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28、電気クラゲの酢の物

「朝葉、助けてくれ!」

セリスがドアの外から、叫んでいた。

「電気クラゲがカレドの町の港に出たんだ!」

「ちょっと待ってね」

朝葉は慌てて身支度を調えた。


「セリスさん、おはよう」

朝葉はドアを開けた。

「おはよう、朝葉」

セリスは朝葉にそう言うと、話し始めた。


「海沿いの町、カレドに電気クラゲが現れたんだ!」

「電気クラゲですか?」

「ああ、漁が出来なくて、村の人が困ってるんだ」

朝葉はそれを聞くと、すぐにおむすびを作ってから、セリスに道案内を頼んだ。


「朝ご飯、まだだったから。ちょっと待たせちゃってごめんね」

「いや、こちらこそ早い時間に申し訳ない」

二人は街を抜け、セリスのウチを通り過ぎ、カレドの町にたどり着いた。


「おまたせ、みんな! 勇者様を連れてきたよ!」

「ありがたい! 助けて下さい、勇者様」

朝葉はそう言われてちょっと照れた。


「あそこの船に乗って! 電気クラゲは大きいんだ」

「うん」

船頭は、朝葉とセリスが船に乗ったのを確認すると、海原に船を出した。


船でしばらく行くと、船と同じくらい大きなクラゲが、ぷかぷかと浮いていた。

朝葉とセリスは、クラゲを観察した。

朝葉は言った。

「クラゲの中央に赤い点が見えるよ! 多分急所だよ!」

「私には見えないな。朝葉の特殊能力じゃないか?」


朝葉は剣で、赤い点を刺すと、クラゲから色が失われた。

どうやら、絶命したらしい。

「大きいだけで大した事無かったね」

「朝葉の能力があったからだよ」

セリスは続けて言った。

「私や村人がいくら攻撃しても倒れなかったから」


「それじゃ、クラゲの傘だけ持って帰ろう。足には毒があるみたい」

「そっか、じゃあ、船に引き上げよう」

朝葉とセリスは大きなクラゲを何とか船に引き上げようとしたが、大きすぎて船に乗らなかった。

仕方が無いので、クラゲの傘の半分だけを切り取って、持って帰ることにした。


「朝葉、ありがとう」

「ううん、クラゲ、何作ろう。やっぱり酢の物かな」

「これも食べるのか」

セリスは笑って首を振った。


二人は岸につくと船頭にお礼を言って、バンガローに戻っていった。


「今日は、クラゲの酢の物と、オリーブオイルとヴァルサミコ酢の和え物をつくるよ」

「うん」

「まずはクラゲを良く洗って、小さく切って」

朝葉が調理する様子をセリスは見守っていた。


「後は調味料で和えるだけ」

「簡単だね」

「うん」

朝葉はクラゲの和え物2つを机の上に置いた。


「いただきます」

「コリコリしてて美味しい!」

「簡単な味付けがクセになるね」


「お酒、飲めたら良いのになあ」

「セリスさん、未成年でしょ!?」

二人は食べ終わると、残りを冒険者の館に持って行くことにした。


冒険者の館では、珍味とよばれ5000ギルで売れた。

「こいつは酒のつまみに丁度いい」

「よかったです」

「今日はトワロは居ないのか?」

「はい」


「そうか、トワロも勇者様の騎士レベルが上がらないと困るみたいだしな」

「そうなんですか?」

「ああ、勇者の育成を仕事にしてるんだからな」

「そうですね」

朝葉は食べることばかり考えていたので、少し反省した。


「でも、最近は朝葉もダンジョンに入ったり冒険者のレベルが上がってるみたいじゃないか」

「はい」

「無理に騎士を目指さないで、このまま調理師しながらで良いんじゃないか?」

「そうですね」


朝葉とセリスはそれぞれ家に帰って行った。

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