こんな終わりこそ俺達らしい
フランクさんが焼け跡から村正を見つけ出して、解体して数日がたった。
俺たちは元の平和な日々を過ごしていた。
エルス家は免税を勝ち取った。
ルクレスから聞いたところによると、アーネストはムナカタの最後を聞いて、「ざまあみろ」と大変喜んでいたそうだ。
ホルストは今回の一件で自分の不甲斐なさを感じたとかで、諸国放浪の旅に出ている。
フランクさんは、熊手のおかげで、ダンジョンに潜るたびに財宝を見つけ出し、ますます夫婦仲が良くなっていた。
今ではギルドの壁に何個もえびすのお面が飾ってある。
今日はアベルを工房に呼び出していた。
「アベル。作ってもらいたかった物ってなんなんだ?」
「いえ、自分活躍できなかったので。」
「まあ、そう言わずに。」
「いえ、ホントに大丈夫っす。自分に自信が持てたらまたお願いするので、そのときはお願いします。」
「そうか、そこまで言うなら仕方ないな。」
「はい。それじゃあ、失礼します。」
アベルはそういうと工房をあとにした。
「あら、何か落として行ったわよ。」
エリカは一枚の紙を拾う。
そこには指輪のデザインが書かれていた。
「ほう。なるほどなあ。」
「ふむふむ。これは人生の先輩としてひと肌脱いであげないとですなぁ。」
「まあ、アベルが依頼に来るまでに指輪の練習をしておいてやるか。」
「ふふふ。そうだね。」
久しぶりにいいニュースが聞けそうで俺達は思わず微笑み合う。
指輪のデザインには、内側に『ジョゼ』と書かれていた。
これで本当にこの物語は終わりです。
今まで本当にたくさんのご声援ありがとうございました。




