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冒険者 カイン・リヴァー  作者: 足立韋護
第四章 【失礼冒険者と失われた海域】
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絶海の孤島

────船長や船員含むアベル以外を投げ飛ばしたころには、甲板上は浸水し、船は七十度ほどの角度まで斜めになっていた。


「全員飛ばしたはいいが……この魔斧担いだままじゃあ厳しいか」


 カインが魔斧ドラードを背中から取り出そうとしていると、甲板の陰から見覚えのある一人の冒険者が顔を出した。


「ローゼ! お前まだいたのか!」


「船室のほうでマーマンに囲まれて、ずっと戦ってたのよ! 誰も助けに来ないし!」


 その通りなのだろう、ローゼの衣服は所々が破けてしまっており、生傷もいくつか確認できた。いよいよ足首が海水に浸かり始めた。


「みんな俺が投げ飛ばしてやったから、お前も!」


「私は結構。何とかできるわ」


「何を馬鹿げたことを」


 カインはローゼの奥を二度見した。烏賊の足のようなものがいつの間にか引っ込んでいる。投げ飛ばすことに集中するあまり気づけなかった。何故か余裕の表情を見せるローゼに首を傾げていると、突如として甲板が大きく傾いた。

 カインは足を滑らせ、海中に放り出された。


 息ができない。おまけに背負っている大斧のせいで浮力も失われ、みるみるうちに海底へ引きずりこまれていく。やがてカインの息が続かなくなり、次第に意識が朦朧とした時、誰かに手を引かれた感覚があった。誰とも確認することもできず、意識はそこで途絶えた。


────何かざらついた感触があった。


 カインは薄茶色に光る浜辺に横たわっていた。体を起こして身を確認するが、特に大きな傷はない。背中にはいまだに大斧が背負われている。


「ようやく起きたわね」


 声のする方へ目をやると、そこにはローゼやアベル、それに数名の冒険者の姿があった。


「ローゼ、みんな……ここは」


 アベルが一歩前へ出た。


「ルーダ島です」


 立ち上がったカインが周囲を確認するも、ひたすらに水平線が広がっていた。鳥類が数匹、気持ち良さそうに風に乗って鳴き声をあげている。

 改めて冒険者らの方へ顔を向けた。三十人はいた冒険者のうち、八人程度がそこに集まっていた。皆焚き火にあたり、体を乾かしている。中には有名どころと言われていた竜殺しのストガや、土の申し子テリアの姿もあった。しかし、クリスら一行の姿は見当たらない。


「小僧、お前を信じたおかげで助かった。ありがとよ」


 ストガは彫りの深い顔でにんまりと笑って見せた。


 それに追随するようにしてテリアも「わたくしも。お礼を言わなければ」と頷いた。他の冒険者らに比べて、この二人は特に冷静な様子だった。日が暮れてきたため、今日はこの場で野営をすることとなった。

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