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嵐が来る

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

随分、詩的で、比喩的で、隠語に塗れたものになりました。

解説をするにしても、全て見たまま感じたまま。


嵐が来る。高い湿度を保って、今行くぞ、今行くぞって、ずっとずっと私に警告を続けている。始まりは些細な縁切りだった。その小さな綻びに指を入れて、私との繋がりを無理矢理引き剥がす。嵐が、嵐が来る。全てを壊して無に帰す、嵐が来る。


「嵐が来る」

彼女は小さな声でぽつりとそう呟いた。何時も夢見る瞳で詩的な言葉を並べ立てる彼女が、トランス状態のままに予言を行った。このままだと、もぬけの殻の状態で、此処では無い何処かに旅立ってしまいそうで、必死に手首を掴んだ。

「最初はね、私がよく行く水族館が潰れてしまった事から始まったの。次に私の携帯の機種変更。その次は私のお友達の病態が急変。その次に……私はこの場所に居られなくなった」

視線は僕を射抜いているが、決して僕の事を見ては居なかった。もっとずっと遠く、この世界の最果てを見るように、余りにも遠くを見据えていた。その先にあるのが幸か不幸か分からない。

黙って彼女の体躯を抱き締める。薄らと纏った脂肪が皮膚に吸い付いて、けれども体温は幾分か低くかった。辛うじて息をして、辛うじて立っている様だった。

「行かないで……」

「ごめんね……」

彼女はぽつりとそう呟くと、黙って腕を回す。非力な力でこの場に押し留まる。

「運命は変えられるなんて言うけれど、私から言わせて見れば、選ばされた事に気が付いていないだけ。緻密に、綿密に、周期と言うものは繰り返す。収束を繰り返された縁は限界を迎えて、一度全て無に帰した。それが私の長月。神無月には一足早かったかな。私に過保護な神様は、お社を飛び出して、懸命に縁を紡ぎ直して下さっている。新天地への切符は、随分と昔に手渡されていた。いいえ、もしかしたら破棄されてしまうかも」

甘い言葉で、甘い声音で、僕の髪を優しく撫でる。相変わらず解読不可能な程に抽象的かつ隠喩に塗れていた。それ程までに、彼女は言いたくない言葉なのかも知れない。

髪を撫でる手が止まる。また腰周りで大人しくなると、そっと囁いた。

「長月に、此処で会うことはきっと無い。けれども貴方との関係が切れた訳じゃないわ。離れても、また、宜しくね」


それからの予言通り、長月にこの場所で彼女と顔を合わせる事はなかった。此処にいた痕跡を残し、彼女は此処を去った。まるで嵐のように。

まぁ、この話を一言で説明しろと言われれば

『平穏無事な生活のツケを払う時が来た。それが私の長月』

です。


人生、良い事があれば嫌な事もあります。

転換期のない人生はありません。

それでも一気に来るって事、早々無いんじゃないかな?

それが彼女は一気に来ました。

彼女自身では、耐えられない程の嵐となって来ました。


これが収束を繰り返した縁は限界を超えて、全て無に帰したという話。


此処まで抽象的に書くの久しぶりです。

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