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4「小さな灯」

今にも消えようとしてる一つの命の前に、家族は自然に絆と言う大切なものを取り返そうとしていた。

真紀「お婆ちゃん!真紀だよっ!解る?」


真紀が声を掛けると集中治療室にいるお婆ちゃんは、目を開けて必死で答えようと頷いた。


真紀「元気そうで良かった。早く良くなる事祈ってるよ。だから約束だよっ!必ず元気になってね。」


お婆ちゃんは元気そうだった。真紀の問い掛けにも頷いてた。

しかしそんな様子を久美は後から父によって聞かされるしかなかったのだ。


(わたしも会いに行けば良かった・・・。)


母「お婆ちゃんが元気になって来たみたいだから、明日人口呼吸器の管を外すらしいのよ。

良かったね。」



久美「本当にそんなに早く外しても大丈夫なの?わたしは何だか心配だよ。」


(だけど元気になって来たと聞いて少しほっとした。

明日は大変だろうけどお婆ちゃん頑張ってね。わたしは遠くから

お婆ちゃんが早く元気になる事をずっとずっと心で祈ってるよ。)



次の日の事・・・。お母さんからの電話が鳴った。



母「呼吸器を外すのが少し早かったのか、お婆ちゃんの容体が急に悪化してね・・・。」


久美「そんな・・・それでどうなの?意識はあるの?」



母「それがもう・・・危ない状態らしいのよ。」



久美「そんな・・・。」


(そんな事、わたしは絶対に信じたくないよ・・・。)



母「・・・あのね・・・もしも突然あってはならないけれど、万が一の場合の為に

実家に喪服を用意して置くわねっ。」



久美「何言ってるのよお母さん・・・お婆ちゃんは大丈夫だよ。

だってあんなに元気だったんだもん。」


母「そうよね・・・。お母さん今は当然仕事のお休みが取れないから

久美と真紀とお父さんで会いに行ってきてくれる?」



久美「うんっ勿論だよ。」


(この日までわたしは些細な事で真紀と喧嘩をして、言葉すら交わす事もなくなっていたのだ。

わたしにしてみれば真紀に会い辛い。そして真紀にしてみても又わたしには会い辛い。しかし

今となってはそんな事はどうでもいい。ただお婆ちゃんの安否だけが、それが一番だから。)



久美は真紀をファミリーレストランへ呼び出した。


真紀も解っている様だ。何も余計な事は語らずお婆ちゃんの安否だけを気遣っていた。


真紀「お父さんが仕事を返上して帰ってくるから、合流して一緒にお婆ちゃんに会いに行こう。」


久美「うんっ解った。泊りの用意して置かないと・・・。」


真紀「うんっそうだね。」



そして久美達が病院に到着したのは夜遅くになった。



久美「お婆ちゃん大丈夫?」


久美は今にも命が尽きそうな変わり果てた祖母の姿を見て手を取りしっかりと握り締めた。

真紀も同様もう片方の手を取って握り締めて祈る様に俯いた。


久美「お婆ちゃんきっと元気になるよ。」


真紀「うん・・・。」


父「必ず元気になるよ。そうだお前達まだ飯食ってなかったなっ、何処か開いてる店がないか

お父さん探してくるよ。」


真紀、久美「父さんっ、一緒に行こう。」


そう言って私達は病院の外へと出た。多分お互いがお互いを励ますかの様に、本当は

食事なんて喉が通らなかったけれど、きっとその時は「わたしたちが何より

元気でいなくちゃ」そんな気持ちがお互いに噛み合ってたのかも知れない。


すぐそばにあった赤い提灯のおソバ屋さんが目に入った。


父「ここへ入ろう。」


久美「うんっ。」


真紀「わたしは鴨なんばんにする。」


久美「じゃわたしも同じで。」



(わたしにとってこんなに悲しい気持ちの食事は今まであっただろうか・・・。)



久美「そうだっ父さん!お婆ちゃんが元気になったら又ここのおソバ屋さんに来よう。

その時はお婆ちゃんも一緒に連れて!」



父「そうだなっ。」



真紀「うんうんっ!そうしよう。わたし他のおソバも食べてみたいもん。てへっ」



久美「うんっ。」


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