~竜と姫~
クロックシリーズ 始まりの話です。
初めまして。
摩訶不思議ワールドへようこそ。
このお話はほんのオープニングと言ったものでしょうか。
楽しんで読んで頂けたら幸いです。
オオォオオオオオオオオオン
…ォオオオオン
今日も、竜が鳴いて居る。
クロック〜竜と姫〜
あれからどのくらいの月日が過ぎたでしょう
私はどうして 貴方に会う事さえ許され無いのでしょうか?
どうして竜に生まれて来てしまったの?
「リーズ姫!」
彼は私の名前を呼ぶと、腕に何かを抱えながら近付いて来た。
「リュウア?その子は…」
彼の腕には小さな竜の子供が居た。ゆっくりとあくびをすると、くりくりとした大きな瞳をこちらに向ける。
「可愛いだろ?」
リュウアは太陽の様に私に笑いかけてみせた。
゛竜は 人間の守護神゛
そう言われて居たのはもう昔の事。
何百万人の人間が竜に殺された、50年前。私もリュウアもまだ生まれて無い、知らない時代。
あれから、人間と竜は対立した―
僕はリーズ姫が言った様に、
この小さな竜と供に生きたい。
僕らが大人になって、リーズが女王様になった頃、証明をしようと決意をした。
『竜と人間は分かり合える』
そう 想い続けていた。
『リーズ!また抜け出したな!』
お父様の声が聞こえる。
リュウアとこっそり遊んで居たのがバレてしまった。
私は自分の部屋に窓から侵入すると、すかさず窓を閉めた。
『きゅう』
ふいに、声が聞こえた。
小さな竜が居る。
「レビン…!ついて来たのね!?」
お父様に見つかったら、殺されちゃう…!!!!!!
咄嗟に脳裏に浮かび上がる言葉。
「「竜は殺し、人間の国を創る事が我らの宿命だ、リーズ。」」
その言葉はやけに、ハッキリ聞こえた。
「お父様っ…!」
気付かなかった。もう、遅かった。
レビンはまっすぐにお父様を見つめる。
くりくりとした可愛い瞳も、お父様の目には、…
「レビン、レビン!!!!!お願い止めて…お父様!!!」
『いいんだよ。リーズ姫』
「!!」
リーズには ハッキリ聞こえた。
『僕はね、リーズ姫を守れればそれでいいんだよ』
「れ…びん…やだあ…れび…」
伝わらない。
伝わらない。
人間は竜と分かり合えない。
違う!違う!違う!違う!
私がどんなに泣いても
どんなに叫んでも
王家の斧はレビンを睨んだまま…
嫌、嫌、嫌!!!!!!!!
「殺せ」
珍しく、いつもの時間にリーズ姫が居ない。
僕はリーズ姫の部屋の窓から顔を覗かせた。
「………ッ…!!!!!!?」
尻餅をついた。息が荒くなる。手にはどばっと汗が吹き出て、体が震え出した。
鉄臭い匂いが充満したその部屋に、血まみれになった、女の…子…
「リー…ズ…?」
僕は咄嗟に理解した。目の前に立ちはだかるは大きな竜。
「ぁ゛ああああ゛あああああぁああ゛ああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
視点が定まらないのが自分でわかった。心臓の奥からたちまち込み上げる何か。
僕は竜を睨み付ける。
「お前が殺したのか…」
『止めて!!殺さないで!!!!』
「お前が殺したのか、レビン!!!!」
『危ないよ、リーズ姫、来ちゃだめだ!』
リーズ姫カラ血が出て
動かなくなった…
ニン…ゲン…
ボクの 大切な
…友達を斧で切った……………
ボクをかばったせいでリーズが…
「ガアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
レビンが唸ると
ものすごい地響きと風圧がミシミシと音を立てた。
もう、レビンの面影は何処にも無い。
「そうだ、少年よ。我が愛しき娘は憎き竜に今殺されてしまったのだ」
王が、僕に話しかける。
レビンは、あれから、数ヶ月に渡り
王族竜滅軍に殺された。
僕は馬鹿だ
レビンはリーズを殺した
僕らの想いは 伝わって無かった
それから10年。
俺は竜滅軍のリーダーになった。
人間を守る為に俺は戦う
竜を滅ぼす
一匹たりとも逃さずに………!!!!!
リュウア、貴方は
私が分かりませんか?
私はここにいます。
貴方を守る竜として生まれ変わった事に
誇りと…
嘆きを
覚えます
私は貴方にいつか殺されてしまうのでしょうか
愛する貴方に殺されてしまうのでしょうか
リュウア、リュウア…
私はここに居るわ
…オォオオオオオオオオオン
…オオオォオォオォォオン
今日も、竜が泣いて居る。
楽しんで頂けたでしょうか
あまり難しいーのは苦手で、楽しんで読んで頂けたらそれでいいんです
これからたくさんの作品を投稿したいので
是非よろしくお願いします
來論