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冒険者 カイン・リヴァー  作者: 足立韋護
第三章 【無配慮冒険者と無限迷宮】
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騙し討ち

 カインは「神様ってのはどいつもこいつも……」と悪態をつき、死体を調べながら進んだ。


「しかし、ここまで人間が殺し合うなんて」


「脱出経路が変わり続ける迷宮で精神を擦り減らし、あの強力な化物で恐怖心を煽る。そして極めつけは幻覚を見せるあのモヤ。限界状態の人間にそんなもの見せつけたら、それにすがるに決まってる。でもそれは一人だけじゃなかった」


「こんな大勢が……。クエストでも貼り出されていたんでしょうか」


「かもしれないな。そうでもなければ、ニータの両親もこんな迷宮には入らなかったはずだ」


「それなら、生き残った最後の一人や、我々のような後に来た者がその宝を持ち去っていそうですね」


 カインは「そうでもないみたいだ」と道の先を指差した。先には広い空間があり、その最奥の台座に何かが残っていた。屍を越えていき広い空間へと踏み入ると、さらに多くの死体が転がっていた。壮絶な争いがあったように見える。空間の出入り口付近を見ると、浅く息をしている冒険者が横たわっていた。二人が駆け寄ると、冒険者はこちらを確認してから、再度苦しげに顔をしかめた。


「おい大丈夫か」


「水と、薬か何か、ないか……」


 アベルがカインへと視線を向けると、カインは頷いて見せた。水と薬を飲ませ、手負いの冒険者を壁に寄り掛からせて座らせる。


「すまねえ。助かる……」


「仲間はいないのか」


 手負いの冒険者は首を横に振った。


「お宝求めて来たはいいが、途中ではぐれちまってな。手負いのまま死ぬ気で進み続けたはいいが、ようやく見つけたお宝がまさかあんなもんだったなんて、酷い話だぜ」


 手負いの冒険者が台座を指差した。カインとアベルが見つめると、台座には見たこともない美しい花が一輪咲いていた。薄暗い中でも、白く輝いて見えるほどであった。


────背後から、空を斬る音が聞こえた。咄嗟にアベルが振り向くと、刃がアベルの眼前で止まっている。短剣の刃を魔斧の柄で受け止めていた。


「何のつもりだ」


 カインが低い声で問うと、先程まで瀕死に見えていた男が素早く立ち上がり、短剣を構えた。


「ここに来て理解したのさ。ここにお宝なんてものはなかったが、ここに来るお宝はあるんだってなぁ!」


 男が短剣を突き出しながら突っ込んできたが、カインはそれを軽くかわし、頭部に拳骨を入れた。鈍い音と共に男はその場で倒れ、気絶した。


「バカ野郎が」


「まさか盗賊だったとは……」


「この迷宮に盗賊にされちまったのかもな」


 盗賊を縛り上げた二人は、積み重なった死体を探っていくうち、見覚えのある金色のペンダントを見つけた。


 正確には、ニータの身に着けていたものと同じペンダントを首に下げた"死体"であった。

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