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この異世界は優しすぎ!?  作者: 爈嚌祁 恵
55/57

55 森の大熊さん

ある~ひ~♪

もりの~なか~♪

くまさ~んに~♪

であ~った~♪

はなさ~くも~り~の~み~ち~♪

くまさ~んに~で~あ~った~♪


 軽やかなリズムとともに少女は森の中を歩んでいた。その片手には大きな生き物。がっしりとした頑丈な体格に、茶色の体に映える白い牙。巨木のようにも思える大きな四肢。その豪腕から放たれる拳は森の大樹でさえ小枝のようなものだろう。

 少女は自分の体格よりも数倍の大きさである巨大熊(ジャイアントベアー)の頭部を左手で掴み引き摺りながら、もう片方の手には小柄な武器を持っていた。その武器からは、まだ新鮮な赤い血が流れており、巨大熊を仕留めたのはこの武器であることが伺える。

 巨大熊の毛皮は高く売れる。なぜなら、かの熊の危険度ランクで示した数値はS。Aランク冒険者がパーティーを組んでいても倒せるかどうかというほどの魔物である。補足としては、Sランクがソロで挑んで五分五分と言った具合の強さだ。

 しかし、その巨大熊を片手で引き連れ、しかも当の本人は大した武器も持っていない。これがもし、彼女の右手に持っている武器が戦斧や大剣といったものであれば、少しは納得できたのかもしれないが、彼女はそうではない。現に彼女は碌な装備も整えておらず、小柄な武器というのもまた、どこにでも売っている農作業用の鎌だった。


「も~り~のく~まさんっ♪ どっこに~いる~? 探せ~や探せ~や、狩らせろや~♪」


 少女は笑顔でただひたすらに森の中を彷徨っている。

 少女の名前は大熊さん。かつて、この森の主であった獄大熊(ヘルベアー)の娘だ。獄大熊は数年前に人里に訪れた際に討伐されたのだが……流石は森の主、と言ったところだろう。

 かの魔物は数多の人間を屠っていた。しかし、相当に高い知能があるのか、村の住民には一切手を出さず、自身を討伐しようと企てている冒険者や盗賊・山賊といったものの前にしか姿を現さないのだ、どれだけ村人に変装していてもその違いがわかるようで、かの魔物に嘘は通じないとも噂されていた。そのおかげもあってか住民からは、森の守り神とも言われ、魔物であるのだが皆に親しみを持たれる守護獣のような立場にいた。


 その守護獣とも呼ばれていた獄大熊の娘が彼女。大熊さんである。彼女は獄大熊が討伐されると同時に姿を現し、森の新たな主の座についたのだ。新たな主がついた事で、人里では様々な噂が流れていた。


 曰く、新たな主は獄大熊の生き返りである。

 曰く、その強さは先代の数十倍である。

 曰く、新たな主に祝福されたものはSランク以上の冒険者になれる。

 曰く、新たな主は山のように大きく、凶暴である。

 曰く、新たな主は森から一歩も出ることはない。

 

 等、根も葉もない噂が多く広まっているのだ。

 当の本人はその噂話のことを、一時の流行りだろう、と一蹴しており、噂は広まる一方であった。


 そんな噂話が広まる中、大熊さんは今、森の中から出てきて、村の冒険者ギルドに立ち寄っている最中であった。


「にゃほ~今日の獲物ゲットだよ~」

「おぉ、今日もいいもん持ってきたなぁ!!」


 ギルドの受付のお兄さんとはすでに顔見知りのようで彼女の持ってきた獲物森猪(ウッドボア)と呼ばれるただの大きな猪を見て、彼は嬉々たる表情を浮かばせるのであった。


「いやぁ~あの生まれたての子鹿のようだった子が……今ではこんな獲物を……」

「もぅ! ザドルド兄!! いつの話してるのぉっ!!」


 頬を膨らませながらも慕っている兄のような存在のザドルドに接している態度は、先の森で巨大熊を片手に狩りをしていた姿からは想像もつかないものだった。明らかな様子の変化であるが、この村には彼女が森の主であることを知る者は居ない。よってこの村での彼女は『大熊さん』ではなく、『ただの村娘』という設定なのだ。


「いや、すまんすまん。このボアはいい個体だなぁ……うん、よし。血抜きもしっかりしてあるな」

「おいくらですかねぇ~?」


 ニヨニヨと口に手をあて頬をあげ、上目遣いで聞いてくる彼女はどこの誰が見てもうざいと感じる顔であっただろう。しかし、ザドルドはその顔をもう何百回と見ている。このやりとりもすでに恒例であり、その顔を見てもなんとも思わなくなっていた。


「うーん、今日のはボア五体だからな……これで、銀貨七枚と銅貨八枚ってとこだな」

「えー、おまけはー?」

「おまけしてこれだよ!! ほぼ毎日この量狩ってんだから、金はたんまりあるだろうがっ!!」

「えへへ~」


 なんだかんだで、どちらも楽しそうにやり取りをしていた。周りからはまたこの二人か……と生暖かい視線を向けられていたが、二人は気がついていながらもこのやりとりをやめる様子はなかった。

 ザドルドは仕事があるからと硬貨を渡すとすぐ仕事に戻っていった。こうして呑気なやり取りをしている彼だが、実は多忙な身であり、毎日夜遅くまで冒険者の帰りや生存確認に書類整理など様々な雑務から、ギルド内外の清掃やら片付けやらで寝る暇も惜しんで仕事に励んでいるのだ。周りからも彼は仕事のし過ぎだ、少しは休みを取らなければ倒れてしまうだろう、と言われ続けているのだ。以前の彼であれば、気遣いの意見にも耳を貸さずに仕事をし続けていただろうが、ここ数年、彼女と出会ってからの彼は大分落ち着いたのか、前よりも幾分かマシになっている。それでも、仕事人間であるのは変わりないのだが……


 ザドルドが仕事に戻るのを見て、彼女はギルドから立ち去った。硬貨を腰に拵えた袋に詰め込み、憲兵が見張っている門を素通りし、自身の家である森の中へと帰っていく。彼女に張り付いていた影もギルドから出てすぐの曲がり角で彼女を見失っているのだった。


 彼女の名前は大熊さん。獄大熊の娘であり、その能力を引き継ぐもの。彼女は村でこう呼ばれている。


 ――Sランク冒険者【農家】ナナシ



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「狩り」


 ウナは一言呟いた。

 

 ウナの家から歩いて数十分の大きな森【シェルヴァ大森林】は奥地に行けば行くほど凶暴な魔物の住処となっている。これは人里が出来る仕組みと同じ原理であり、どこの森の魔物たちも奥地に行けば凶悪度は増す。それは自然の断りであり、人と魔物たちの共存を可能にしているのはこの点だ。

 その大森林の入口付近にて、装備の確認をおえた三人が会議をしていた。


「えっと、ウナちゃん、獲物は何がいるんだい?」

馬鹿(ウマシカ)

「馬と鹿だな……」

「馬と鹿の中間」

「ほぉ、馴鹿(トナカイ)ではないのか?」


 ウナがいつもにまして馬鹿の説明をする。

 馬鹿は人の大きさほどの動物であり、馬の脚力であり頭部には鹿の角のようなものが生えている単純な生物だ。しかし、それゆえに、他の魔物からも見つかりづらく、不意打ちの一撃を喰らえば、耐久力に長けた大猪(ビッグボア)であってもひとたまりもないだろう。それは自分たちも同じで、大猪よりも弱い自分たちは相手からの攻撃には過敏に反応していかなければならない。その点、裕翔達にはウナがおり、万が一の事態は避けることが出来るだろう。


「警戒は怠らないこと」

「うん」

「おう」


 二人は些か緊張した面持ちで森の中へと歩みを進める。ウナはいつものように自然体であったが、その姿に隙はないように思えた。



 一方、その頃。



 ウナ宅では


「ん……ふぁッ! ちょ、ちょっと、まっまってぇ……そんな……いきなり……ふぇぇ」

「おい、水菜ぁ?」

「ふぁい!?」


 急に声を変えられて我に帰る水菜。なにをしていたのだろうか?


「何してんだ? そんなところで蹲って……」

「あ、あの、田中くんはこれ出来る?」


 そう言って水菜が指さした先にあったのは至って普通の洗濯機だった。


「ん~洗濯機じゃねぇの?」

「それがどうにも電気ではなく魔力で動いているようでして……」


 洗濯機の角には『魔力吸引型自動洗濯機』と書かれていた。


「魔力吸引型?」

「うん、なんかこう、気持ちいいような、擽ったいような。そんな感じのが身体全身を駆け巡るんだよぉ~私、耐えられなくて……」


 涙目になりながらも気持ちいいとか、擽ったいとか吸引されていた時のことを思い出しているのか顔がニヤけながらも助けを求めている様子の水菜に十は渋々洗濯機を使った。


「ここにこうして? んで、これで手を当てればいいんだな? お?」

「どうです……ん? 田中くん?」

「お、お、おお、お、おおおおお、おおお、おお、おお、お、おおおおお、お、お」


 十は小刻みに揺れていた。普通に洗濯機が回っている最中、彼は何故か洗濯機の上に立っていたのだから当たり前である。水菜はそれを見ていたが、十は立ってその揺れを体感したことで身体が揺れに揺れたのだ。


 結局、水菜が先に回していたこともあってか、数分魔力を吸われた後、洗濯は終わったようであった。


「ありがとうございました……助かりました」

「おう。俺は料理に戻るぜ? いいこと思いついたんだよ!」


 水菜がお礼を言うと、十は嬉しそうにそう告げてきた。少年がいたずらを思いついたかのような笑い方をしていたのだが、彼女にはそこを指摘する勇気はなかった。


「私はこれ、乾燥機にかけてきますね」

「おう。期待して待ってろよ!」

「はい……」


 若い男女がひとつ屋根の下で二人っきりでいるというのに、二人はこれといったフラグもなく、各自の仕事に戻るのであった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「佐藤……右斜め前だ」

「50メートル……」

「……わかった」


 善とウナから情報が飛ぶ。裕翔はそれをもとに敵の位置を把握し、一気に近づく。

 裕翔の振り上げた剣は重力と速度を伴い、目の前の獲物を真っ二つに切り裂いていく。今狩っているのは野生の野ウサギであり、そのもも肉はなべで煮込むと柔らかい食感と香ばしい匂いが特徴的な夜ご飯へと変貌するのである。要はつまり、順調に夜食を狩猟している三人であった。


「ふぅ……ウサギ肉……か、初めてにしては強烈だったかな……」


 裕翔の口からそんな言葉が漏れる。


「仕方のないことだろう……この世は弱食今日肉だ、自分の獲物は自分で狩る」

「……弱食強肉だよね?」

「弱食今日肉だ」


 若干言葉にニュアンスに違いを感じる裕翔であったが、彼の思考もそこで止まる。


「ウナ……?」

「解体」

「そ、そっか……」


 ウナは彼らの手前、慣れた手つきで野ウサギを解体していく。皮剥やら内蔵やらその工程を見てしまった二人はどこか感じていた常識感のような、日常が崩れ去っていくのを肌で感じた。もしかしたら、ウナはその感覚を感じて欲しくて、このような行為に及んだのかもしれないとは裕翔たちの後の意見である。

 だがやはり、この状況には耐え切れなかったのか、裕翔は軽く気分を悪くしていた。


「ご、ごめんね……情け……ないこと、ながら……これは僕には衝撃が強すぎたみたい……」


 なにせ裕翔は直にこの野ウサギが生きていた事を感じているのだ、見つかったとわかった時の焦りの表情、それに対する憤慨。しかし、決め手はあの野うさぎを切った瞬間だろう。彼は別に剣道をしていたわけではない。それゆえに彼の太刀筋はぶれており、野ウサギの身体を通る時、彼の剣はすんなりと切り裂けたわけではない。彼は野ウサギの筋肉や骨、内蔵というものをいやでも意識させられてしまったのだ。それを無理やり刃を通して断ち切るその手の感覚も……彼は初めて生きている物を殺したのだ。生にしがみつき、必死にもがくその様を間近で見ているのだ。

 ウナの解体作業にて見えた損傷箇所は彼がその手で断ち切ったものなのだ。常人ならばこの時点で、発狂するなりしてもおかしくはないだろう。裕翔はそれを押さえ込み、いつもの笑顔を顔に貼り付けていたのだ。それでもやはり、この作業を見てしまうと……彼の剣が重くなっていく感覚を覚えても無理はないだろう。

 このまま狩りを続けるか、それとも戻るか、この選択は重要なものであろう。


「帰る」


 ウナの判断では否と出た。彼はこのまま狩りを続けていれば壊れてしまうかもしれないとの判断だ。確かに彼の心理状況は極めて不安定だろう。元々現代日本人は殺しと程遠い生活を送っているのだ、そんな彼らが急に生きるか死ぬかの戦いの中に身を投じたところでそれは嵐に向かう漁船のようなものだ。荒波に揉まれに揉まれ、難破して終われることができれば良い方だろう。


「ま、まってくれ、僕はまだ、大丈夫、やれる……よ」


輝くもの(ベレヌス)


 ウナのつぶやきに呼応するように、彼女の纏っていたローブは全身を包むようにして覆いかぶさり、一瞬にして炎の塊へと変化した。炎をそれこそ数瞬、瞬きをしている間に消え、後に残ったのは先ほどの野ウサギだった。その表情はひどく歪んでおり、裕翔を睨みつけていた。


「あ、あっぁ、あぁ! ご、めん……うっ、ぅあ、ご、ごめんな、ごんなさい……んっ……ぐ、おぇ――」


 裕翔はその野ウサギの姿を見るやいなや、口を半開きにし、謝罪の言葉を並べていく。ついには、その重圧からか胃の中身を全て吐き出していた。

 その一連を見ていた善は野ウサギに向かって声を荒げる。


「おいっ! やりすぎだろッ! これじゃぁ……佐藤が……」


 その言葉に反応するように野ウサギはその身を再び炎に包み、数瞬の後ウナの姿へと戻っていく。


「勇者、あなたはもっと周りのことをよく、考えて」

「はぁ……っぁ、はっ……ぁあ……ぐッ」


 ウナはそれだけを言い残すと、ローブを翻し、森の出口へと歩いて行ってしまった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ウナが家に戻る頃には裕翔も冷静になったのか、とても暗い表情をしながらも落ち着いた様子だった。その姿を見て心配になるのは当たり前だろう。流石の十でも、どこか異様な雰囲気を漂わせている裕翔に気がつき、その上で何と声をかけたらいいのか考えあぐねていた。


「(なぁ、あいつどうしたんだよ……?)」

「(……まぁ、ちょっと色々あってな)」


 十と善はそのような視線を交わしていた。十には伝わっていなかったようだが……


「さぁ! お前ら! そんな顔してないで今は食え! 冷蔵庫にあった食材で作ったあり合わせだが、全部上出来もんだぜ!! ほらほら!」

「頂きます」

「おう、というかかよくこんな豪華な料理が作れたものだ。人は外見によらずとはよく言ったものだな……」


 ウナは十の勧めに従いたもぐもぐと食べ始めていたが、その表情はどこか嬉しそうにしているようだった。

 十が出した料理は多種多様であった。和風なものから洋風なもの、イタリアンやどこかの伝統料理のように見えるものも揃っていた。中でも目を引いたのは、何かの鳥の姿焼きだろう。醤油ベースのソースがしみた鳥肉は幻想的な焼き色を付け、胡椒の効いた甘くも刺激的な、香ばしい香りを漂わせ見るものを魅了していた。その主役を引き立てるようにして並べられた料理の数々もあり合わせとは思えないものばかりであった。

 それらの誘惑に一番に負けたのはこの家の主であるウナであった。


「んまぁ」


 ローストチキンのようなものを切り分けて口に放り込むとウナは普段のポーカーフェイスを崩す勢いで目だけを輝かせもっきゅもっきゅと肉を咀嚼して飲み込んでいた。その姿を見た他三人もそれぞれがローストチキンに釘付けになっていた。裕翔も食欲には勝てなかったのか、目の前のチキンを食い尽くさん勢いで凝視していた。


「さぁ、たんと召し上がれ!」


 十のその言葉とともに、彼らの枷は解き放たれ、豪華な料理の立ち並ぶ大海原へと喜々として飛び込んでいった。


「んっ、あぁ……」

「う、うまぁ……」


 水菜も善も切り分けられたローストチキンを一口、口の中へと放り込めば、彼らの口の中いっぱいに広がる香りとチキンの柔らかさに破顔するのだった。


「………………ぐっ、うぅ」


 同じく、ローストチキンを口にした裕翔は、涙を零していた。


「お、おいっ? 裕翔? 大丈夫か? まさか、まずかったのか!?」


「いや! いや、違うんだ……美味しい、とても美味しいよ」


「それなら、良かったが……なら、どうし――」


 それ質問をする前に、十は善に抑えられていた。十は不思議に思ったがその場は引き下がることにした。なぜなら、善の表情はどこか嬉しそうで、悪いことではないことが伺えたからだ。

 再び食卓は沈黙に包まれるものの、今回はどことなく暖かい静かな空気が流れていた。


「皆、ごめん、心配かけたね」


 その静寂を破ったのは裕翔本人だった。その顔に浮かぶ表情はどこか晴れやかで、自分の考えや思いに漸く整理がついたことが周りの目にもわかった。

 そうして、裕翔は今日起きた出来事を話し始めた。


「それで? もう、大丈夫なのか?」


 善はやはり、どこか語り草に影があることを察していた。どちらとも言えない表情であったが為に素直に聞いてみることにしたのだ。


「いや、正直あんまり、もう一度あのウサギをみたらどうなるかは分からない」


 善の問に対する答えは、あまりいい回答ではなかった。事実上の戦力外報告とも取れるからだ。


「でも――」


 その回答に続いた言葉は確かに彼の意思であり、考え抜いた結果出した答えでもある。


「寝てていい」


 余りにも冷酷無情に言い放った彼女の言葉はこの場の空気を凍りつかせた。


「おい! 蓼科! だからお前はっ!!」

「いいんだ。僕もこのままではダメだと思ってるから」


 裕翔はウナに言われたことに対しても傷ついた様子はなかった。寧ろ、その瞳に宿る炎は一層輝きをましたようにも思えた。


「課題」


 そんな彼にウナは課題を与えた。それの意味するところがなんであるかは彼女にしか分からないものであろう。なぜなら、他の四人は余りにも経験値が浅く、回答にはたどり着けないのだから。


「僕は何をすればいい」


 なんの文句もなく裕翔は彼女の課題を受け入れる様子だった。


「大熊さんに会い、認められる事」


「大熊さん?」


 ウナは言い放つ。それが正解であり、彼の為になると信じているから。


「探し出して、満足したら帰っておいで」


「満足……?」


 どこか優しい表情をしたように思える顔を浮かべ、ウナはそれ以降、チキンで口を閉ざした。

ぜ「おい……ローストチキンが三分の二くらい無くなってるぞ……」

み「えぇ!? 全然食べてないのに!!」

ウ「もっきゅもっきゅ」

ぜ・み「「あぁ!!」」


と「あ、チキンはおかわりもあるからな!!」

四「「「「神か!!」」」」


?「私もたべたかったなぁ~♪」

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