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25、地底亀の鍋

朝葉は久しぶりに冒険者の館に行った。

すると、ロイが話しかけてきた。


「よお、朝葉、元気か?」

「はい、元気です」

「新しい依頼があるんだが、行ってみるか?」

「どんな依頼ですか?」


ロイは一枚の紙を取り出した。

「砂漠の先のダンジョンの地下三階にいる、地底亀の討伐だ」

朝葉はロイから渡された依頼書を読んで頷いた。

「行きます!」

「それじゃ、また倒したら報告に来てくれ」

「わかりました」


朝葉は市場で足りなくなった調味料を買ってから、バンガローに戻った。


しばらくすると、いつものようにトワロとセリスがバンガローにやって来た。

「こんにちは、朝葉様」

「こんにちは、トワロ、セリス」

「こんにちは」


朝葉は二人にお茶を入れた。

そして、言った。

「今日は、砂漠の先のダンジョンの地下三階に居る地底亀の討伐に行こうと思うんだけど、良いかな?」

「そうですね、ちょうど良いでしょう」

トワロが言うと、セリスも言った。

「あたしもかまわないよ」


三人はお茶を飲み終わると、ダンジョンへ出かけていった。

最近はモンスターと出くわすことも減ってきた。


ダンジョンへ着くと、三人は地下三階を目指した。

闇コウモリや爪もぐらを倒しながら、地下に続く階段を探す。

「ありましたよ、朝葉様」

トワロが叫んだ。


「分かった、そっちに行くね」

三人は注意深く階段を降りた。

すると、大きな亀がのそりと現れた。


「地底亀は水魔法を使います、気をつけてください!」

トワロの言葉に朝葉とセリスは頷いた。

朝葉は亀をひっくり返そうと剣を向けた。


「危ない!」

セリスが朝葉をかばった。

地底亀が水鉄砲の呪文を唱えたのだ。

朝葉達はかすり傷を負った。


「負けないよ!」

朝葉は剣に光の魔法をかけた。

剣が輝く。

光の剣は、地底亀の首をはねた。


「やりましたね、朝葉様」

「うん、地上に運んで解体しよう」

三人は地底亀を地上まで運んだ。


「解体のスキル、発動!」

朝葉はそう言って、地底亀を殻と身に解体した。

そして、その身を袋にしまい、殻は背中にくくりつけた。

「朝葉、亀みたいだな」

「ええ!? だって、大きいんだもん」

セリスの言葉に朝葉は頬を膨らませた。


「それではバンガローに帰ってから、冒険者の館に向かいましょう」

「うん」

朝葉達はバンガローに帰ると、地底亀の身を冷蔵庫にしまった。


その後、冒険者の館に亀の甲羅を持って行くと成功報酬として5000ギルを渡された。


「さあ、帰って亀の鍋にしよう!」

「鍋ですか? どのような料理ですか?」

「亀の肉を一口に切って、野菜やキノコと煮込んだ料理だよ」


朝葉たちはバンガローに戻った。

朝葉は鍋の用意をしていると、セリスが言った。

「なあ、朝葉。料理ばかりしてるけど、騎士のレベルは上がってるのか?」

朝葉の代わりにトワロが答えた。

「はい、一応冒険もおこなってるので騎士のスキルも魔術師のスキルも上がってきていますよ」


朝葉は言った。

「王女様、フィーリア島にドラゴンが出たって言ってた。ドラゴンって美味しいのかな?」トワロが慌てて答えた。

「今の朝葉様では、反対にドラゴンに食べられてしまいますよ」

「そっか、残念」

朝葉は首をすくめた。


「あ、良い匂いがしてきた」

朝葉は鍋の灰汁をすくいながら、味見をした。

「亀の肉と味噌が良く合うよ」

そう言って朝葉は三人分、鍋を取り分けた。


「いただきます」

三人はテーブルを囲んだ。

「味噌が良い味に具にしみこんでますね」

「良い味」

「お肉がプルンプルンだね」


「ごちそうさまでした」

「残った汁で、うどん作ったよ」

「うどん?」

トワロが怪訝な顔で朝葉に聞いた。

「小麦粉を練って、細長くした食べ物だよ」


「お、これも美味しいな」

セリスはチュルチュルと器用に食べた。

トワロは苦戦しながらもうどんを食べている。


「さてと、お腹いっぱいになった?」

「はい、朝葉様」

「ごちそうさま、朝葉」

三人は地底亀の鍋を食べ尽くしていた。

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