3話 緊急!ドラゴンクエスト
「なるほどねぇ。」
俺らはすぐさまレオーナに戻り現状をレミさんに報告した。
高位のドラゴンとは存在そのものが災害だ。早急に追いやるなり討伐をしなくてはならない。
「それでカーラっていう女の子は今どこに?」
「街の外の訓練場でミリと何人かの兵士で待ってもらっています、道中も何体か魔物を引き連れていたので戦闘になっているかと。」
カーラには魔物疑惑もあり少々キツく当たってしまったがミリアンダーが居るなら大丈夫だろう、実力的にも俺より強い人間しか居ないし。
「あいわかった、ギルドから正式にドラゴンの討伐依頼を要請するよ、ミリアンダーは護衛継続、ザンクとマリーナも連れていきな、今はいつもの酒場で飲んだくれてるだろう。」
「わかった、ありがとうレミさん。行ってくる。」
「カーラちゃんって子にも一言言ってあげるんだよー」
そんな分かりやすい顔してただろうか
ーーー
いつもの酒場と言うのは竜のささくれ亭と言う酒場で町の端っこにある店だ。
20年前は町唯一の酒場で繁盛していたらしいが今は昔の常連客が通う程度だ。
「だいたいあんたはねぇ雑すぎんのよ。せっかくの毛皮がズタボロじゃない。」
「そりゃおまえさんもじゃ無いか、ワシごと焼き払いよって。」
長身に赤髪、目を引く長耳の女性に岩のような体に鋼の鎧を纏った中年。
その2人の喧嘩を他の常連たちはいつもの事のようにスルーし酒を飲み、店主は一度茶化して店のドアをぶっ飛ばされて以来無言で聴くようになった。
不意にドアが開きベルが鳴る。
「ザンクさん、マリーナさん。ドラゴンが出た。」
ぴったりのタイミングで振り返る2人
「おおヴィルか、1週間ぶりかの。」
「おおヴィルちゃん、丁度1週間ぶりね。」
「「ああ“?被せんじゃねえ!」無いわよ!」
2人はエルフとドワーフの冒険者で20年前からこの街にいるベテランだ。仲が悪いのか良いのか常に同じ酒場で言い争っている。
「忌印、魔物寄せ。」
「本当か!?急ぐぞマリーナ!」
「命令すんじゃ無いわよ、行くわよヴィルちゃん。」
まぁそれ以上にプロなので理解も切り替えも早いのだ。
「一度ミリのところに寄りましょう、外の訓練場で少女が保護されています。」
ーーー
訓練場に着くとミリがオークと戦闘をしていた、忌印の影響とは言え出てくる魔物がオークに偏りす過ぎやしないだろうか。
「ミリ坊!」
ザンクさんが1番に飛び出し俺がそれに続く。
ザンクさんが無手で突っ込み投げ飛ばされたオークを俺が切る
「ひゅう、豪快ー!」
「はぁ...、ミリちゃん大丈夫?他の兵士さんたちは?」
遅れて走って来たマリーナさんが息を整えながら現状を聞くがザンクさんに歳か?と言われ喧嘩が始まる、強い人たちなんだけどなぁ。
「ミリ、カーラに会えるか?」
「もち!先輩方は俺が宥めるからささっと言って来ちゃって。」
「助かる。」
小走りで小屋まで向かい戸を叩く
「冒険者ヴィルヘルム、入ります。」
「ああ、入ってくれ。」
中から聞こえた声は兵士のカルさんだろう、戸を開け中に入る。
「あっ、さっきの冒険者さん...」
カーラは俺を見るなり少し怯えた顔をしていた、俺の態度が悪かったから仕方ないが少し心に来る。
「その...さっき噛んだ舌は大丈夫か?」
「あっはい、兵士さんに回復魔法をかけて貰いました。」
「そうか、なら良かった。」
「「.....」」
気まずい時間が流れる、ガルさんはやけにニコニコしている、笑ってないでなんか助け舟を出して欲しいのだが。
「その、だな。」
「ひゃい!」
過剰に驚かれると凹むが、上からでは威圧的になってしまうと思い屈む。
「ドラゴンは俺たちがしっかり倒す。だから安心してここで待っていてくれ。」
「...はい!」
「いよし、ガルさん。」
「ああ、カーラちゃんの村には俺の部下を行かせてる、ここから西にあるサク村だ、必要ならコキ使ってくれ。」
「助かります、ミリアンダーはここで護衛を継続させます、では。」
「あの!ヴィルヘルム...さん。気をつけて下さい。」
「そう言えば名乗っていなかったな、ヴィルヘルムは仰々しいからヴィルで良い。じゃあ行ってくる。」
戸を開け外に出る、ザンクさんとマリーナさんはまだ喧嘩していた。