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優しい世界

コルトガバメント。

砂浜から拾い上げたそれを、敬壱はつつ、と指先で撫でた。

冷たく、固い。手の中には、確かな重さと、感触がある。

「……完璧、だ」

敬壱はふ、と満足そうに息をついた。


しかし勿論。敬壱は、銃など本物は見たことも、触ったこともない。

この銃も、本物とは実際には、かけ離れているのだろう。


彼が今、手に持っている銃。その感触は、敬壱がネットや資料を見て、感じたそのまま。

それがこの夢の世界で、しっかりと反映されている。


この銃もまた、彼の、夢なのだ。


この景色も。音や、匂い。感覚すらも。

全て、彼の頭のなかで形作られたものだ。



「…………」

敬壱は、拳銃を構えた。

遥か彼方、先の見えない水平線の、向こう側に。

「……っ」

軽く息を止め、そのまま、見よう見まねで、銃の引き金を、引いた。




数発撃って、敬壱は一旦ら手を止めた。

耳が痛い。手がじんじんと痺れていた。

「……すげえ」

銃はほぼ、パーフェクトに敬壱の夢に存在している。

この感覚。

現実世界では到底味わえない、経験。

「すげえ……すげえよ、これ!」


夢は、敬壱に優しい。


現実よりも。ずっと、ずっと。







「……本当かナ?」



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