逆転生! 乙女ゲームから転生した俺はウルトラハッピーエンド観覧車スチルを目指す!
第6回なろうラジオ大賞応募作です。
俺は【白馬燈路】乙女ゲームの本命ヒーロー!
あの時トラックに轢かれそうなヒロインを華麗にレスキューハグ! ——できてたら今頃はUHエンド観覧車スチルに辿り着いてたのかもしれない。
あの世界が乙女ゲーだと気づいたのは小3の時。
ねーちゃんに「手伝って」と言われるまま学園乙女ゲー『ディア・メロ』を手に取りOPムービーが始まった途端今までの記憶が蘇った。
元々その世界出身だからゲームは楽勝。
でもおかしい。観覧車スチルが出るはずのUHエンドルートがない。俺の理想なのに!!
——レスキューハグが成立しなかったから?
ってことはレスキューできなかったヒロインもこの世界に転生してる可能性がある(と信じる)。
一縷の望みにかけた俺は、その日から勉強、運動、礼儀作法、ファッションセンスにファイナンシャルプラン、鍛錬の限りを尽くした。
そうして高校の入学式。
俺の運命は今日決まる。
この世界で(出会うかもしれない)ヒロインと恋に落ちて遊園地へ誘い観覧車スチルをゲットするんだ!
俺は必死に落ちているハンカチを探す。
ヒロインのハンカチを拾ったことがきっかけで、二人は打ち解けるのだから。
(見つけた!)
と思って廊下に落ちていた白いハンカチに手を伸ばしたけど虚しくも俺の手の甲は誰かの上履きに踏まれた。
「痛ってぇ」と情けない声が出る。
「見せて」
「へ?」
白く長い指に優しく手を取られ、目の前で柔らかな香りをまとった黒髪が揺れた。
「君、新入生代表の子?」
「そうです。生徒会長」
「さすが、顔覚えるの早いね」
「そちらも」
「探してたから、君のこと」
目の中央がふっくら広い生徒会長の整ったアーモンドアイが真っ直ぐに俺を見つめる。
「はい、落とし物」
渡されたのは紛れもなく俺のハンカチ。
咄嗟に廊下を振り返ると、爽やかイケメンが白いハンカチを拾い眼鏡女子に渡しているところが見えた。会釈をする彼女と親しげになるイケメン。
(距離近くない!? そこを退け! 本命ヒーローは俺だ!)
今すぐ挽回しようと会長に感謝を伝え二人を追いかけたけど、それぞれお手洗いに行くようなので諦めた。
いいや、セーブ前だしロードしよ。
…………で き な い 。
ここ現実世界だからそもそもセーブとかないし。
本命ルート逃して当て馬ルート入っちゃったってこと?
目の前が真っ暗になり倒れる寸前、会長が俺を受け止めてくれた。
「全く。君からは目が離せないな」
なんだか乙女ゲームみたいなセリフが聞こえた気がした。
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『なろラジ大賞』書くのも読むのも楽しませていただいています!
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