3「柵」
◆柵◆
そしてそんな会話からの3か月後
お婆ちゃんから突然真紀に電話が掛かって来た。
祖母「真紀ちゃん、お婆ちゃんはもう長くないかも知れないんだ。」
真紀「どうしたのお婆ちゃん?大丈夫?」
祖母「胸が苦しくってねぇ。」
真紀「病院行った方がいいんじゃない?近くにいるおばちゃんに連絡した?
今からわたしも新幹線でそっちへ行くから待ってて。」
祖母「大丈夫だよ。お婆ちゃん頑張るからね。」
(わたしよりもお婆ちゃんとよく電話で話していた真紀に電話して来たんだ。)
久美は思った。
(そうなんだ。わたしは・・・自分の力で何も変えられない。何も進められない。
心配してるよ。一緒に暮らそう。暖房器具付けてあげよう。そんな言葉は全て言葉だけ・・・。
何一つ行動が伴ってなんかいない。電話だってお婆ちゃんが寂しくて話したい時に
真紀の方が気付いて電話してくれてたんだ。わたしはそんな自分自身が何だかとてもいじらしかった。)
しばらくたったある日、久美は電話に出て大きな声で叫んだ。
父さん「今回は真紀がお婆ちゃんに会いに行く番だから、久美は行かなくていいよ。
回復してくればいつでも会えるんだからなっ、遠いんだしそんなにいつも行ってばかりも
いられないだろう。」
久美「何故よっ!わたしだってお婆ちゃんに会いたいんだよ。」
父「久美はこの前会ったんだから、ワガママ言わずに真紀にも会わせてあげなさいっ。」
久美「何でこんなに大切な時期にもつまんない順番なんて必要なの?
わたしにはお父さんの気持ちが解んないよ。」
父「それは・・・久美と真紀は仲が悪いから、一緒に行ってもお婆ちゃんは喜ばないからだよ。」
久美「何故こんな時に?もう今はそんな事なんて関係ないじゃないっ。」
父「どうかな?仲良く出来そうなら好きにすればいいけど、お父さんは反対だねっ。」
久美「解ったよ。・・・お父さんがそこまで言うならじゃ今回は我慢するよ。
だけれど次は真紀がいても必ず会いに行くからね。」
父「久美がそう言ってくれて安心したよ。」
そんな父の言葉に久美はすっきりしないまま、遠くからただ心配な気持ちで
回復を祈り続けるしかなかったのだ。




