53 ウナの家
悠が街に着く少し前、丁度日が沈みかけた頃、悠と別れた裕翔達一行は街道を行った先にある集落についていた。
「なんとか、村? のようなところには付いたね……」
声から、大分疲れたような色を見せ、そう呟いたのは善だ。
彼だけではなく、ほかの三人も疲労しているようだった。特に水菜は唯一の女性なだけあり、既に満身創痍、これ以上動くのは厳しいだろうと思うのは十でさえも可能なくらいだ。十は、寧ろここまでよく持ってくれたものだと感心していた。
「さて、裕翔、村にはついたが……」
「ん、少し、様子が変……かな?」
村とも、集落とも見分けがつきにくい、この場所は彼らが想像していたものとは少し違っていた。
まず、人が住む場所には基本あると思われがちな畑という畑が一箇所も見当たらない。それに加えて、人の気配がしない。本当にいないというだけなら安心できるのだが、廃村というには母屋が綺麗すぎる。
「考えられるのは二つ……か?」
「いや、三つかな。村の人に警戒されているか、魔物や盗賊に襲われた後か、最悪なのはこの村自体が魔物である場合だね」
「……三つ目の根拠はあるのか?」
「人の生活感はするが、生活できるような環境ではない……と思う。実際にここで生活が出来るなら、食料は狩りに行く必要があるだろうし、そんなの……そうか、逆にここは……」
裕翔は話すうちになにか気になることに思い当たったようだ。善はまだ、特に気がついていないが、裕翔の思考が正解に近づいているような気がしていた。
「どうした? なにかわかったのか?」
そうなれば、善としては、彼の思考の手助けをするほかにはない。この面子では裕翔が一番賢く、頭の回転も早いのだから。
「あぁ、少し気になることがあったんだけど……あった」
裕翔は何かを探し、周囲の地面を見渡す。すると、その探していた何かを見つけたようだ。
「これは……足跡か」
「そう、多分、この村は何かしらのカモフラージュだと思う。この足跡の先に本物の村か、隠れ家があるんだと考えてる」
「カモフラージュ? 何に対するものなんだ?」
「それは……残念ながら絞りきれないね……」
そもそも、この村がカモフラージュであると確信したのはなぜなのか、そして足跡があると考えた推理、洞察力、どちらも、善には驚きのものであり、理解し難いものであった。
「この先、身の安全は保障できないけど、ここで野宿するのは嫌だよね……?」
裕翔はにこやかに微笑んでいたが、言っていることは脅しと同じである。皆も肯定の意思を持って首を縦に振るしかなかっただろう。例え、彼がここで何も言わずとも他三人がついていったことは確実だが、彼としては皆に少しでも危機感を持って貰いたかったのだと三人とも理解出来ているだろう。若干一名の不安要素はあるが……
「それじゃあ。行くよ。しっかりついてきてね」
そう言って、裕翔は先頭を歩いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
裕翔が先行して進み、ほか三人は後ろや周囲の警戒をしていた。だが、歩き出してすぐ、裕翔は皆に止まるように伝える。
「涼妹ちゃん? 蓼科 涼妹ちゃん……だよね?」
歩いて数分。距離にして五百から七百メートルほど歩いた頃。彼らの目の前にひとりの少女が現れた。
獣の耳。尻尾。それらを生やした少女の顔立ちは自分たちの知る彼女と全く同じであった。しかし、明らかに背は低くなっているし、どこか様子がおかしい。
彼らが歩いて来るのに気がついているはずなのだが、声を掛けるでもなく、ただ立っている。というよりかは彼らが近づいて来るのを待っている様子だった。
その彼女が口を開いた。
「何用だ、人間」
明らかな敵意を見せながら彼女は裕翔達一行に問い質す。その冷徹な視線に彼らは自分たちの知っている彼女とは別の誰かであると推測を立てた。
「えっと、佐藤 裕翔です。覚えてないのかい? 僕のこと」
ただひとり、裕翔は何を考えているのか、彼女に質問をするばかりであった。
「答えろ」
彼の質問には耳を傾けず、彼女は自身の出した問に答えよと圧力をかけてくる。
「裕翔、ここは任せろ」
意見を発したのは善だ。裕翔様の子がどこか可笑しいと感じた彼はすぐさま、自分が前に出て交渉役を変わると言ったのだ。
「あ、あぁ、わかった……」
どこか少し気落ちした様子の裕翔を下げ、善は一歩前に出る。
「何用?」
彼女はその威圧的な態度を一行に緩める気はないようだ。
「宿を借りたい」
「……いつまで?」
「今晩のみ、明日の朝方には出て行く」
「ご飯」
「出来ればあると助かる」
「味」
「……食べられるものであればなんでもいい」
善と目の前の涼妹と思われる少女との間で、短文ながら交渉が行われていく。
「うちでよければ」
「交渉成立だ。俺らは何を対価にすればいい?」
「金」
「日本円しかないが?」
「狩り、手伝い」
「あ、あ!私!!」
そう言って、声を上げたのは水菜だった。
彼女はこれまでの会話を一語一句ちゃんときき、このままでは自分は狩りの手伝いをしなければなくなると思ったのだろう。必至に自分は家事が得意だとアピールしていた。
「沢山ある」
「が、頑張ります」
「……わかった」
こうして、交渉は無事に終わった。正直、彼女の方に得があるようには思えないのが、この交渉の不可解な点ではあるのだが、善に取ってそれは後回し、取り敢えず、宿で休息をとらねば疲労の蓄積で水菜あたりが倒れると踏んでいたので、好都合ではあった。
「こっち」
涼妹のような少女に案内され、森の奥深く道なき道を歩いていくと、彼女の住んでいると思われる集落まで行き着いた。
「ここがそう」
集落の外れ少し先に行ったところに彼女の家は立っていた。周囲にある家よりも彼女の家は頭一つ抜け出していた。物理的に。
「なぁ、蓼科。この家。二階建てだよな……」
これには思わず善も顔に出して驚いていた。
「自分で立てた。頑張った。」
彼女は無い胸を反って自慢げに鼻を高くしていた。
それに、善はやっぱり蓼科なんじゃないかと心の中で彼女が涼妹であることが確定した瞬間でもあった。
「中、来て」
彼女は木と石で作られた、立派な家の玄関と思しき扉を開け、足早に中へ入っていった。
「行くか……」
今度は善が先行して、皆を連れて中へ入っていった。裕翔は依然、肩を落とした状態のままだった。
「リビング、キッチン、上が部屋」
彼女は言葉少なに、案内を済ませたのち、リビングのソファに腰をかけた。そして、どこからかコップう取り出し、中に水が注がれていく。注ぐというよりは急にコップの中に水が生まれるたように見えた。
「「「「っ!?」」」」
「? なに?」
彼女の表情はいたって変わらない。まるで、自分が変わったことをしている自覚が無いように思えた。
「今、どこからこの水出したんだ……?」
「普通に、ここ」
彼女が示したのは手前の空間そのものであり、善にはその一連の動作じゃ理解出来ず、結局はどういう事か聞く羽目になるのだった。
「水もだが、コップもだ。水はまぁ、魔法的なものでやったと仮定すればいいが……コップはどこから出したんだ……?」
「コップ? 取り出した」
「ど、どこから?」
「? もちろん……」
善が問い質したものは彼女にとっては当たり前のもので、彼らにとってはそれは以上のものであった。しかし、納得は出来る。
「ストレージ」
その言葉を聞いた瞬間。彼らの頭の中で、何かが弾け飛ぶような感覚があった。
鎖のような何か、目に見えないけれど、確実に彼らを縛り付けていた、そんな確信が今はある。しかし、その鎖も彼女の言葉で消え去ったような、その明らかな解放感を彼らは感じていた。
「皆、視界の左端にストレージ欄が出来ているかい?」
今まで肩を落としていた裕翔がそういった。
ストレージ。彼らは今までその存在に気が付いていなかった。というよりかはないものとして考えさせられていた。ステータスを見る時はステータス欄だけが急に目の前に浮かび上がるのだが、ストレージのようなものは明らかに見えていなかった。
このことから鎖の正体はわからないが、このストレージについて隠していたのではないか考えるというのは想像の範疇だろう。ほかにも何か隠しているのではないかと思うのも当然であり、その思考に行き着かない裕翔ではない。
「涼妹さんと僕らにはどこか違うところがあるのかも知れない……しかし、見た目以外には特に変わったところは無いように思える、となると……見た目の変化で言えば、悠も変化していたな。それに彼は自分の能力を使いこなしているようにも見えた。このステータスにはなにか――」
「――おい、これなら見れんじゃねぇか?」
裕翔の言葉を遮り、そう言って自分のステータス欄を見せてきたのは十だった。
彼は自分のステータスをみんなが見えるように前につき出す。裕翔はそんなことも出来るのか……と驚いていた。
――――――――――――――
[メニュー]
・マップ
・アイテム
・ステータス
・スキル
――――――――――――――
十が皆に見せたのは、これまで、彼らが見てきたものではなく、メニューという新しい欄だった。
「この、視界左端にあるメニューってのを見てたらこんなのが出てきたんだぜ?」
「いや、十、そんなもの――」
「――ん? これですか?」
十の言葉に反応するように裕翔は否定の言葉を投げるのに対し、水菜がこれに反応した。
水菜が十に見せたものは彼のものと全くおなじ、メニュー欄だった。
「え? 水菜も? ……善はどうなのかな?」
「あぁ、俺にも見える。メニュー欄。しかし、佐藤、どうしてお前だけ見えないんだ? もしや、それが呪いか?」
善の推測がどこまであっているのかは裕翔にはわからない。だが、ウナの言葉で、なにかが解放されたように感じたのは彼も同じだ。それなのに彼にはメニューが見えないというのはどういうことなのか誰にもその原因はわからなかった。
「はぁ、呪い……か」
呪い。彼らの中ではそういうものだと考えているが、そもそも、転移する際に呪いをかける必要性とはなんなのか。それそも、呪いではなく、転移のすることへの障害なのではないか。なぜ、転移する羽目になったのか。考えてみれば、わからないことだらけであった。
「まぁ、しかし、僕はそういうものだと受け入れるよ」
裕翔の選択はただの『諦め』とも言える。しかし、現状どうすることもできず、能力の把握も出来ない。
出来ることといえば、自分がどこまで出来るのかの把握の他にない。
「出来れば、皆の手も借りたいんだけど……」
「俺は別にいいぞ!! 面白そうだしな!」
「私も……出来ることがあればお手伝いします」
「まぁ、この世界で生きていくには協力するほかないだろう? 別に問題はあるまい」
「……みんな、ありがとう」
裕翔は心が温かくなるのを感じた。どこからともない安心感と彼らに対する信頼。それらに包まれた裕翔は最初に出会ったときの表情と変わらぬ、自信に満ちたそれに戻っていた。
「ウナ……今の名前」
彼女は一言。静かに名前を呟いた。それの意味するところがわからない彼らではないだろう。
関係が深いわけではないが、彼女と彼らの間で、絆のようなものが繋がった瞬間である。彼女が彼らを信用し、彼らも彼女を信頼している。そんな縁が繋がったのだ。
「改めて、僕は佐藤 裕翔。よろしく」
「俺は田中 十だ」
「加藤 水菜です」
「倉田 善。よろしくな」
「ん、よろしく」
こうして裕翔達はウナの家で一晩を過ごすこととなり、今日はこのあと、男性陣とウナは狩り、水菜は家事という分担で、過ごすこととなった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
自己紹介が終わり、それぞれが行動を開始しようとしていたのだが、狩り組は疲れが取れていないことを懸念していた。わけのわからないところに転移させられ、怖い思いもし、仲間とはぐれ、森の中を数時間歩いてここまで辿り付き、これから狩りなのだ。疲労の蓄積で狩りの最中に死ぬかも知れない。だがしかし、この世界は異世界であり、剣と魔法のファンタジーな世界であることを忘れてはいけない。何が言いたいのかというと……
「あぁぁぁぁ!! 疲れが取れるぅ!!」
こんなアホな叫び声をあげているのは十だ。彼だけではない、隣には善と裕翔もいる。そんな彼らが揃いも揃って何をしているのか。
答えは風呂だ。
◇◆◇
「臭い」
さぁ、狩りに行こうか。となったとき、ウナが一言そう呟いたのだ。
「やっぱり!! 臭いですよね!!」
それにがっついて来たのはこの放浪組唯一の女性、紅一点の水菜だ。彼女は道中転んだり、こけたり、倒れたり。とにかく地面とぶつかり、泥まみれ砂まみれ、汗もかいていた。彼女は女性だ。そういうところには敏感なのだ。男であれ、最低限は気にするが。やはり、女性である彼女は誰よりも気にしていた事だろう。
「お風呂入る?」
「お風呂があるのですかっ!?」
ウナの顔に鼻息を荒くして近づく彼女の姿・熱量はその為ならどこまでも走って行けそうに見えるほどだった。こんなにも匂いが気になるものなのかと。もちろん、男性陣はもちろん、ウナでさえ少し引いていた。十はなんとも思っていないというか分かっていないようだが……
「地下、ある」
ウナはそう言って真下を指差す。そのことに水菜は顔を輝かせると
「是非っ!!」
と言い。ウナのその小さな手を両手でガシッと力強く握るのであった。元々お風呂が好きな事も相まってというのも一つの理由なのかも知れない。
ウナに連れられ降りていった地下には、男女で別れた大浴場のようなところが広がっていた。湯の場所も男女で真逆の位置にあり温泉が二つあるように見える。日本では見られない光景だと感じたことだろう。
「凄いね……ここ」
「男はそっち。女はこっち」
「うん! 行こう! すぐ行こう!」
裕翔はこの地下温泉の広さに驚きの表情を顕にし、水菜は走って女湯の暖簾を潜っていった。
「暖簾もあるんだ……」
安心感なのか、呆れたのかは分からないが裕翔の口からはそんな言葉が漏れ出ていた。
「まぁ……そのなんだ? 行くか……」
善の言葉で男三人は暖簾を潜り中へ入っていく。
脱衣所には木の籠があった。裕翔達は服を脱ぎ入れウナに持たされたタオルを腰へ巻き、更に先へと続く廊下を通って大きな空間へと出る。そこには大きな浴場が広がっていた。地下であるが故に室内温泉のような独特の閉塞感を感じさせるものの、天井が高いことで開放的な気分にさせられるような不思議な空間だった。
「ん!? この風呂いい香りがすんなぁ!!」
十はどちらかというと風呂は好きな方であり、お風呂のいい香りに少し興奮気味でテンションがおかしくなっていた。
「おい、田中! 燥ぐと転ぶぞ!!」
「おう!! ……うおっ!?」
善の警告も聞き流し、十が走り回っていると、濡れた床で勢いよく転び、頭から湯船へ向けて逆さまで飛んでいってしまった。勢いよく飛んでいって深く沈んだのか十はすぐには浮かび上がって来なかった。
「はぁ……だから言っただろう……」
もちろん善には呆れられている。
「十……大丈夫かい?」
すぐに浮き出てこない十を心配した裕翔は湯船に近づいたのだが、湯はとても濁っており、湯の中に彼の姿は見えなかった。底が見えないようで、裕翔には随分と深いのではないかと推測でき、少し不安に駆られた。
「おーい、十?」
半ば反射的に湯の中へ手を突っ込んだ。その瞬間、裕翔の全身から力が抜けるような感覚がして、この湯に手を入れた所為だろうと判断し、瞬時に湯から手を離して湯船からも距離をとった。
「はぁはぁ……っ! なんだこれ!?」
「おい、どうした!」
裕翔の反応に善は湯船に注意しながら、裕翔に近づいた。誰かがいる気配はしない、姿も見えない。善は裕翔の身に何が起こったのかもわからない。裕翔もただ手を押さえるだけで、一向に話し始める気配はなかった。しかし、善は落ち着いていた。先ず何をするべきか一番に判断出来た。
「裕翔、大丈夫だ。何もいない。少し、落ち着け……何があった?」
善のその態度に、幾分か冷静さを取り戻した裕翔は、今、自分に起こった不思議な出来事、湯に手を入れた瞬間に力が抜けるような感覚があった事を善に伝えた。
善は少し驚いたものの、それを顔には出さず、至って冷静に振舞った。
「力が抜ける……?」
「あぁ、身体の中の何かを吸い取られているような感だったよ」
「……ここはファンタジーの世界だ。毒の沼みたいな変なものがあってもおかしくはないだろうな」
「そうだね」
二人はそういうものだということで納得したようで、それよりも十が裕翔と同じように力を吸い取られ、あの湯船の底で意識を失っているのではないかと考えた。
「「……」」
「まぁ、これは毒沼じゃないし、例外なのかな……?」
「そうだな……」
二人が言い切ったのには理由がある。それは、大きな湯船の中心でバシャバシャと水音を立てながらこちらに泳いでくる十の姿を見つけていたからだ。十はその湯船に浸かったにも関わらず、元気そうに泳いでいた。
「ひゃっほぉー!! 気ぃもちぃー!!」
十は三十メートル四方の湯船を円を書くように泳いでいた。
「……なぁ、佐藤……」
「入ってみる?」
「……まぁ、一応」
十の姿に毒気を抜かれたのか、今すぐ死ぬことはないし、力を吸い取られる以外は今のところ普通のお風呂であるからと最終的には二人も浸かることにした。
先ず裕翔が湯船に浸かり、善は彼の後に続いて湯船に浸かった。
「「っ!?」」
湯に身を沈めると同時に、二人はえも言えぬ爽快感を感じた。
よく晴れた日に大きな高原で寝そべっているかのような気持ちよさに開放的な気分になる事を止めることは出来なかった。
「あぁ……癒されるね……これは……」
「……肌になじむ丁度良い温度、湯の香りもいい」
到底風呂に入っているようには思えないこの感覚に二人は揃って顔を蕩けさせていた。まるで、身体の中までマッサージされているように全身は緩みきっていた。
「力の抜ける感覚とはこういうことか……」
「手だけだったので、力が吸い取られたように感じたのかもしれないね……」
「なんにせよ」
「「疲れが取れる……」」
「それは良かった!! どういたしまして!!」
二人が湯船にて癒されていると、不意に声がした。善は咄嗟に後ろを見たが姿・形・影のような存在をあらはすものは何も見つけられず、裕翔も特に誰かがいるようには感じなかった。
「誰だ! どこにいる?」
裕翔は声を荒らげながら立ち上がる。すると、その後ろ、丁度十が泳いでいた湯が盛り上がり、十がこちらへ流されてきた。
「うぉっ? なんだ!?」
「田中っ……!」
「あぁ! ごめんよ!! 丁度泳いでたんだね」
十が泳いでいた付近のお湯が盛り上がり、徐々に人の姿を作っていく。湯の表面に立つ子供のような姿が出来上がった。
「こんにちは、転生者さん! 僕はここの温泉に住むスライム。バルネウムだよ!!」
その子供はおもむろに目を開き、口を横に広げ、笑顔になる。




