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妖怪の叙事詩  作者: 妖叙 九十
第二章 六界王
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第十七節 ローアンバーの惨事 後編

 頭が痛い、胸が痛い、腹が痛い、腕が痛い、足が痛い、筋肉が痛い。

 僕は誤解していた、リリーさんより恐ろしい人間なんて居ないと思っていた。よくよく考えればリリーさんは進んで暴力を振るおうとはしなかった。だがしかし、こいつは違う。こいつは。


「エノさん、もう今日はやめに……」

「なに言ってんのよ! 今日はこれからよ!」


 ケツを蹴られる。


 僕は結局、のこのこリリーさんたちの元へ戻り、エノさんによる王雅強化月間が始まった。死んだほうがマシだと思える訓練がもう三日も続けられている。筋トレに始まり、素振り、走りこみ、魔剣のコントロール、欠片眼(フラグメント・チップ)のコントロール。

 どうやら魔剣を身に着けている間だけ、僕には魔力が流れるようだ。よって、魔力のコントロール、魔術の練習、剣に魔力を流し続け固定させるなどといったわけのわからないものまでだ。


「これ続けていれば、氷界王に太刀打ちできるんでしょうか……」


 視界も霞み、意識も朦朧(もうろう)とする。体ももう限界だ、僕の汗で海が築けそうなほどだ。でも、それでも妻たちに会うためなら、その役に立つのなら、もうちょっとがんばれる。


「無理に決まってるじゃない。あんた氷界王をなんだと思ってるの?」


 夢も希望もねぇな。僕は腕立て伏せもできなくなり、原っぱへ倒れる。国内ではあるが、人気はない。


「なにって、氷界王でしょう。同じ人間ですよね」

「化け物よ、六界王すべてね。ラー、ドーグ、ハーケ、メディカル・ラン」


 僕がぶっ倒れるたびに治療魔術で回復させられて、また肉体をいじめろと命令される。しかし服は元には戻らない、水に浸した服のように着心地が悪い。


「オウガお兄ちゃん、がんばれー!」


 そのたびにテュプルさんが僕を励ましてくれる。ぶっ倒れるといつもテュプルさんのお白いおパンティーが見えるので、それはもう励まされる。お兄ちゃん呼びだ、最高だ。


「ずっと思ってたけど、あんた……テュプルをいやらしい目で見てない?」


 僕は誠実だ。


「見てます」


 だから真実を答えるのだ。


「殺すわよ」


 エノさんの腰につけられたいた片手剣が引き抜かれる。ショートソードって言うんだっけ、僕に向けているそれは。


「降参します」


 エノさんは鼻を鳴らして倒れている僕を蹴って、テュプルさんへ絡みつく。いやらしい手つきでテュプルさんを撫でまわす。


「大丈夫? テュプル」

「大丈夫って……なにもされてないもん。それよりエノ、暴力はだめだよ」

「そうですよ、むしろエノさんのほうがいやらしいですよ」


 ケツを踏みつけられる。


「ちょっと、エノ!」

「わかったわよ……ラー、ドーグ、ハーケ、メディカル・ラン」


 エノさんは気づいているのだろうか? 訓練中にかけられた治療魔術とエノさんによる暴力のあとにかけられた治療魔術、この回数がほぼ釣り合っていることに。もう、我慢ならないよ本当に。誠実なんてもうやめだ。

 ぶっ倒れたまま、エノさんの足を(つか)んでチェシャ猫のように口を引きつらせる。


「私までそういう目で見てるわけ!?」

「違いますし! 欠片眼(フラグメント・チップ)!」


 エノさんが一瞬、疑問を浮かべるような表情をし、その後すぐに焦りを走らせた。彼女は欠片眼(フラグメント・チップ)ができることを知っている。だからもうわかっているだろう、僕が弱みを、弱みを……なんだこれ。


「エノさん、テュプルさん……?」

「見たわね、見たわねぇ!」


 なんだその着替えを(のぞ)かれた女子みたいな反応は。とんでもないもの見せられた。弱みとなりえる、浮かびあがった映像は二つ。


「エノさん、風界王で、ですか?」

「バレちゃったね。もう隠さなくていいと思うと気が楽だよー」

「違うわよテュプル! ここで殺せると思うと気が楽、の間違えでしょ!?」


 テュプルさんが剣へと変わり、それを握るエノさんが風界王と呼ばれている映像。本当に風界王なのか、まさか風界王なのか、そのまさかなのか。風界王なのか。


「本当にすみませんでした、エノさん、テュプルさん。まさかお二人がそういう関係だとは思わずに……お似合いですよ、幸多き恋であることを願います」


 もう一つの映像は、夕暮れが花畑を彩る場所だった。花々に囲まれたエノさんが腰を屈め、テュプルさんにキスをしていた。

 二人が愛し合っているとは思わなかった。エノさんが暴力的な理由は、愛する彼女に欲情してる男が居たからだろう。本当に悪いことをした。これが逆の立場で、七愛や菫さんやアリスさんに悪い虫がついていたのを想像してみると、あぁもうギッタンギッタンにしたい! そんな奴はギッタンギッタンにしてやりたい!


「そうよね! わかってるわね、オウガ!」

「照れちゃうね」


 もうテュプルさんをそういう目で見るのはやめよう。二人をそういう目で見よう。二人のスキンシップを楽しもう。さあ、見せてくれ。


「じゃ、続きやりなさい」

「はい?」

「腕立て!」


 スパルタに変わりはないのか。


 蹴られることもなくなり、テュプルさんの応援とエノさんの治療魔術をかけられ続け、今日のメニューは終わった。いくら支援があれど、意識が飛ぶほど疲れる。


「明日からは依頼(リクエスト)と私との模擬戦も交えるわよ。もう風界王ってバレたんだから、もちろんその力も使うわ」

「ご冗談を」

「冗談はあんたの弱さよ、ここまで弱い奴見たことないくらいよ?」


 だから訓練してんだろ! 普通に日本で生きてきて、体を動かす部活をやっていたわけでも、仕事をやっていたわけでもない男なんて大体こんなもんだよ、僕はインドア派なんだよ。


「そんなことないよ、オウガさんだってどんどん強くなっていってるんだから!」


 エノさんに突っ込まれて、テュプルさんにフォローされながら向かっている先は、酒場だ。そこはリリーさんとの待ち合わせ場所であり、僕以外の三人が盛り上がる場所だ。

 なんだか三日目ともなると、寂しいものだ。僕も成人さえすれば飲める、それまで水で我慢しよう。なにも出てくるものは酒や水だけではないし。おいしい夕食とも言えないけども。


 人通りの多い道へ出ると、彼の背丈ほどはある大きな袋を背負った偽アレクトが居た。もうさすがに驚かないよ、気づかれないように放っておこう。贋金のことで頭に来ているだろうし、殺されかねない。いざとなったらエノさんに……って、僕はいつも人頼りだな、情けがない。

 そんなことを考えながら歩幅を小さくし、遠ざかっていく偽アレクトを眺める。


「どれだけ疲れてるのよ、ちゃんと歩きなさい」

「すみません、もう大丈夫です」


 人影に消えていく偽アレクトを見届けると、テュプルさんが僕のほうを見て爽やかに笑っていることに気づいた。


「どうしたんですか?」

「昨日と違って、まだ元気そうだね。エノ厳しいけど、明日も大丈夫?」

「ええ、僕も体力がついていってるのがわかりますよ。エノさんは厳しいですけどね」


 しかし、鍛えていたとしても僕が一人で居るところを偽アレクトに狙われたら、本当に死ねるぞ。この国に居るのは怖いな。せめて活動する地区だけでも変えなければ。酒場に着いたら、みんなに相談してみよう。


 しばらく歩いて、明るい酒場に入った。ムーリンの酒場は居酒屋のようだったが、ワインサインのほうはレストランのような印象だ。僕にとってはこっちのほうが居心地がいい。なによりも、ムーリンには居なかった吟遊詩人みたいな人が歌う叙事詩が面白い。なんというか、本場の雰囲気みたいなものがあり、引き込まれるのだ。内容の多くは雷神や六界王、聖女と魔女のことだが。たまに勇者や魔王の話、冒険者の話もある。


 腰掛けて酒を飲んでいるリリーさんを発見し、僕たちも席へ着く。さて、今日の遊びはどうしようか。

 エノさんに訓練をつけられた初めの日、酒場の代金をかけて勝負をした。その方法は、僕が提案したじゃんけん。どうやらこの世界ではじゃんけんは存在しないらしく、もっぱらコインの裏表を当てるゲームが用いられていたらしい。

 次の日、つまり昨日はじゃんけんにプラスしてあっち向いてホイだ。

 ちなみにこれは、チーム対抗で行われていて、僕がリリーチームであり、テュプルさんがエノチームに入っている。金の支払いは代表であるリリーさんかエノさんが行うのだ。


 そうでなくては博打なんて僕がするわけない。


「リリー、先に飲んでるんじゃないわよ……はい、乾杯」

「遅いからだろ」

「かんぱーい!」

「あ、乾杯です」


 まずい、早く考えなくては。うーむ、体を使うゲームもいいが、博打と言えばやはり、トランプだろう。でもトランプもこの世界にないみたいだしなぁ……いや、そんなもん欠片眼(フラグメント・チップ)で出せばいいのだ。トランプを使ってなんのゲームをやるのかだが、これもやはり博打といえばポーカーだ。

 よし、今日はポーカーにしよう。


欠片眼(フラグメント・チップ)

「いきなりどうしたのよ、オウガ」

「今日のゲームの準備をしようと思いまして」


 そのままトランプ一枚一枚をイメージしていく途中、なぜだかリリーさんに止められた。


「その前に、少しいいか?」

「……いいですけど」


 あとは絵札だけだったのに……もう、なんだろう。


「アタシは今日でこの都市を出る。エノ、あとは任せたぞ」

「わかったわ。次はどこへ行くの?」


 なに、勝手に話を進めないでよ。


「リリーさん、え? どこに行くんですか?」

「私が今それを聞いたんじゃない!」


 いや、そうだけど、驚いたんだよ。


「今までどおり、適当だな」

「そう、なんですか……てっきり僕は、このまま……いや、考えてみればそうですね。リリーさんにもリリーさんの事情があるでしょうし」


 そうか、これでもうリリーさんに会うこともなくなるかもしれないな。寂しい気もするが、止める理由も思い当たらない。彼女が無事に旅できるように、祈っておこう。


「で、オマエ誰だ?」


 僕のほうを見てリリーさんが普段と変わらぬ声で言った。えぇ、最後にそういう冗談言っちゃう? 酷くない?


 骨が粉々になりそうなほどの強い力で、肩を掴まれた。え、誰だ? お前誰だ?

 痛みに耐えながら、ゆっくり振り向くと、少年が居た。黒紅色の髪と憲法色の瞳が怒りに震えているように見えた。身長は僕より高いが、おそらく年下だろうなと想像がつく顔立ちだ。日本人……だよな、でもどことなくこっちの世界の人に似ている気がする。よく知った人物に……ローナさんに似ている?


 それはそうと、僕はなぜ彼に肩を掴まれて痛みに(もだ)えているのだろうか。一体なんの恨みがあるというんだ。なぜ日本人が居るんだ。


「テメェ、マーシャスをどこにやった?」


 少年がその言葉一つ一つを唱えるたびに、力が増していく。もう片方の拳を強く握り、今にも殴りかかってきそうだ。


「し、知りませんよ! 離してください! 誰か助けて、襲われる!」

「ふざけてんじゃねぇ!」


 悪い奴ではなさそうなのに、話は聞いてくれない。彼の拳が浮く。あぁ、怖いな。

 思わず僕は目を瞑って、衝撃に備える。


「オマエ、いい加減にしろよ。クソ常識ないな」


 リリーさん、それはあなたが言えることか……?

 おびえながら目を開くと、まず自分の足が震えているのがわかった。視線を上げると、僕の顔の真横に棒があった。パルチザン、だな。リリーさんは座ったまま少年へ向けている。物騒な。


「あの、どちらさまですか?」

「お前じゃないのか……? マーシャスをさらったのは」


 いや、君の名前を聞いてんだよ。どこぞの誰かわからないマーシャスさんなんて名前は聞いてないんだよ。

 しかし、人さらいか。犯人と僕を勘違いするあたり、いやその前にパルチザンどけろよ。僕が怖いんだよ。

 リリーさんへ目配せし、下げてもらう。これでは彼もまともに話をしてくれないだろう。


「人さらいがあったなんて僕は知りませんが、犯人はそんなに僕に似ているんですか?」

「いや……信じてもらえないと思うが、俺にはステータスが見えるんだ。少し目を離した隙に、ステータスが文字化けした奴に、マーシャスがさらわれるのを見たんだが……顔や服装までは見えなくて」


 リリーさんもエノさんもテュプルさんも『なに言ってんだお前』とでも言いたげな表情を浮かべているが、僕には彼の言っている意味がわかる。ゲームの中の話みたいだけども。

 で、なんで僕がさらったと思うわけだ?


「お前も……いや、あなたも文字化けしてるんですよ、ステータスが」

「僕じゃないですね。今日はずっとエノさんとテュプルさん……彼女たちと行動していたので。あとタメ口でいいですよ」


 エノさんとテュプルさんに視線を移しながら伝えると、少年も確認するように彼女たちを見た。エノさんが面倒そうに頷くと、少年も一応は納得したようであった。


「ほんっとーにすまん! じゃあ俺はこれで! ()びは必ずするよ」

「今日はどうやら、かけなくてもおごってくれる奴が居るらしいわね」

「エノ? どういうこと?」


 え、この場で金取んの? まったく鬼畜だなエノさん。


「私たちも手伝うわ。名前はマーシャスと言ったわね、特徴は?」

「マジで? 特徴はえっと、胸が小さいんだ! とりあえず胸が!」


 ギャグでやってんのか? てんぱってるだけか?


「いえ、そうではなく、特徴ですよ……胸が小さいなんて言ったらエノさんもそうですし」

「うっさいわね! ふざけてる場合じゃないでしょ!」


 ふざけてるのはこの少年のほうだよ。


「えっと、髪を片方でこう、結んでて、背も小さくて、灰色の髪なんだ」


 身振り手振りで伝えてくれるが、これだけの情報で見つかるのか? もっとこう、なんだろうなぁ。


「犯行現場は?」

「ここのすぐ近くの広場の、端だった。んで、路地裏に(つな)がる隙間から大きな袋にマーシャスを……俺は間に合わなくて、すぐに見失っちまって」


 この酒場に来るときに通った広場だろうか。で、大きな袋か。心当りはないなぁ。


 と、言いたいところだが、あるなぁ。


「非常に遺憾ながら、犯人に心当たりがあります。その犯人が向かった方向も」


 偽アレクト、君は王雅人生害虫ランキングで堂々の一位だよ。まったく邪魔ばかりする奴だよあいつは……本当、なにかの拍子に死んでくれてもいいくらいだよ。


「マジでか! 今すぐ連れていってくれ!」


 ひとまずはエノさんが代金を支払い、すぐに店を出る。ちらっと見ると、リリーさんがすんごく怒った表情をしていた、不本意なのだろうか。偽アレクトを見かけた方向へ、五人で走っていくと、おんぼろの家が並ぶ景色が見えてくる。スラムみたいなところだろうか、路地裏とも違う、嫌な雰囲気だ。住人らしき人々に睨まれてるしね。


「今、声、聞こえなかったか!?」


 聞こえなかったが?

 彼には聞こえたのだろうか、ていうか彼はなんという名前なのだろうか。僕を先頭にし走っていたが、ここからは彼を先頭した。声の聞こえた方向へ導いてもらうためだ。体力的な問題からか、僕が一番ケツになってしまったが。


 僕たちが向かっている方向に、生活観がまったくない家があった。そもそも扉が開くのかさえも怪しいくらい、つたがはりめぐらされており、まるで魔女が住む屋敷だ。気味悪いなぁ、入りたくないなぁ、などと思っても、少年が扉を開けてみんな入っていく。

 しょうがない、僕も入ろう。

 まだ太陽は落ちきっていないのに、ずいぶんと薄暗い空間だった。家のように見えたが、家具や仕切りもなく、倉庫みたいなところだ。


「マーシャス! 居るか!?」

「むー!」


 その端に、マーシャスさんらしき人物が居た。白い手足を縛られ、エレファントスキンの髪は乱れ、ストロベリーの瞳は涙で潤む。口も布で封じられているが、暴力を振るわれた形跡はない。たしかに幼女寄りの少女で胸も小さいな。


「マーシャス……ごめん、今すぐ解くから」


 しかし、偽アレクトはどこに……。


「あぁ、離してくださいよ……偽アレクト」

「全員動くんじゃねぇぜ?」


 今日は後ろからの奇襲が多いこと。背後から偽アレクトが現れ、腕を取られた。無理やり抜け出そうとすれば、腕を折られるだろう。そもそも首元に剣を添えられているし……本当に小便ちびりそうだ。


「離してくだしゃい……」


 僕の声はきわめて震えていた。恐怖だ。まさか僕が人質に取られるとは……。

 テュプルさんが剣になり、エノさんが握る。少年も背中へかけていた剣を引き抜き、リリーさんもパルチザンを構えた。


「レン……グ。お前が犯人か。その人をとっとと離さねぇと、殺すぞ」


 少年が小さな、だが穏やかではない声で発すると、彼の持つ剣の刃だけが分身した。なんだそりゃ。だけど偽アレクトも怯まない。むしろ手に力がこもっていってる。死にたくない、死にたくない。

 思わず涙ぐんでしまう。


「リリーひゃん……たちけて……」


 リリーさんと目を合わせて助けを請うが、ろれつも回らない。怖い。だが誰も動けない、動いたら僕が殺されるからだろう。本当に殺すぞこいつは、僕に対する恨みは半端じゃないはずだ。


「全員、武器を置きな」


 僕と偽アレクト以外の全員がその指示に従おうとする。いや、しっかりしろよ。


 しっかりしろよ、僕。


 この位置からじゃ瞳の輝きは気づかれない。そして彼はこの目を見たことはあるものの、能力までは知らないはずだ。

 なにも言わずに、欠片眼(フラグメント・チップ)を開く。偽アレクトの頭を目掛け、メタルキューブをイメージする。物質創造。

 本当に最高の能力だよ、この能力にいくら助けられてきたか。もう欠片などとは呼びたくないほどだ。


 鈍い音がした。僕の手を握る力が抜けていく。


「はい……これで一件落着、ですかね」


 偽アレクト、逮捕のときだ。

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