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人生の退職代行会社〜新しい人生へようこそ〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・井中千花の独り言

 お局とし、地縛霊化していた千花だったが、あの退職代行会社と出会い、今は配送センターで働きながら、色々な単発バイトもしていた。


 おかげで一つの場所に長時間いる事もない。以前のように同じパートやバイトに「指導」する事は無くなったが、そんなある日。


 寝る前になんとなくSNSを見ていたら、驚いた。以前、パート先で「指導」し、鬱病まで追い込んだ石井正規のSNSを発見してしまった。


 引きこもりや鬱の不幸な日常を綴っているかと思った。実際、正規は障害者雇用で社内ニートとなり、その後も非正規職を転々としていたそうで、いくらお局の千花も罪悪感で胃がキリッとしてきたが。


 しかし最近の投稿では、美食三昧の記録をあげていた。しかも無職の分際で、アジフライや焼肉、パフェなどハイカロリーのご馳走に舌鼓を打っている。


「は?」


 自撮りも美味そうに食事していた。トロンとした目は実に幸福そう。どうやら貯金が尽きるまで美食三昧をやっているそうだが、なぜか例の退職代行会社の広報が拡散し、正規のSNSはそこそこ伸びていた。


 幸せそうな正規の姿にイライラしてきた。どこかで不幸でいてほしいとも思っていたが、幸せそうに飯を食う彼の画像を見ていたら、再び千花の顔が般若化した。


 その後、正規の笑顔を思い出すたびに、千花はイライラとし、食事も喉に通らないほどだった。今日の夕飯は大好きなヤンニョムチキンなのに、食べたいと思えない。


「もはや、これは石井くんに復讐されたんか?」


 目の前のヤンニョムチキンを見つめながら考える。今はイライラで喉元も重い。無職の子供おじさんの正規が、不幸そうじゃない事が悔しい。世間のイメージ通りに惨めでいてほしいのに、今やSNSのアンチのコメントも軽く受け流す正規。ギリギリと歯軋りしてしまうほど。


「これって合法的な復讐じゃん。腹立つ〜」


 何より幸せになった方が復讐になるらしい。その後、ずっと千花は不機嫌だった。


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