6. 転生先は…ありぃ?!
6話目にしてようやく異世界入りです。ナガカッタナー
~site ???~
少しの浮遊感を感じたのちに私の意識は覚醒した。
まだ何も感じれないし体の境界も曖昧で動かないけど、このことは先んじてファータに言われていた。
〔今から行う方法で転生した場合、新しい肉体に魂がなじむのに少々時間が必要で、少しの間だが全く行動することができない。
そして、お前の転生先の種族にとって重要な器官ほどなじむまで時間がかかる。つまり、普通なら天敵が近くにいないよう祈るしかないわけだ。
しかし、今回はこちらからも支援する。だから安心して新しい肉体に慣れるといい〕
ファータの言う支援とは運命を操作し天敵等が近づかないようにすることらしいので、私は新しい肉体に魂がなじむまで気長に待つことができた。
……
しばらく待つと目が見えるようになってきた、が……
(く、暗い!何ここ…洞窟!?)
目の前に広がるのは真っ暗闇だった。
(でも、だんだん暗さがましになってなっていってる?)
おかしな現象に困惑しているうちに、暗い空間はライトをつけたように明るく見えるようになった。
自分の視界に驚いていると、カチリとパズルピースがはまったように、体のどこかが動かせるようになった感じがした。
体のどこが動かせるようになったのか探していると。頭のナニかが動いた感覚を覚えた。私はそれを視界に入れるように動かした。
(これは…ナニ?)
私は頭から延びる黒い二本の鞭のような触覚を見ながら戸惑っていた。
そうしていると、突然体の感覚が働きだし頭から生えた触覚からは聴覚,嗅覚などに似た様々な情報が頭に流れ込んできた。
(土のにおい 涼しい 空洞音 美味しそうなにおい じめじめしてる お腹すいた ガサガサ聞こえる…………あうっ)パタリ
突如知覚し、流れ込んできた膨大な情報によって私の頭はキャパオーバーを起こし、気絶した。
…………
…どれほど経ったのだろう。次に気が付いた時には、今の体はしっかり私の魂となじんだようで、自分の体の範囲が大まかだが知覚できるようになっていた。
足が動くような感覚もあり、私は少し歩いてみることにした。
(あっ、動ける。……地下みたいだけど、周りは土?かな。ということはあまり深い場所じゃないのかも)
私は更に現在の情報を集めるために、私は自身の意識が目覚めた空間内を歩き始めた。
すると、少しずつだが違和感を感じ始めた。
(…なんだろう。この体、四つん這いの状態なんだろうけど..何かおかしい。
何かこう…地面に触れている部分が4つじゃない感じがする。……あっ、頭が動く。私の体どうn…)
私はやっと動くようになった頭で体の方を見た。すると、そこにあったのは…
(ありぃ?!アシロッポン?!)
足が6本あることに驚愕した。私は、あまりの驚きから心の中で日本語を初めて喋る外国人のようなイントネーションになりながら、今の体の特徴を脳内でまとめていった。
(オー、アシホソイネ。…カラダ二クビレフタツアルネ。カラダノマンナカニアシノツケネアルネ。…ウン)
現在分かる特徴を言語化しきった私は、こう結論づけた。
(この体は…昆虫かな?…そしてその他の特徴と周りの環境から推察すると……私、アリになってんじゃん!)
私は叫んだ、心の中でだが。
(ふざけんな、マイラックゥゥ!!)
久しぶりに自分の運の悪さが恨めしくなった。
~site 天界~
咲の転生先を見たファータは呟いた。
「まさか、よりによってアンター種とは…。俺が想定していた中で最も初期の死亡率が高い種族だぞ。
彼女は自分の運は悪いと言っていたが、こういうことか?……しかし、アンター種なら…最初さえ乗り越えられればあるいは………頑張れよ…サキ」
ファータはそう言い、咲に約束のものを送る準備を始めた。
先代の神であるファータは今の神のロットと比べ運命を扱う技量が天と地ほど離れています(まぁ歴が長いからね)。なので個体ごとの運命の誘導なんていう離れ技が扱えたりします。
咲はアリアリ言ってますが、種族という括りにただの蟲は入っていません。咲がそのことに気づくのは、もう少し後になってからです。
次回、異世界と言ったらのアレが登場します。
お楽しみに(^_^)/~




