番外編短編・再びオフ会
石井正規は、再び出エジプト社・ファン達のオフ会を開催していた。今度の会場はカラオケボックスで、社員も何名か参加予定だったが。
広報の百瀬亜論は歌って踊っている。同じく広報の山下亜由子と共に、カラオケボックスでも、動画サイト通りに再現し、歓声が飛び交うほど。
「俺、この陽キャな雰囲気についていけない……」
主催者の石井正規は典型的な陰キャタイプ。他の参加している社員、高野マナや杉下荒野も陽キャタイプで、頭を抱えそう。
「だよな。お客さんはきっと陰キャよりが多いと思うけど、社員はそうだね……」
同じく陰キャよりの一橋は正規の言葉に深く頷く。二人がいるカラオケボックスのスミの方はキノコが生えそうなぐらい、陰気なムードがただよっていたが。
「二人とも! 暗いっすよ! せっかくカラオケ来ているんだよ。盛り上がろう。イエーイ!」
杉下荒野は二人に近づき、精いっぱい盛り上げるが、相変わらずだ。
「まあまあ、何か食べましょうよ。適当に注文しますね!」
高野マナはそんな空気を読み、フードやドリンクを注文。
ここで一同は歌ったり騒ぐのはやめ、注文したケーキ、パフェ、たこ焼き、フレンチフライなどを食べ始める。
「いやあ、このフレンチフライは実にうまいね。外はカリカリ、中はホックリ。ケチャップの酸味と絶妙にあうのだ」
百瀬亜論は相変わらずうまそうに食べ、杉下荒野は食べ尽くす。
高野マナは片付けや注文などせっせと働き、山下亜由子は、陰気なムードの正規や一橋に話しかけていた。
「ごめんね。うちの会社って本当陽キャだよね。イエーいって感じだよね」
そうは言っても、山下亜由子の表情は楽しそう。前職ではお局にいじめられた事もあり、今の仕事は余計に気に入っているという。
「ま、お局にいじめられてもなんとかなるらしい。二人とも色々頑張って」
陰キャな二人だったが、亜由子の笑顔には、気が抜けて笑ってしまう。
「正規くん、案外、オフ会って楽しい?」
「そうかもね?」
この時、初めて二人とも笑う。陽気な社員達の空気にやられてしまったらしい。
「またオフ会企画するかな?」
その正規の声は珍しく浮かれ、オフ会の夜は更けていく。




