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この異世界は優しすぎ!?  作者: 爈嚌祁 恵
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4 誕生パーティにて

 俺、ミリアス=エグノスは明日で三歳を迎える。


 この世界では様々な節目を重んじているらしく、ご近所さんを呼んで小さなパーティを開くらしい。


 日本で言うところの七五三みたいなものだが、その規模がどうにもデカイ。



 というのも、聞いた話によると俺の家は貴族らしいのだが、貴族とは名ばかりの名誉貴族で、ご近所さんや一般市民から相当慕われているみたいだった。おそらくそれが原因で大きなパーティになっているのだろう。



 そんな俺も既に言語はマスター、会話も問題ない状態だ、だか、パーティの取りにやるダンスがどうにも上手くいかない。


 そもそも、あっちの世界ではダンスなんてやらなかったし


 こっちに来て日も浅いのに出来るわけがない。



 と思っている時期が俺にもありました。



 >能力[舞踏Ⅰ]を習得しました。



 どうして今なんだよ! 


 いや、確かにあって困るものじゃないけどさ。


 ただの無駄スキルだよ!


 この際もうスキルレベルMAXまで上げてやるよ!!


 ちくしょー!


 今夜は徹夜だ!



 そうして、この日は俺の第二の人生初の徹夜作業日になった。そのおかげでスキルレベルもMAXとまではいかないがⅧレベルまで上がった。



 誕生パーティ当日、開催広場にて。


 俺は父親のロディの隣に座り、その反対隣に母のアウラが座っている。

 そんな中、ロディは立ち上がり、今日この会場に来た人たちに挨拶をし始めた。


「皆、今日は忙しいところを、息子のために来てくれて、ありがとう、心からの感謝を」


 という挨拶から始まり、俺が無事三歳を迎えたことや少しだけ想い出話をして最後に、楽しんでいってくれ、とだけ言ってまた席に着いた。


 それを合図にして、楽器をもったものと演劇団が中央の広場にて見世物をし始めた。


 その演奏は現代のオーケストラの演奏にも匹敵するほどで、楽器もトランペットからバグパイプのような楽器まで、その種類はとても豊富であり、劇団の演技をより高めていた。

 俺はそんなこの世界の娯楽の質の高さにただただ驚かされるばかりであった。


 それらが終わると、メイドの人たちが食事を持って来てそれぞ各テーブルに十品程置いて、そのまま、退室していった。


 そうして、立食パーティが始まった。


 俺は食べ物が無くならないよう、即、自分の分だけ取り皿にとって、自分の席に戻った。


 何せ、この家の食事はかなり美味しい。ライトノベルなんかだと自分の世界の方が良かったりするのだが、ここはそうではないらしい。


 日本人の俺の口にも合うとても美味しい料理だった。

 ただ一つ、食材が不明なのが恐ろしいところではあるのだが……


 そうして食事に夢中になっていると、ちょっと太ってはいるが人の良さそうな顔のおっちゃんが俺に話しかけてきた。


「ミリアス子息ですかな?」


 たしかこの人はこの近くで男爵の地位をもった唯一の純貴族のワーボックス家のコフラスさんだったかな。貴族であるわけだし、失礼の無いように心がけないと。


「えぇ、そうですが、何かご不便でもありましたか?」

「おっほっほ、いえいえ、エグノス家の御子息は大層聡明だとお聞きしたもので、少々気になりましてな」


 なんだこのおっさん、あからさまなキナ臭ささだな、さらっと嫌味まで入れてくるし、なんか、気張って損した気分だわ。


「それは、そうでしたか……ご期待に答えられなくて残念です」

「いやはや、疑っていたわけではありませぬが、本当に聡明でおられるのですな」

「父なら、今は昔の連れの方々に会いに行っているそうですよ」

「そうでしたか、昔の連れですか」

「はい……」

「……」

「……」

「……」


 いや、何してんのこのおっさん、俺の席の目の前で、葡萄酒もらって飲み始めたんだけど。ウェイトレスにお礼まで言ってるよ。目障りだからどっかいってくんないかな?


「まだ何か?」

「いえいえ、何も用があるわけじゃ、ありませんが」


 何もないなら、ロディのところ行けよ。まぁ、どうせ、婚約とか、お見合いとか貴族にありがちな、そういう系の話でもしたいんだろう。だが俺にはまだ早い。何せまだ三歳だからな?

 よく考えてくれればわかったと思うが、三歳にしてこの知能であれば、相当頭がいいということになってしまうよな? 前世の俺の三歳の頃なんて、保育園のプールで遊んだ記憶しかねぇよ……


「はぁ、私はまだ、婚約をするつもりはございませんが、それでもですか?」

「おっほっほ、それでも、少し会話をしていただけるだけでいいんです」

「父母二人の了承が得られたなら考えておきましょう、二人なら信用できますから」

「それは……親であるのですから信用なさるのは当然だと私は思いますが?」

「この御時世ですから、何があるかわかりませんからね、たとえ両親でも無条件にとはいきませんよ」

「……それもそうですな」


 この男最後まで食えないやつだったな。この調子だと娘にも注意しといたほうがいいかな。どんな搦手で来るかわかったもんじゃないからな。はぁ……


 立食パーティの料理もあらかた片付いたところで、漸く舞踏会の時間だ。



 ここからは、各々が思い思いの相手とダンスを踊るという名目の他貴族からのアピールのようなものでもある。だから、俺のところには今多くの女性が詰め寄ってきている。


「俺の体は一つだから、順番にしよう」

「……なら! 私から! お願いします!!」


 そう言って一人の少女が手を上げた。

 とてもキラキラした目でどの女の子よりも早く自分を主張してきた、というか実際は俺の言葉の途中からもう手は上がっていた。肉食系女子だな。


「わ、わかった、キミ、名前は?」


 だが、人混みを掻き分けて姿を現した、その女の子は、とても綺麗な顔をしいた美しい顔に満面の笑みを浮かべていた。そこで気がついた……


「私はメリーって言います。アリス家の長女です、よろしくお願いしますね」


 と笑顔でそういっできた、その女の子の名前はメリー=アリス。この世界の神様の一人だ…………




 メリーとの舞踏はとても緊張した。



 自分の舞踏スキルがⅧレベルまで上がっていなかったら、ボロボロの舞台になってしまっていただろうと思う。舞踏は一興が終わるまでは基本そのパートナーと一緒に踊る感じなので、皆もここでアピールしてくるのだが、このアリスことメリーが接触してきた。


「やっほ~驚いた? てか、覚えてる? アリスたんだよ?」

「あぁ、覚えてるよ、おかげで集中できない、なんでいるんだよ」

「あっはは、落っこちちゃっただけだよ」


 嘘だな。境界の管理をしてるのに、落っこちて、しかも戻れなくなるなんてないだろ。


「むぅ、嘘じゃないよ、私は今か弱い女の子になっちゃったんだよ!」


 嘘くさい話だったので、彼女のステータスを魔眼で確かめてみることにした。

 結果は本当にただの女の子に成り下がっているということがわかった。だがこれもスキルの域を超えてはいなのであくまで、システム上はというようなことになるが、やはり、それでもやれることは限られてくるのだろう。


「ね!? ホントだったでしょ!? 信じてくれた?」

「あぁ、はいはい、信じますよ」

「ありがと~! んで、本題なんだけど。私、今日からあなたの家に住まわせてもらうことになりました」

「!?」


 あまりの衝撃に一瞬足がもつれてしまったが、そこはメリーが何とかフォローしてくれた。


「お前、それは……」

「そうなるね、こんな美少女と結婚できるんだありがたく思いたまえ」

「確かに、前と同様に可愛くはあるがもう美幼女だな」

「失礼な、君もまだまだ乳児じゃないか」

「はぁ、不毛な争いはよそうか」

「そう?」


 ここで、俺はふと疑問に思った。彼女アリスは境界を司る神様であったはずなのに、そこから落ちてきてしまった、ということは、境界で何かがあったということになるんだろうか。そうすると、俺は前の世界で死んだわけじゃないので、体が放置してあるのでは? と思ったのだが、そこのところはどうなんだろうか?


「境界の維持なんかもどうしてるんだ?」

「ん? あ~キミの身体ね……うん、あることにはあるよ。ただ……」

「ただ……?」

「こっちに落ちた時に身体だけは守ろうと、咄嗟に投げたら、私の知覚範囲外にいっちゃったんだよね、だからいまどこにあるのかわからない、あはは……」


 この神様ダメかもしれない。と割かし本気で絶望を感じてしまう事件であった。



 結局この後、残りの貴族や一般市民などの身分に関係なく多くの女の子に舞踏を申し込まれて、俺の舞踏スキルは演舞に進化した。能力進化とかいらないわ。


 その貴族の中にワーボックス家のご令嬢もいたのだが、俺の頭の中はメリーをどう対処するかで悩んでいて、全く気付く素振りも見せなかったので、ゾフィ=ワーボックスはメリーを敵対視するようになっていた。



 その日の夜にアリスことメリーは家に引っ越してきた。


 両親は知っていて、尚、了承していたのか、すんなり話は通り、俺の部屋で寝泊りすることになった。



 こうして俺のひとりの時間というものはあえなく崩れ去っていった。



 別に悪いことじゃないけどさ。

 頼むから、面倒事は起こさないでくれよ……

作中に出てくる爵位などの話は自分の想像ですので、実際とは異なる場合がありますのでご了承願います。


尚、誤字・脱字などがありましたら、お手数なのですが、報告の方よろしくお願い致します。

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