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第6話 王家の噂

「孤児院の子供が売られていく?」


「はい……

 年上の皆さんも口を揃えて言ってましたし、みんなでそれを恐れていました……


 ある日見た人がいたそうです。

 お金と引き換えに売られて、ムチで叩かれながら連れて行かれる子の姿を……」


 人身売買のようなものか。

 しかも、孤児院がそれを行なっている、だと??


「それは限りなく黒いな……

 王家が一枚噛んでたりするのか?」


「分かりません……

 ただ……」


「ただ?なんだい?」


「王家で雑用としてこき使われてる人は孤児が多いと聞きます

 私も怪しいと思います……!

 というかそう思ったからこそ、孤児院を抜けてスラムで暮らしてるんです……

 孤児院で、身の危険を感じて……」


 ふむ……探ってみたらなんか出てきそうだな。これはもしかしたらこのローテン王国の王家がこの世界の平和を脅かす因子の1つやも知れないな。


「あと……

 こんなこと言うのもあれなんですけど……

 身の危険を感じた理由の1つで……

 孤児の少女は慰みものにされるために貴族や王家に売られていくという噂も……」


 うわっ……めちゃくちゃありそうな話だ。


 力の強いものが弱いものから搾取していく。

 王権とか貴族の特権が強いのだろう。

 まさにアンシャン・レジーム……


 王家の話から取り掛かりたいな。


 成敗すべき方向性が見えてきたな。


「ありがとう、情報は役に立ちそうだよ」


「ほんとですか?!

 あ、あの……またお花買いに来てくれますか……!!」


 照れたような表情で彼女は僕に問いかける。


「ああ、喜んで!!

 きっとまた買いに来るよ!!」


 そう言って僕は彼女に別れを告げたのであった。


 さて、今夜の宿を探さないとな……


 商人たちの話を通りすがりに聞いてみると、どうやら王都はここから北街道沿いに少し行ったところにあるらしい。


 王都とは違う街でなおかつ人も多そうなこの街に拠点を置こう。

 少し距離を取った方が動きやすいに決まってる。


 そうなると不動産屋みたいなところに行って家も買わないといけないな……


 この世界の人で、一緒に活動できる、そんな協力者もいくらか欲しいところだ。


 そんなことを考えているうちに宿らしき店に辿り着いた。


 よし今日はとりあえずここに泊まろう。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼


「特別報告があります」


 机に向かってペンを走らせていた男が、手を止め、声のした方を向く。

「入れ」


 黒い服をまとった男が入ってくる。


「失礼いたします。プテロートでユーリという少女を発見いたしました。

 彼女は現在13歳で、1人娘です

 プテロートでも評判の美しき少女だということです」


「それで?」


「はい。親は医学の心得があり、2人で診療所を営んでいるようです」


 黒衣の男がそう言うと、机に向かう男はにやり、と悪い笑みをたたえる。


「ふむ。なるほど、医学か。いつものようにやってくれるということかな?」


「はっ、仰せの通りに。手はずは整っております」


「そうかそうか。ご苦労。よろしく頼むよ」


 黒衣の男は一礼して部屋を去っていった。


 残された男は立ち上がり、部屋の隅に垂れ下がる紐を引く。


「はーい、あなた?どうしたの?」


 どこからともなく女の声が響き渡る。


「なぁに、いつものことさ。この前のあれ、名前は忘れたが……な?

 新しいやつがくるからあれはお前にやるよ

 いつものようにしてくれて結構。

 そちらに向かわせる」


「あら、ほんとー?ありがとう。ちょうど足りなくなってたところなの!!」


 ご機嫌な女の声に男の方も満足げだ。


 さて、用済みになったあれを呼ぶかな?

 もっとも、あいつが自分の意思でここに来れたら、の話だがな。


 ふはははははははっ……!!

 悪魔のものとも思えるような笑い声が静まり返った廊下にまで響き渡るのであった。

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