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35、クラーケンのバター醤油焼き

「朝葉、家の近くでクラーケンが暴れてるんだ。退治してくれないか?」

セリスがバンガローにやって来て言った。

「クラーケンって?」

朝葉が聞くと、セリスは答えた。

「イカのお化けみたいな奴だよ!」


「分かった!」

朝葉はそう言うと、討伐の準備をした。

「お城に寄って、トワロも呼ぼう!」

「そうだね、クラーケンは強いからね」

朝葉とセリスは城に向かった。


城に着くと、兵士達の詰め所に行った。

「こんにちは、トワロは居ますか?」

「朝葉様!?」

トワロが部屋から慌てて飛び出してきた。

「どうしたんですか?」

トワロが尋ねると、朝葉は答えた。

「クラーケンを倒そうと思ってるんだけど、手伝ってもらえるかな?」


「お待ちください、朝葉様。王に許可を得てきます」

トワロはそう言って、玉座の間に駆けていった。

しばらくすると、トワロが息を切らせて戻ってきた。

「海辺の民たちのために、クラーケンを倒してくるように王に言われました」

「うん」

朝葉は無邪気な顔で頷いた。


朝葉達はセリスの家の傍の海岸へと移動した。

「大きな波が来ています!」

トワロが言うと、セリスが答えた。

「クラーケンが暴れてるんだ」

「よし、行こう!!」


朝葉達は、浜辺で町を襲おうとしているクラーケンに攻撃を仕掛けた。

トワロが剣で、クラーケンの眉間を打った。

「ぐわあぁっ」

朝葉が水辺に立ち、急所探索のスキルを使う。

「分かった! 口が急所だよ!」


それを聞いてセリスが銛をクラーケンの口に打ち込んだ。

「ぎゃおぉっ」

クラーケンは大きく触手を広げた後、静かに海に浮かんだ。

「解体のスキル!」

朝葉はクラーケンを身と触手、肝に解体した。


「ちょっと、量が多くて大変だけどバンガローに全部持って帰るよ」

「わかりました、朝葉様」

トワロはそう言うと、パンパンに膨らんだ食材袋を肩にかけた。


朝葉達は城に寄って、王にクラーケンを退治したことを報告した。

王からはねぎらいの言葉がかけられた。

「早く帰って下処理しないと、鮮度が落ちちゃう!」

朝葉は王に手短に挨拶をすると城を出た。


朝葉達は早足でバンガローに戻ってきた。

「さてと、クラーケンの皮をむいて、適当な大きさに切ったらお酒に漬けよう」

「お酒?」

トワロが尋ねると、朝葉は笑顔で頷いた。

「臭みが抜けるんだよ」


朝葉はクラーケンを手のひらサイズに切り分けると、大きなフライパンにバターをたっぷり入れた。

「よし、焼くよ」

バターの溶ける良い匂いが部屋に立ちこめた。

クラーケンの切り身をいれるとじゅうっと良い音がする。

そして、醤油をかけて味を調整した。


「もう一つ作るよ。クラーケンの肝煮」

朝葉はそう言って、一口サイズに切ったクラーケンの肝と身とブロッコリーを炒めた。

そして塩、胡椒、酒で味を調える。

「うん、上出来!」

朝葉は味見をして、にっこりと笑う。

セリスとトワロのお腹がぐうっと鳴った。

朝葉は残ったクラーケンの身を冷蔵庫にしまった。


「出来たよ!」

朝葉は二つの料理を大皿に盛って、テーブルに並べた。

「いただきます!」

セリスとトワロが言った。


「香ばしくて美味しい!」

朝葉も頷いた。

「クラーケンの甘みが、醤油のしょっぱさと合ってる!」

トワロも嬉しそうに食べている。

「こっちの肝煮も、こってりとしていて美味しいですよ!」


三人は次々におかわりをして、大皿は二つとも空っぽになった。


「ごちそうさまでした!」

「お祭りの屋台みたいに美味しく焼けたね、バター醤油焼き」


朝葉がそう言うと、トワロとセリスは首をかしげた。

「屋台ってなんだい?」


「そっか、この世界には屋台はないのか」

朝葉は少し、がっかりした。

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