都会の精霊(詩)
鏡に目を向けると偽物の肖像がそこに漂う
そんな赤茶けてごわついた顔は
おれの顔じゃない
ナイフで鼻をそいだような
ひげ面の顔はおれじゃない
生気をなくした目
ぼさぼさの髪
そんなやつに駅で出会った
薄汚い服を着て
臭い臭いを発して
ただ時間が過ぎるのを待っている
ノックダウン寸前の男
缶ジュースと千円札を置いた
クリスマスの日だった
もしやつが都会の精霊だったら
おれの顔をいつかの顔に戻してほしい
青空を見上げて生きていた頃に
チャーリー・シーンがホットショットに出ていた頃に
あれ以来
都会の精霊には会っていない
おれにばれたからだろう
きっとあんたのそばにも
都会の精霊はいる