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らぶがん いず べりぃぐっど。  作者: 源小ばと
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11.小さな黒い小悪魔

石の床に座るとお尻から冷たさが伝わってくる。

長く座ってるとその硬さに痛くなってきそうだなぁ…。


目の前には鉄格子の扉があり、見張りが2人、こちらに背中を向けて立っている。


あたしの右足首には鎖のついた足枷があり、膝の上にはまだ翼が治りきってないメルがいた。


あの場面で暴れても仕方ない。

あたしは大人しく連行され、こうして牢の中に入っている。


連れてこられた際にキョロキョロしたけど、どうやら城の地下は牢屋になってるようだった。

見た所、あたし以外は誰も入ってなかったけど。


「これからどうなるかね」


メルが低い声でつぶやく。


「そうだね…」


ここにずっと閉じ込められるのか、はたまた虐待か、拷問か。

天界へ連絡は行くんだろうか…。


牢には魔法障壁が貼ってあるようで、銃を出現させることは出来なかった。


「とりあえず少し寝て、体力温存するわ」


「お前はどこでも寝れるもんな」


感心と呆れの混じった声を聞きながら、床にごろりと寝転がる。


「ベッド以外では芝生や花畑でしか寝たことないのに

、よくこんなところで寝転がれるなぁ」


「苦手なものが少ないほど得するよ」


「だな」


あっという間に睡魔に取り込まれて、どのくらい時間がたっただろう。


「…ますっ」


「…じゃん」


ん…?


なんか話し声がする。


あたしはゆっくりと体を起こした。


「困ります、お願いですから勘弁して下さい」


「私たちが怒られますから」


屈強な見張りが2人、ペコペコと頭を下げてる。


ほとんど泣き声だ。


「アタシが良いっていってるんだから、いいのよ!」


じれったそうな女の子の声がする。


だけど、見張りの体に隠れていて、ここから姿は見えない。


「なんだろ?」


「さぁ」


あたしとメルは顔を見合わせる。


「ルウナリィさまに怒られますから、お帰り下さい」


ルウナリィ?あ、それでルウさま、か。


女みたいな名前ぇ。


あの憎らしい顔を思い出し、心の中で毒づく。


「あー、もううるさい!」


女の子は見張りの体を押しのけ、鉄格子の前にやってきた。


「へぇ…これが天使かぁ!」


長い黒髪を高い位置でツインテールにした、まだあどけなさの残る少女。

頭に小さなツノが2つ生えている。


紫と金のオッドアイを持つ美しい顔は魔王・ルウに良く似ていた。

間違いなく、妹だろう。


「で、それが守護獣かぁ。へぇぇ」


少女はあたしたちを上から下までジロジロ眺める。


「もうよろしいですか、クロエさま」


「お帰り下さい」


見張りが左右で声をかけるけど、彼女の視線はあたしたちに釘付けだ。


「ねぇ、貴女ってキューピッドなんでしょう?魔界で活動したいんでしょ?」


好奇心たっぷりの笑顔で尋ねてくる。


「どこでその情報を…」


見張りの1人が驚くけど、あたしも全く同感。


まっすぐここに連れてこられたのに。


「アタシに隠し事なんか無理よ」


少女・クロエは唇を尖らせたあと、再び微笑む。


「で、どうなの?カップルを作れるの?」


あたしは頷く。


「…それがあたしの仕事だから」


「そう!」


彼女は片手に持っていた、目がとれかけているボロボロのテディベアのぬいぐるみを振り回した。


「っ!?」


なに!?


次の瞬間、大量の白い煙が巻き起こる。

視界を遮られ、あたしは強く目を閉じてメルを抱きしめた。


ドサ、ドサッ。


鈍い音がする。


段々と煙が晴れて…その音は見張り2人が倒れたからだとわかった。


白い煙をまとった黒い小さな小悪魔は、その場に立っている。


「貴女をアタシがここから出してあげるわ」



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