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一話 「出会い」

この世界はどこかの世界から来た『魔女』という者が作り出した世界。通称アクノアス。

その魔女についても調べたことがある。我々と同じで人間に似ている存在を持つが、魔女もまた人間であることに変わりない。直立二足歩行で食べるなどの生物機能はもちろんのこと、話すや火を使うなど他の生物にはなかなか出来ないことをやれてるのは人間と同じである。ただ違うのは人間とは違い不可思議な能力や才能を使用することである。そしてそれを人間たちは気味悪がって拒むことになった。そのせいで起きたのが通称『魔女狩り』という行いである。

この世界を作ったのは誰なのだろうか、私はそれをいつも考えている。そのことは今日行った図書館の本にも記載されていなかった。


「……ともあき……友明!!」

「へい」


私が考え事をしていることに腹が立ったのか、目の前にいる女性は怒って言う。


「ちゃんとしなさい。入学式なんだから」


そう、私は今日魔級学校の入学式だった。年齢は十五、六歳から入れる学校だ。それまで低魔級学校という学校に入らなくてはならない。現在、妹もそこにいる。ただどちらの学校も複数の学校を持っている。だいたい多くの学校は前に校長の名前が付いている。『波多野魔級学校はたのまきゅうがっこう』のように。

私は母親に言われるがままにちゃんとする。そして『教室案内一覧表』というのを見る。


(えっと……自分のクラスは……)


「あった」

「みっけ」


二つの男女の言葉が同時に重なる。真横にいた彼女はポニーテールといわれる髪型で私に舌を出して先に入ってくる。黒いゴムがなんともシンプルでいい、と私は思いながら昇降口から入っていく。

自分の専用の下駄箱で靴を履き替えた後、冷えた廊下を歩くと『一年D組』と書かれた看板をぶら下げた教室が見えてきた。


「ここか……」


私は教室の扉を開けたが、変な者を見た気がするので一旦閉めた。

そしてまた開けると女子が涙ぐんでいた。


「君もここだったのか……はは……」


本気で笑う感じのない笑い声で誤魔化そうとしたが、そうはいかなかった。そこにいたのは先ほど横にいたポニーテールの女の子だった。


「何よ。いきなり閉めることないじゃない」

「ごめん……」


私は軽くお辞儀して謝罪した。


「……黒河夏海」

「えっ?今なんて?」

「何でもない!!……バカ」


彼女は廊下を歩き、トイレに向かう。年頃の女の子は扱いが難しいものだ。私はライトボートで映し出された名前が書いてある自分の席に座る。光合板ライトボートは快魔の一種で指示出しや案内役などを手助けとする光でできた板とそこで示す物である。

そして私は頭の中で思った。


(さっきの子があんな感じなら妹もいずれは……。「お兄さんとは関わりたくないです」とか言われるのかなぁ……)


「ねぇ、あなた。あの子に言い過ぎたんじゃないの。心折れてるわよ、アレ」

「知らないわよ。そこまでひどいこと言ったつもりはないわ」

「……ならいいけど」


ポニーテールの女の子と近くにいた女の子が私について話している。

私はそんなことをお構いなしに妹の妄想に苦しんでいた。

時間はあっという間に流れ、先生が教室に入ってきた。


「私の名は風丘だ。下の名前はめんどくさいから今度教えよう。それよりもだ、お前たち。今日からよろしくな」


スーツ姿の男性はにこやかに笑う。


「めんどくさいけど自己紹介するか。めんどくさいけど……じゃあ、君からこんな感じでよろしく。めんどくさいけど」


私はこの人の口癖は『めんどくさい』ということが今判明した。そして前の人から一列順に紹介し、後ろに行ったら真横に行き後ろから前へと自己紹介のサイクルで紹介していく。そして二つ前にいるポニーテールの女の子が自己紹介をする。


「私は黒河夏海です。快魔は得意なのでこの学校で極めていきたいと思います」


ふーん、夏海というのか。

そして私の出番が来た。


「日出友明と言います。得意な魔法はありません。本を読むのは好きです。そして私は父親を探してます」

「めんどくさっ」


今まで口を開けずにみんなの自己紹介を聞いていた前に立っている先生は私にだけそう言った。私の父親は幼い頃に姿を消して以来、会ったことはない。

私たちは自己紹介を無事済ませ、入学式に出席した。波多野校長先生から長い話を永遠と聞かされる。

そして教室に戻るなり、先生はこう言った。


「めんどくさいのはなしだ。魔法というのはどんな魔法でも使い方によっては危険を伴う。だから気をつけろ。めんどくさいのは俺は嫌いだからな。これを受け取って帰れ。めんどくさいから今日は終わりだ」


私は先生の快魔の一種である飛躍手紙フライペーパーによって渡されていく。

そして挨拶をし、それぞれ帰ろうとした。


「じゃあ、夏海。また明日な」


私はそう言って教室を出た。彼女の顔がほんのり赤くなったのを見ずに……。

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