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この異世界は優しすぎ!?  作者: 爈嚌祁 恵
20/57

20 ゴブリンスレイヤー

「グオォォォァアア」


 ゴブリン・ジェネラルは通常のゴブリンとは違い、体つきが二倍ほどの大きさだ。と最近読んだ魔物図鑑に書いてあった。

 だが、今眺めているそいつは図鑑のやつとは異なり、目測で大体四倍近くの巨体であった。腕や足は木のように太く、その手先には鋭利な剣と岩のような盾を構えていた。


「いや、デカイわっ!」


 すると、大声を出したせいか、ニティの探知に魔物がかかった。

 近場の高草に視線をやると、今にも剣を振り落とさんとするゴブリンの姿が確認できた。その初撃を半身で躱した。幸い、ゴブリンとはステータスに差があったようで、速さではこちらに分があったのか、簡単に避けることができた。


「ふっ!」


 短い呼吸とともに、腰に下げた剣を抜き、その勢いのままにゴブリンの身体に叩きつけた。すると思いの他速度が乗り、ゴブリンの身体を上下で真っ二つにしてしまった。魔物との戦闘はこれが初めてだとはいえ、アウラとの訓練で鍛えられた剣術は通用するようだ。とはいえ剣も装備もギルドの借受であるからして、いつ問題が起きるか油断はできない。


「このショートソード、使い方次第ではすぐダメになりそうだしな」


 見た感じでは今の攻撃が無茶な使い方だったのか、少し刃こぼれが目に付いた。今はまだ平気であるだろうとは思うが、今後、使い方には気をつけるようにしよう。とりあえずは剣は収めておいて、魔術での攻撃を主体としていこう。

 そんなことを考えていたからであろうか、右の木の陰から、氷塊が飛んできた。

 これは〈アイスボール〉という魔法であったと思う。水魔法によって生み出されたのを凍らせて飛ばすだけの魔法ではあるが、これに当たると凍傷のようになって、身体の動きが鈍るところが、とても厄介な魔法である。


(水系統の魔法には……)


「トニトルア」


 右手を飛んでくる氷塊に向けて、魔術を行使。手のひらの先に術式を構築。魔術名の発音で発動。

 一連の動作により放たれたのは雷。一瞬にして氷塊を到達し、氷を砕いた後に術者の方へ貫通。


「グギャッ」


 その雷はゴブリンの身体を容易に貫き、ゴブリンの身体を炭に変え、少しばかり地面を抉った。そのせいで近くの木々に引火した。


「アケレント」


 咄嗟の水流で消火活動をする羽目になったが、威力確認の方は成功だろう。


「たぁっ!」


 またも聞こえてきた可愛らしい声音。もちろんスライムの声だ。

 近くにいるなら合流したほうがいいだろう。颯爽と現れたりなんかしたら、かっこいいんじゃなかろうか?

 ということで、取り敢えず広範囲魔術を……


「ヴァン・フェルム」


 ゴブリンやトレントを視認して、片手を横に払う。すると近場にあった木々を掻き分け、不可視の刃がその首を欲さんと森の中を駆け抜けた。

 その刃が易々とゴブリン達の首を落とし、身体を刻み、足、腕、胴体などを切り落としていった。それら魔物だったものは全て、その場に崩れ落ちた。


「ひっ! な、何!? 首!? な、何が起きたのぉ!?」

「大丈夫でしたか?」

「ふぇっ!? な、生首が喋ったぁっ!?」

「違います、後ろですよ……」

「ふぇっ!? 誰ぇ!? お化けぇ!?」


 目の前の少女は振り向くと同時に剣を構えたものの、剣先は小刻みに震えており、足も笑ってしまっていた。怖がられているのは確実だが、多分彼女は俺が亡霊かなにかと勘違いして、怯えているだけのように思える。今はまだ。


「落ち着きましたか? お化け見つかりました? 確認してください。目の前にいる私は足もちゃんとついているでしょう?」

「わ、私は最初から冷静だよぉ!?」

「そうですか、それは失礼しました。あ、僕はミリアスといいます。貴方は?」

「私は、エーゼル……こ、これはあなたが?」

「はい、囲まれていたようなので、お節介ながら、ご助力させてもらいました」


 最初のコンタクトにしては合格点だろう、まだ警戒されているとはいえ、名前を聞くことができた。確かに、ステータスを確認すれば知ることはできるだろうし、ニティは知っているのだろうけど、一応、そういうのはズルだと思うし、まず、本人の口から聞きたいしな。ソフィーナ? あれは例外だよ。時にはそういう時もあるさ。


「た、助けてくれて、ありがとうございますっ!? あ、後ろっ!?」


 彼女からのお礼と同時に警告が飛んできた。 

 今、俺の後ろにはジェネラルがいる。丁寧に剣を振り上げた状態で。折角のモンスター娘っ子との会話を邪魔しようと言うのだ。これは早急にご退場願いたい。願わくば永遠のご退場を。

 振り向きざまに剣を抜き、ジェネラルの剣を受け止める。こっちの武器はショートソード、相手の剣はバスターソードのようなデカ物。衝撃は相当なものだった。証拠に足が少し地面に埋まった。地面に埋まるということはそれだけ、真上からの衝撃であったということだ。そして、それは衝撃をまともに受けたということでもある。


「っ!?」


 強い衝撃に驚きはした。ただ、予想以上に衝撃が少ないように感じたのはどういうことだろう。まぁ、ジェネラルもこれが全力ということではないってことか。じゃあ、取り敢えず今は剣だけで十分だな。


「せぇのっ!!」


 腕を振り上げ、剣を弾くと、その流れに乗って、ジェネラルの胴を二回、交差状に切りつけ、流れのまま胴体を蹴り飛ばした。


「す、すごぉい……ゴブリン・ジェネラルとまともに戦ってる……」

「グ、グルゥァ」

「エーゼル、気を付けて、後ろいるよ!」

「は、はいっ!」


 エーゼルちゃんは返事をすると、俺とは反対方向のゴブリン達を相手にし始めた。どうやら、味方、までとはいかないが、敵ではないと判断してくれたようだ。取り敢えず、一安心。今は目の前のこいつに集中できるな。彼女はちゃんと戦えているようだし、いざとなればレアリが何とかしてくれるだろう。と少し目を離しているとジェネラルに変化があった。


「グルゥァアア」


 どうやら、[身体強化]を使ったようだ。それにより、ステータスに変化があった。


 ――――――――――――――――――

【ステータス】

 ・体力:421(324)

 ・筋力:483(345)

 ・魔力:123(176)

 ・耐性:806(576)

 ・敏捷:160(123)

 ――――――――――――――――――


 おそらく、能力の効果ではあるとは思うが、相当強くなっているんだな。これは、厳しいんじゃなかろうか? というか、俺も能力使えばこれだけ上がるのだろうか? アウラとの訓練では故意に能力を使うのは禁止されてたからな、どうなのだろうか?


〔いえ、ミリィ、ステータス面において、あなたが心配するようなことはないかと〕

〔ん? どゆこと?〕


 振り上げられた、バスタソードを半身で躱しながら、ニティによる説明に耳を傾ける。


〔先ほどの戦闘時にレベルアップしていますからね〕

〔え? レベルアップ? 俺そこまで倒してないよね?〕

〔いえ、実は、全体の半分ほど、殺していますよ〕

〔こ、殺すって…………え? 待って? 半分?〕


 今も、なお、増え続けている、ゴブリンやトレントの半分? たしか、四十匹くらいになったはずだから……


〔えぇ、二十八体ほど、ゴブリン二十二体、トレント六体、即死でした〕

〔ま、まじかぁ〕


 いや、確かにね、薄々感じてはいたよ。だって、ジェネラルの攻撃をニティと念話しながらでも躱せてるんだもんな。

 にしても、半分か、広範囲魔術の威力は考えものか、殲滅戦では役に立つとは思うが……


〔となると、レベルも6、7ぐらいにはなった?〕

〔いいえ〕

〔そうだよな、そんな都合よくないか〕

〔今のミリィのレベルは41ですよ〕

〔…………はい?〕


 低ランクモンスター二十八体倒し、いや、殺しただけで、レベルが四十ほど上がってしまった。

 ということは……


 ――――――――――――――――――

【ステータス】

 ミリアス=エグノス(空綺麗 櫓実) 幼児 15歳 Lv41

 ・体力:7175

 ・筋力:6683

 ・魔力:6642

 ・耐性:6232

 ・敏捷:6765


【スキル】

 [固有能力(ユニークスキル)交換(チェンジ)Ⅲ]

 [天恵:成長(アグメンタム)

 [天呪:不滅(ネバーエンド)Ⅳ]

 [神術(マヌアート)心眼(コルディソクルス)


 [探知Ⅷ][遮断Ⅷ][武術Ⅲ][投擲Ⅳ]

 [五感超強化Ⅱ][身体超強化Ⅲ][瞬速移動Ⅲ]

 [高速思考Ⅴ][並列思考Ⅹ][並列意思Ⅲ][高速演算Ⅷ]

 [追跡Ⅶ][推理Ⅴ][予知Ⅳ][演舞Ⅴ]

 [空間把握Ⅹ][立体機動Ⅷ][交渉Ⅲ]

 [治療Ⅶ][治癒Ⅹ][自己治癒力Ⅹ][楽園(エデン)Ⅹ]

 [魔法適性:魔][式神][従魔]

 [持続][豪力][強靭][金剛][瞬速]

 [禁忌Ⅳ][聖域Ⅳ][永眠Ⅹ][覚醒Ⅹ]

 [言語理解Ⅹ][礼儀作法Ⅹ][不老不死(ノー・デッド・ライフ)

 [賢者Ⅴ][メニュー][ヘルプ][概念]


【称号】

『転生者』『読書家』『魔術師』『受神』

能力収集者(スキルコレクター)』『称号収集者(ネームコレクター)』『舞踏家』

傍観者(スタンダー)』『全知』『探偵』『心解者(ココロヲミルモノ)

睡眠之王(ハル)』『永眠の支配者』『覚醒の支配者』

賢明者(カシコキモノ)』『急成長』『強者』

 ――――――――――――――――――


 ステータスにおいて、問題がないことがわかった。そして、チートはチートだということもわかった。

 あの駄女神の能力のせいであろう。確実に。


 その後、[身体超強化]を発動した俺に、ジェネラルといえども、敵う訳もなく、二・三激加え、魔術を試したところ、やつは燃え尽きた。そのせいでまたレベルや能力が上がった。


 ――――――――――――――――――

【ステータス】

 ミリアス=エグノス(空綺麗 櫓実) 幼児 15歳 Lv45

 ・体力:7875

 ・筋力:7335

 ・魔力:7290

 ・耐性:6840

 ・敏捷:7425


【スキル】

 [固有能力(ユニークスキル)交換(チェンジ)Ⅲ]

 [天恵:成長(アグメンタム)

 [天呪:不滅(ネバーエンド)Ⅳ]

 [神術(マヌアート)心眼(コルディソクルス)


 [探知Ⅷ][遮断Ⅷ][武術Ⅳ][投擲Ⅳ]

 [五感超強化Ⅱ][身体超強化Ⅳ][瞬速移動Ⅲ]

 [高速思考Ⅵ][並列思考Ⅹ][並列意思Ⅲ][高速演算Ⅷ]

 [追跡Ⅶ][推理Ⅵ][予知Ⅴ][演舞Ⅴ]

 [空間把握Ⅹ][立体機動Ⅷ][交渉Ⅲ]

 [治療Ⅶ][治癒Ⅹ][自己治癒力Ⅹ][楽園(エデン)Ⅹ]

 [魔法適性:魔][式神][従魔]

 [持続][豪力][強靭][金剛][瞬速]

 [禁忌Ⅳ][聖域Ⅳ][永眠Ⅹ][覚醒Ⅹ]

 [言語理解Ⅹ][礼儀作法Ⅹ][不老不死(ノー・デッド・ライフ)

 [賢者Ⅴ][メニュー][ヘルプ][概念]


【称号】

『転生者』『読書家』『魔術師』『受神』

能力収集者(スキルコレクター)』『称号収集者(ネームコレクター)』『舞踏家』

傍観者(スタンダー)』『全知』『探偵』『心解者(ココロヲミルモノ)

睡眠之王(ハル)』『永眠の支配者』『覚醒の支配者』

賢明者(カシコキモノ)』『急成長』『強者』『ゴブリン殺し(ゴブリンスレイヤー)

 ――――――――――――――――――


 なんだよ、ゴブリンスレイヤーって。はぁ、先が思いやられるなぁ。

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