聖剣エクスカリバー
俺は街に着くと、すぐさま工房の扉を開けた。
工房の扉を勢いよく開けると、そこには掃除をしているエリカがいた。
「きゃっ!」
エリカは驚きのあまり尻餅をついて倒れた。
「おっと、すまない。」
「すまないじゃないわよ!音もなく工房に近づいていきなりドアを開けるんだもん!ホントびっくりしたわ!」
「ははは…。」
あんに早く走ったのに、エリカには俺の足音が聞こえていないのか。
ますますこの剣のことが気になった。
「そんなことよりエリカ!」
「そんなことってなによ!」
「この剣を鑑定してくれよ!頼むよ!」
そう言って俺は腰に差した剣を差し出す。
「どうしたのこれ?」
「親父の墓参りに行ったときに森で拾ったんだ。」
「拾った!?あんた何考えてるの!」
「いや、サーベルキャットに襲われて緊急事態だったんだよ。」
「えっ!ちょっとトウキ、怪我はないの?」
「ああ、大丈夫さ。この剣に付与された能力のおかげでね。」
「この剣そんなにすごいの?」
「ああ!すごなんてもんじゃない!きっとこの剣を作った人間は鍛冶屋の神様だ!な、エリカも気になるだろう?」
エリカはこうなってしまった幼馴染は歯止めがきかないことを知っていた。
仕方ないわねとばかりに肩をすくめる。
「貸しなさい。鑑定してあげる。」
そういうとエリカはトウキから剣を受け取ってから、鞘から抜き取る。
そして、エリカは固まった。
「どうしたの?」
「ここここここれ、これを、これを見なさいよ!」
そういって表示された鑑定結果を見せてくる。
【聖剣エクスカリバー】
攻撃力 9999
光属性
全ステータス強化(極大)
状態異常耐性(完全)
自動回復(極大)
切れ味保持(永久)
「は?」
俺は意味が分からなかった。
この世界では一般的なロングソードの攻撃力が80くらい、業物と呼ばれるものが攻撃力200といったところだ。
それが攻撃力9999だなんて異常どころの話ではない。
さらに付与されている能力がどれも目にしたことのないものだった。
だが、俺がサーベルキャットの群れを簡単に殲滅できたのもうなずける。
「これ!勇者が持っていたと言われている剣じゃない!あんたこんなのどうしたのよ!」
エリカは興奮しながら俺の襟をつかんでブンブンと前後に振り回す。
「お、おい!やめろ!森で拾ったって言ってるだろ!」
「こんなもん落ちてるわけないでしょ!」
「落ちてたんだよ!」
やはり、ここは勇者の産まれた街で間違いないと俺は思った。