしょ。これは魔力が強い魔族である証。上級魔族ってヤツなの。詳しくはわからないけど、ルウくんのママは下級魔族だったらしい。魔界のはずれでひっそりと暮らしてた…とか噂で聞いたレベルだけど。で、パパはお兄ちゃんが小さい頃から、魔王になるべく教育をしてたんだけどね」


クロエは眉間にシワを寄せる。


「お兄ちゃんあんな感じだから、全然ダメで。やる気ないし、面倒くさがりだし、女の子と遊んでばっかりだし」


あたしはさっきの魔族らしからぬ、ヘラヘラっとしたセスの笑顔を思い返した。


「そうしたら、突然、城にルウくんを連れてきたの。『お前たちの兄弟だ。こいつを次期魔王に育てる』って。アタシたち、凄いびっくりした」


「セスはそれで納得したのか?」


メルが尋ねると頷くクロエ。


「納得も何も、ラッキー!って感じ。ルウくんは真面目で、小さい頃からいろんな勉強をしてたよ。お兄ちゃんやアタシが好き勝手遊んでても、いつもパパのそばで魔王の仕事を学んでた。誰にも心を開いてなくて…孤高の存在って感じだった」


「そう…」


セスとは対照的に笑顔のない、冷たい表情のルウ。

魔王としてはそれが相応しく、正しいんだろうけど。


「だからね。魔王になった今でも、お兄ちゃんがああやって、『オレは真の後継者、第一王子でござい』って感じで物を言うと、ルウくんは絶対折れる。うん…いつもそうなんだ」


ルウの心境を考えて、少しぼんやりしてると、


「もう少しゆっくり休んでなよ。元気になったら、キューピッド執務室を作ってもらお?」


クロエは早口でそう言った。


「うん、ありがとう」


彼女が部屋を出て行ったあと、あたしは枕にぽすん、と顔を埋めた。


「…何を考えてる?」


しばらくして、静かにメルが問う。


「ルウに会ってちゃんと話したい。助けてもらったお礼も言いたいし…」


「…お前は天使だ。善の象徴だ。魔なる者とは気持ちが通じ合わないもんだぞ」


「通じ合わなくても、それでも。ありがとう、とかこれからよろしく、とか。そんな気持ちはちゃんと口にしたいよ」


メルはふう、とため息をついて押し黙った。

その、沈黙の後。


「守護獣として、お前を守る立場として、さ。シャロが傷つかない道を選びたいわけよ、俺は」


「わかってる。いつもありがとう。ごめん」


あたしは枕に顔を埋めたまま、ごにょごにょ言う。


「で、俺に魔王の居場所を調べてこい、と思ってる」


「なんでわかるの?」


あたしは驚いて顔を上げた。


「わかるっての。じゃあ、居場所がわかったら出発な。それまで休んでろ」


メルは片手を振ると、部屋の窓から出て行った。


メルが居なかったら。

メルが守護獣じゃなかったら。

あたしの孤独はますます深まっていただろう。


魔界のはずれから城に連れてこられ、知らない人たちの中での魔王教育。

好奇や嫉妬、そんな目もあっただろう。

笑顔も涙も封印して、ひたすら魔王の道へ。


ルウの孤独を想像して、目を閉じる。

あたしたち、わかりあえる気がするんだけど、な。

彼をもっと知りたい。

そんな風に思った。






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