補助スキルが強すぎて、メイン職消滅の危機
今日も今日とて、光と書類とため息が交錯している。
書類を片手に、私はいつものように転生リストを確認した。
転生者:藤原 梨花(享年19)
死因:猫の救出中の事故
転生先:コロラット王国
ユニークスキル:「全能支援」
「……あー、出た。“全能支援”」
セイレーンがのぞき込み、にやりと笑う。
「これ、神様が“地味だけど堅実”って言ってたユニークスキルだよね」
「地味どころか、バランス崩壊レベルよ」
“全能支援”――対象のあらゆる能力・スキルを一時的に最上級化する魔法。
本人の攻撃力はゼロに等しいが、勇者パーティにいたら全員が魔王レベルになる…はずのスキル。
「実質、“チート製造機”じゃないの」
「神様いわく、“補助職にも光を”だって」
「いや、もう光どころか超新星爆発してますけど…」
私は頭を抱えながら、転生ホールへ向かう。
そこには、制服姿の少女が不安げに立っていた。
「え、あの……ここ、天国ですか?」
「はい。あなたは地球での命を終え、異世界コロラット王国へ転生することになりました」
「い、異世界!? ま、まさか私、ゲームの世界みたいに勇者になるの……?」
「あ…いえ、役職としては一応勇者なのですが、ユニークスキルが補助魔法なので、ほぼ補助職です」
「えっ……地味……」
「地味ですね。ですが、あなたのスキル“全能支援”は、仲間全員を最強にできます」
「え、それって……仲間が強くなるなら、私も頑張れるかも!」
(あ、いい子だ。この子だけは報われてほしい)
「では、転生を開始します。コロラット王国でのご活躍をお祈りしています」
光があふれ、少女が消える。
転生完了。
だけど、これでコロラット王国のバランスどうなるかしら…
「……誰か、そろそろ世界のルール作り直して」
私は空を見上げ、ぽつりと呟いた。
「“剣聖”とか“魔法帝”とか派手な勇者が多い中で、結局一番強いのは“地味な補助職”……――これ、社会の縮図よね」
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