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冒険者 カイン・リヴァー  作者: 足立韋護
第二章 【無礼冒険者と無名の城】
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玉座の間

 カインはやがてアベル、ギルと歩みを揃えた。アベルはカインの警戒した姿が目に入り、自身も杖を構え周囲を見渡しながら進む。


「どうしたのだ、アベル」


「カインがこうなっている時は、大抵何か起きるんです。ギルさんもどうか気を付けて」


 ギルは、そんな馬鹿なと、初めは冗談か何かかと思ったが、二人の真剣な様子にやがて剣を前に構えた。城の内部は相変わらず薄暗く、遠い昔に崩落してから誰も足を踏み入れていなかったのか、埃臭さが漂っている。かつて書物庫だったであろう部屋も残されたものはなく、武器庫にも槍のひとつも置かれていなかった。一見すると、何の価値もなくなった場所に見えた。

 モンスターが一切現れないため、カイン、アベル、ギル以外の面々は徐々に警戒を解いていき、武器を納め始めた。


「こりゃクエストも終わりかねぇ?」


「騎士団長、どうされますか」


 ジークはどこか納得のいかない様子で俯いてから「場内の探索が終われば、周囲の町に行き、安全確保ののち、帰還する」と、渋々答えた。皆が安堵したようなため息をつき、モンスターらとの激戦を労い合い始めた。

 一同が上階へ続く階段を昇ると、そこはかつて領主が鎮座していたであろう玉座の置かれた間であった。上階へ来たことで、より天井の崩落が激しい箇所が増え、太陽の眩しさが際立つ。


 光指す玉座には、一人の髪が腰ほどまで伸びた少女が瞼を閉じて座っていた。


 そのあまりにも異様なその光景にその場の全員が息をのんだ。モンスターに囲まれたこの城に、一介の町の娘が座っているわけがないことは、誰もがわかっていた。カインは城の敷地内に入った時に感じた"異質"な空気感の正体がこれであると悟った。

 誰もそれ以上、近づくことができないでいると、やがて少女が身を揺らしながらその瞳を開いた。一瞬、真紅に光るその瞳を見ようとしたとき、カインは力の限り叫んだ。


「……! 見るなァッ!」


 瞬間、カインは目を固く閉じ、両隣に立つアベルとギルの視界を手で塞いだ。そして、二人の襟首を掴むと崩落しかけの天井へと二人を強引に投げ飛ばした。


「カイン……!」


 アベルが驚きながらもカインに何かを叫ぶも、天井から外へ飛ばされたため、カインの耳には届かなかった。カインは長く、そして深く息を吸うと、魔斧ドラードを正面に構えなおした。

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