18、味噌
街を出てすぐに、人だかりが出来ていた。
「なにかしら、トワロ?」
「ああ、行商が来ているのでしょう」
「行商? 」
朝葉は人混みをかき分けて、その中心地に立った。
そこには見慣れない雑貨や、調味料、武器や防具が、大きな馬車に山積みにされていた。
「すごい!」
朝葉は迷わず調味料を見に行った。
そこには味噌や醤油と言った調味料が並んでいる。
「やった! これ、全部下さい!! 」
朝葉が行商人に言った。
行商人は驚きながらも答えた。
「10000ギルです」
「はい」
朝葉は行商人に代金を渡すと、商品を受け取った。
トワロはびっくりした。
「朝葉様、そんなに買い占めてしまって大丈夫ですか!? 」
「大丈夫だよ。けっこう長持ちするものばかりだもん」
若干引き気味のトワロを横目に、朝葉はホクホクと上機嫌だった。
「ねえ、トワロ。行商人はいつも、いつ来るの? 」
朝葉がトワロに訊ねる。
「さあ、大体一ヶ月に二回くらいで、時期は決まっていませんね」
トワロは首をかしげてから言った。
「そうなんだ」
朝葉は頷きながら、買った物を鞄にしまった。
「東の国って遠いの? 」
朝葉は大きくなった鞄を嬉しそうに抱えて、トワロに聞いた。
「大体馬車で二日くらいですね」
トワロは朝葉の様子を見ながら答えた。
「行けない範囲じゃないね」
「そうですね」
朝葉の言葉にトワロが返事をする。
「でも朝葉様、今は闇コウモリを倒すのが先決です」
トワロは朝葉にいった。
朝葉は頷いた。
「闇コウモリは田楽にしようかな」
「田楽?」
トワロが眉をひそめた。
「味噌を使ったお料理だよ」
それだけ言うと、朝葉は上機嫌でバンガローに向かって歩き出した。
トワロもあわてて、その後を追った。