表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

ねえ、ジョー。今日のメアリの報告は?


      


王立学園の第三食堂は、広々としたスペースにゆとりのある座席配置となっており、クラシックなピアノの旋律が流れていていかにも優雅な空間を演出している。


 そんな一角、女生徒達が黄色い声をあげて遠巻きに見守るのはこの学院で王子とささやかれるほどの容姿を持った男子生徒とその友人である。


 金髪、みどり目でふわふわとした天然パーマの髪がまるで天使のようですらある。


 女子生徒は彼が、その隣に座る茶髪、黒目の爽やかな顔立ちの友人の耳元に顔を寄せ何事かをささやいているのを見ては遠巻きにささやきあい、あるいは卒倒そっとうして、人の波がさざめいていた。

 

「ねえ、ジョー。今日のメアリの報告は?」


 天使のような微笑ほほえみで、砂糖菓子をめ込んだような愛らしい相貌そうぼうとは裏腹に、他人が盗み聞ぎできないほどの低いーー話しかけられているジョー・マーカスでさえ聞き取りにくいほどの―ーわずかな声音でひっそりとルカ・ハニエルは隣の幼馴染の友人に尋ねる。


 その仕草は愛らしく小首を傾けている角度も、弧を描く口元も、れ下がったまなじりでさえ一瞬のすきもなく邪気のなさを演出していた。


 まさか彼が友人に一人の女子生徒、メアリ・ジェーンを見張らせているとはこの開放的な食堂の中でさえ誰一人として気取らせることはないだろう。


 なにせ彼は用意周到であり、些末さまつな事柄でさえ念入りに準備を欠かさないのだ。


 現に彼らの選んだ席は配膳はいぜんの列から遠く離れており、食堂の出入り口からも遠く、食堂の角、壁一面のガラスに囲まれたちょっとした東屋あずまやのようなスペースである。遠巻きに眺めるにはいいが、近づきがたい。


 話しかけられているジョーのほうは笑顔が引きつっているものの、彼も彼でルカとの付き合いは長く気心は知れているし彼のほの暗い本性も知っているのだ。


「ええ、彼女の友人の一人に聞き込みをしたところ、彼女の好みは、レオ・ギルベルトのようなツンデレと称される性格らしいですね」


「ふうん、レオ・ギルベルト、ね……」


 レオ・ギルベルトはメアリ・ジェーンの幼馴染だ。何かとメアリに突っかかっている様子は以前から何度も目にしている。まさかあれがメアリの好みだったとは。ルカはその端正たんせいな顔を口元だけわずかにゆがませて考えをめぐらせた。


「じゃあ、参考にさせてもらおうかな」


ルカ・ハニエルはツンデレに擬態ぎたいすることに決めたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ