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44、台風とポトフ

「朝葉様、明日は台風が来るそうです」

 トワロがやって来て言った。

「え!? 大変!! 畑の野菜を収穫しておかなきゃ!! トワロも手伝って!」

「はい、朝葉様」


 朝葉はトワロと食材袋を抱えて、畑に駆けつけた。

「まだ、空模様は大丈夫そうね」

 そう言いながら、トウモロコシやなす、ジャガイモ、トマトなどの野菜を収穫した。

「そうですね」

 トワロも畑の野菜を収穫し、食材袋に詰め込んだ。


「よし、これくらいで良いかな」

「そうですね、朝葉様」

 朝葉達はめぼしい野菜を収穫し終えると、バンガローに戻った。


「よし、取ってきた野菜でポトフを作るよ! たしか前に暴れ水牛の肉を塩漬けにして熟成させてたから、それも使おう!」

「おまかせします、朝葉様」


 朝葉は大きな寸胴鍋を取り出し、三分の一暗いに水を入れて、コンロに火をつけた。塩漬けの水牛の肉を冷蔵庫から取出しブーケガルニと一緒に、煮立った寸胴鍋の中に入れる。

「野菜は大きい方が美味しいよね」


 そう言って、朝葉はトウモロコシを三分の一に、なすはへたを取りそのまま、ジャガイモは皮を剥き丸ごと、鍋にどんどん入れていった。

「トマトも良い味でるから皮ごと入れちゃおう!」


 寸胴鍋は一杯になった。

「よし、これで蓋をして、コトコト煮込むよ」

 朝葉が言うと、トワロは席を立って言った。

「私は家の周りに飛びそうな物がないか見てきます」

「ありがとう、トワロ」


 トワロは家の外を見回ったが、特に飛びそうな物はなかった。

「朝葉様、家の外は大丈夫そうです」

「それじゃ、あとは鍋の灰汁を取り除きながら煮込むだけかな」


 家の中は鍋がぐつぐつ言う音だけが響いていた。

 トワロが言った。

「朝葉様、勇者として騎士の修行に出てみようとは思いませんか?」

「え? お城で剣を振ったりする奴? あんまり興味ないなあ……」


 朝葉はポトフの味見をした。

「うん、塩漬け肉から良い味が出てる。香草の良い匂いもしてるし、胡椒をちょっと強めに足せば良い感じかな?」


 しばらく煮込んで、寸胴鍋一杯のポトフが出来た。

「トワロ、どうぞ」

 朝葉はポトフを一人分、お皿に取り分けてテーブルに置いた。

「朝葉様は?」

「私も食べるよ」

 朝葉はそう言って、また一人分のポトフを取り分けてトワロの前の席に置いた。


「いただきます」

「いただきます」

 朝葉とトワロはポトフのスープを一口飲んだ。


「うん、胡椒が効いてて、お肉からも良い味出てる!」

「塩加減が丁度良いですね。野菜の甘みが優しいですね」

 トワロと朝葉はポトフをペロリと食べてしまった。


「美味しかった!」

「ごちそうさまでした」

 朝葉はトワロに言った。

「明日は、自宅待機でよろしくお願いします」

「そうですね、私もお城に居ます」


「食事は……これだけ一杯ポトフがあれば、何日か持ちそうだし」

 朝葉はそう言って寸胴鍋を見つめて微笑んだ。

「それでは、今日はこの辺で失礼致します」


 トワロはお城に帰っていった。

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