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プロローグ
俺は金が必要だった。
ヒーローは嫌いだ。だが、女手一つで育ててくれている母さんに楽をさせてやりたかった。
アタシは好きな人と肩を並べたかった。
ヒーローである彼の隣にふさわしい女になりたかった。彼がいない人生に、意味はない。
僕は誰かの特別になりたかった。
ヒーローが誰かを助ける姿に憧れていたつもりだった。けれど、僕はただ誰かに認められたいだけだった。
私は妻を殺した奴に復讐をしたかった。
手に入れた力は奴と同じものだった。私とあの殺人鬼との境界線が、私には分からなくなった。
結城飛色ゆうきひいろはヒーローになれなかった。
だが、彼は誰よりも勇敢だった。