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27、オーグの角煮

「大変です、朝葉様! 隣村がオーグに襲われました!」

トワロがバンガローに駆け込んできた。

私は朝食を切り上げて、トワロに聞いた。


「オーグって何?」

「イノシシのような、大きな怪物です」

トワロは汗を浮かべながら言った。


「へー。だったら角煮にしたら美味しそうだね」

「何をのんきなことを言ってるんですか!?」

「ごめんごめん、ちょっと待ってね」

朝葉は剣と盾を装備して、いつもの食材袋をカバンに入れた。


「女王様から、オーグ討伐の依頼がありました」

「わかった。行こう!」

トワロの後に続いて、朝葉は駆けていった。


「隣町って、セリスさんの家の傍?」

「はい、そうです」

「セリスさん大丈夫かな?」

走りながら、会話をしたので息が切れた。


しばらくして、隣町に着いた。

街は、建物の壁に穴が空き、怪我人も倒れていた。

「朝葉様、大丈夫ですか?」

「ええ、トワロ、私は大丈夫。早くオーグを倒さないと!」


「ぐぇえええ!!!」

声がした方に走って行くとそこにはオーグが一匹居た。


「行きますよ、朝葉様!」

「ええ!」

トワロと朝葉でオーグを挟み撃ちにした。

オーグは大きな金槌で朝葉を殴ろうとしたが、朝葉はヒラリとよけた。


「けっこうおっきいね」

そう言いながら、朝葉は解体のスキルを発動した。

オーグの体にまばゆい光りの筋が見える。

朝葉はオーグの攻撃を躱しながら、光りの筋を剣でなぞっていった。


「うおおおお!!!」

オーグが倒れた。

朝葉は、汗を拭った。


「これで、一安心」

「やりましたね、朝葉様」

朝葉は、オーグを綺麗に解体し、その肉を食材袋に入れた。


「じゃあ、帰りましょうか」

「女王様から、オーグの皮を持ち帰るように言われています」

「はい、じゃあこれどうぞ」

オーグの皮は重かった。

トワロは背中にオーグの皮を担いで、王宮に向かった。


朝葉は、トワロにオーグ討伐の報告を任せると、バンガローに戻っていった。


バンガローに着くと、朝葉は大きな鍋をコンロの上にのせ、下処理をしたオーグの肉をその鍋で煮込み始めた。

「オーグの角煮、美味く出来るかな?」


コトコトと煮込んで、半日が経った。

油がずいぶん浮かんで来ている。

朝葉は、味見をした。

「うん。もうちょっと甘い方が美味しいかな?」


鍋からは良い香りが立ち上っている。


そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。

「よ、朝葉」

「セリスさん! こんにちは」

朝葉はセリスを座らせると、鍋の元に戻った。


「今日は何を料理してるんだい?」

「オーグです。角煮にしています」

「へー」

朝葉とセリスが話していると、トワロが戻ってきた。


「朝葉様、王女様に討伐の報告を済ませ、毛皮を渡してきました」

「ありがとう、トワロ」

「良い匂いですね」

トワロはセリスに会釈すると、空いている席に着いた。


「さあ、出来たよ! オーグの角煮。からしは好みでつけてね」

「いただきます!」

トワロとセリスは一口頬張って、とろけるような顔をした。


「相変わらず、朝葉様の料理は美味しいですね」

「うん、美味しい。油としょっぱさと甘さが丁度いいバランスでいくらでも食べられる」

トワロとセリスは口々に褒め称えた。


「じゃあ、私も食べよっと」

朝葉は角煮をパクリと囓った。

「柔らかい! 美味しいね」


朝葉達は残ったオーグの角煮を冒険者の館に持って行った。

「肉か、良いな! ほれ、8000ギルだ」

ロイはそう言って、オーグの角煮の代金8000ギルを朝葉に渡した。

「いつもありがとう、ロイ」

「いいや、こっちこそ助かるぜ」


朝葉達は、冒険者の館を出ると、それぞれの家に帰っていった。


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