一口シリーズ総集編 ホラーと百合
本シリーズはホラーと百合を交互に構成しております。興味の無いジャンルのところは騙されたと思って読んでください。興味のあるなし関係なくすぐ読み終わるでしょう。
<帰宅>
今朝はアラームが鳴らなくて、時計の針が8時35分を指してるのを見て飛び起きた。
朝食はもちろん顔を洗うこともできず、スリッパを蹴るように脱いで靴のかかとを踏みながら履いて駅にダッシュした。
んで、今帰ってきたとこ。
スリッパが履く方をこちらに向けて、待っていたかのように揃えられている。
奥に知らない女が俯いて正座してるのが見える。
<シャンプー>
湯気で満ちた浴室、シャンプーのボトルが2本ある。中身も違う。髪の匂いでみんなにバレても面倒だし。
…でも、1日くらい使っても………バレないよね?
<公衆トイレの者共>
「赤い紙はァ〜〜〜いらんかねぇえ〜〜?青い紙はァ〜〜〜いらんかねぇえ〜〜?」
チッ、イカれたおっさんが迷い込んできやがった。まあ公衆トイレだしな、今までも人が入ってくることはままあったが…。用を足すのが目的じゃねえ以上いつ出てくかわかんねぇ…。
ったく、3時間もかけて流したってのに。追加で3時間流してたんじゃあ夜が明けちまう。
<サンドイッチ>
ミクはいつもサンドイッチを作るとき、食パンで具を挟んで耳を切り落として作る。
そのパンの耳をもそもそ食べながらミクの優雅な朝食を見守るのが、私の朝。
あの麗しい唇に丁寧なサンドイッチが運ばれていくのを見ていられるだけで、私は全てが満ち足りるのだ。
<フロムマイベッド>
最近寒いので、夜布団で眠るときは体を丸めて夢に落ちるのを待っている。ふと、今の自分を布団という子宮の中の胎児みたいだと思い、右手を突き出して産まれてみた。
右手は生温い手のような何かに握り締められた。指が10本以上あったのか、手が複数だったのかはわからない。ただ、触られたところは、異様に、かゆい、きもちわるい
<愛媛衣織の日記>
1月8日(月)最悪の滑り出しだ。リリと一緒に帰れなかった。リリに冬休みの話できなかった。リリの海外旅行の話聞けなかった。リリの方から声かけてくれなかった。リリ
倉山君は私からリリを奪いたいんだ。だってあいつの目も、私がリリを見る目のように、つよくひかってる
<つけられる>
家の最寄駅に着いてから、後ろを背の高い「何か」が付いてくる。
「よくしりたいむこうはあなたのよみちですか?」
男だか女だかわからない機械みたいな調子の声で訳の分からないことを、間違いなく俺に語りかけてくる。
「ろくをうすめのかたちにくろいろがしじをきましょう。」
人気も無く暗い帰り路。怖くて仕方ないけど、このまま帰ったら家に入ってきそうでもっと怖い。なんとか撒けないだろうか。
「あなたのいえはこっちですよねまちがえないでください。」
<気の置けるスキはない>
「言い訳をしたそうな目してんな」
「ミハルが私から目を離したのが悪いよ」
「話しかけられたらその人の方を向いて話せって習わなかったか?お前」
「私はミハルに認知されてないと死ぬって習った」
「アタシに会うまで死んでたのかよ」
「そうだよ」
「………………………んなっ、お前……」
「ミハルが私の全てだよ」
「重いわ。
………半分くらいにしとけ」
<聞いて体験談>
開いてくれてありがとう。
聞いてほしい話があるんだ。あれはちょうど先週の今夜のこと。
2時を回っても寝れなくて、常夜灯つけて暖房お前も効かせながらスマホで動画見てたんだよ。
そしたら突然照明が消えてエアコンも止まったんです。
せっかく眠くなってきてたのに怖くて眠気がふっ消えちゃって。
仕方が連れてくないからスマホも消して布団に先行してぼろぼろ震えながら辞めました。
なかなか綺羅星に夜闇が慣れなかったけど、翌朝は元気に起きれたんだ。
メモ:橘美躯 語り手:吉本愛里華
メモ:本部理理子 語り手:愛媛衣織
メモ:堀田深春 語り手:御被四葉