黒木主任の憂鬱
プロローグ 黒木主任の憂鬱
黒木和彦は、悪者商事で働く35歳の中間管理職である。悪者商事、、、商社とは表の姿、実は、悪の怪人をサポートする、悪の手下を訓練・派遣する、悪の人材派遣会社だ。悪の怪人は厳しい職業だ。ずっと現役で活躍できるのは、一部の花形怪人のみ。ほとんどが、一回のチャンスしか与えられず、表舞台から消えていく。しかし、その怪人が華々しい活躍ができるかどうかは、実は、悪者商事から派遣されてくる、悪の手下の働きがとても重要だったりする。例えば、去年、日本中を恐怖の渦に巻き込んだ、暴走あおり運転怪人。その怪人が実は運転が下手で、あおり運転どころか、高速道路を運転することすら不安でしょうがなかったというのは、一般には全く知られていない。実は、あの一連の暴走あおり運転は、悪者商事から派遣された悪の手下が、全て運転していたのだ。
そのあおり運転怪人の代わりに運転していた悪の手下が、黒木率いる、怪人サポート一課から派遣されていたのだ。黒木は、主任として、怪人からのわがままな要求を聞き、そして、怪人のわがままにうんざりした部下からの不平不満も聞かなくてはいけないという、まさに、ザ・中間管理職という立場であった。
この物語は、悪の組織に属する中間管理職を主軸に、サラリーマンの悲哀を描く感動ドキュメンタリー風シリアスコメディである。