11 ジズ
自分の知識で知っているジズとはRPGのゲームなんかによく出てくる、ベヒモスやレヴィアタンと三頭一対とされる、巨大な鳥のことだ、ほかの二頭とは違い聖書には載っていない、誤りの存在なのだが、この世界には存在しているらしい。
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【ステータス】
ジズ ☆∞† 不明 Lv839
・体力:47865(51430)
・筋力:46140(58614)
・魔力:68410(73109)
・耐性:61794(71749)
・敏捷:41857(43697)
【スキル】
[↑≫:■◆■]
[探知Ⅹ][存在遮断Ⅹ]
[破壊][魔法適性:、水・風・闍・光]
【称号】
『空の支配者』『見通す者』『破壊者』
『≧〆≦σ∇◎』
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「なっ!?」
俺はステータスを見て恐怖した。こいつには勝てない。
逃げるという選択肢など思いもしなかった。それゆえにその異質な存在から振るわれる攻撃に全く反応できなかった。
「「ミリアス!!」」
ロディとアウラ、二人の声が聞こえる頃にはジズの振るった大きな爪は目の前に襲いかかってきたいた。
俺はその光景を目の当たりにしても全く反応出来なかった。
そしてその爪は俺の身体を粉々に刻み付ける、その一歩手前で阻止された。
「ングッァ」
俺を抱えた何かが転がった。
「爺や!!」
そう叫んだのは母だ。爺やと呼ばれているその人物は俺の屋敷の召し使いの一人であり、先代の頃から使えている者だった。
その爺やは俺を抱え、苦しそうにうめき声をあげている。父と母は他の人を逃がしながらジズと相対している。爺やを助けられるのは自分しかいない。それに怪我の原因は俺の不注意なのだから。
「あ、あ、ごめ、ごめんなさい……いま、なおし」
「失礼ながら! おぼっちゃま、今はこのような老いぼれに構っている暇ではありませぬぞ!!」
痛みに顔を歪めながらも爺やは俺に進言してきた。だが、そんなこと容認できるわけがない。このままでは爺やが死んでしまうのは確実なのだ。なぜなら、爺やのステータス欄の体力が急激に落ちていっているからだ。
「で、でも、けが、このままじゃ……しんじゃ」
「今は! それよりも、その御身を守ることが最大の目的にございます! その目的のためならこのみがどうなろうとお構いございませぬ!!」
そんな状態でも、俺の事や家のことを第一に考えてくれていることに嬉しくもなりつつ、同時に深い悲しみにも襲われた。
「で、でも!」
「ミリアスさま!!」
「ぐっ……」
俺はなぜこんなにも無力なんだ? ここ最近はステータスも上がり、スキルも増えていた。魔物を倒さない分レベルは一つも上がっていないが、それでも強くなっていると思っていた。相手が悪かった? そんなことは理由にはならない。結局爺やを傷つけているのは代わりのないことなのだから。だから、いま、動けない俺はここいても何もできないと思ってしまった。そう感じてしまえばあとは下るだけだ。
「向かいの部屋に転移陣をご用意いたしております、先に飛んでお待ちいただきませぬか」
「…………わかった、でも! お前たちもすぐに来るんだよな?」
「えぇ、もちろんですとも」
「……言ったからな! 待ってるからな!! 絶対だからな!? 皆無事に戻ってくるんだからな!?」
「えぇ、当家に使えるものとしてお二人の御身の安全だけは確保いたしますとも」
それは以上、何も言えなかった。ただ、爺やの言われた通りに向かいの部屋に行き、魔法陣を確認した。そこには誰もいなかった。おそらく皆総動員で屋敷中の人を逃がしているのだと思われる。そんなわけで今俺は一人だ。
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【ステータス】
ミリアス=エグノス(空綺麗 櫓実) 幼児 5歳 Lv1
・体力:175
・筋力:163
・魔力:162
・耐性:152
・敏捷:165
【スキル】
[固有能力:交換Ⅲ]
[天恵:成長]
[天呪:不滅Ⅳ]
[神術:魔眼]
[探知Ⅴ][遮断Ⅱ][武術Ⅱ][投擲Ⅳ][追跡Ⅴ]
[五感強化Ⅴ][身体強化Ⅵ][高速移動Ⅴ]
[高速思考Ⅲ][並列思考Ⅴ][演算処理Ⅸ][予知Ⅲ]
[空間把握Ⅷ][立体機動Ⅵ][演舞Ⅴ]
[治療Ⅶ][治癒Ⅹ][自己治癒力Ⅹ][楽園Ⅹ]
[魔法適性:魔][式神][従魔]
[持久][腕力][精神][鋼鉄][瞬足]
[言語理解Ⅹ][礼儀作法Ⅹ][不老不死]
[メニュー][ヘルプ][概念]
【称号】
『転生者』『読書家』『能力収集者』『称号収集者』
『魔術師』『受神』『傍観者』『全知』『舞踏家』
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もちろん、前よりは強くなっている。というか、だいぶ強い。この年齢でこれなら相当優秀なのだろう。だが、足りない。あいつはこのステータスを遥かに凌駕していた。しかし、あいつを殺すのはできなくはない。俺の能力[交換]を使えば、だが、この能力の制限として「自身のステータスを変える場合その差が大きければ大きいほどステータスに反動がかかる」というものだ。この制限には変えられないとは書かれていないので、可能だろうと思われる。ただし〈反動〉が怖い。今までこんなことにならなかったので、この差の場合の反動が計り知れないのである。これで、反動によって動けなくなれば目も当てられない。
――ドゴォォォン
「ん!? 父さん!!」
「ミリィ!? なんでまだこんなところに!! くっ!」
魔法陣の部屋の扉を破壊しながら飛んできたのは父ロディだった。
父さんは一瞬戸惑いを表したもののすぐに敵を足止めにかかった。
「ミリィ! いいから早くその陣で飛びなさい!!」
「はい! でも! 二人は!?」
「ミリィが飛んだのを確認したら、隙をついて飛ぶつもりだ!」
「分かりました! 待ってますから! 絶対生きていてください!!」
「……おうよ!!」
手短に返事を返した父さんは剣を構えてジズの元へ飛んでいった。
そして、俺は魔法陣を起動した。
と同時にジズの大きな顎門が迫っていた。
咄嗟のことで会費が間に合わず、俺は身体の半分が持ってかれた。
「「ミリィ(アス)!!」」
ロディとアウラの叫ぶ声が聞こえる。でも、大丈夫。俺、不死身だから、こんなところで死ぬことはないよ。
その急激に減っていく体力を眺め、初めて、俺は、ジズという存在に怒りを覚えていた。
「ジィィィィズ!!!!!!」
「グルゥアアア!!!!!!」
俺は最後の最後に喰われて中に浮いた身体を捻りそのまま、スキルを使った。
「交換:筋力!」
その瞬間俺とジズの筋力が入れ替わった。
「うぅがぁぁあ!!」
残っていた左足に全力を注ぎ、勢いそのままにジズの頬を蹴った。
蹴られたジズは、まさか自分がこんな幼児に蹴り飛ばされるとは思っていなかったのか、驚愕を露にしていたが、すぐに足を地に着け踏ん張るもののもちろん勢いは収まらず、その巨体を屋敷の外へと放り出されることとなった。
その光景を見て、その場にいた誰もが驚きの表情を浮かべていた。
だが、その次の瞬間、一同は困惑した。
――ミリアスは何処へ行ったのか? と
いまいちわかりにくい表現が多かったと思いますので改稿すると思います。