表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の召喚~勇者が進む道~  作者: 小宇羅
王都騒乱
1/9

プロローグ

 とある伝説を話そう。

 昔々、人間の国と魔国がある世界。魔国の魔王が人間の国へ侵攻を行なっていた。人間達は魔王の侵攻の激しさに次第に追い詰められていった。

 逆転のための苦肉の策として、人間の国の王族達は召喚を行なった。その世界に勇者が現れたのである。勇者は圧倒的な力で魔国の侵攻を押し返し、ついに魔王との戦闘にこぎつけた。


 赤茶色の荒野、雲がかかった暗い空、淀んだ空気。その全てが不穏な空気を漂わせた場所。そこで勇者と魔王の最後の決戦が行われている。

 時には剣、時には魔法で。永遠とも思われるほどの長い時間、彼らは争っていた。

 しかし、終わりの時は訪れる。


「これで……終わりだ。魔王……」


 魔王の体を勇者の剣が貫いていた。しかし、反対に勇者の体も貫かれていた。


「これで終わり……か。残念……だな。もっと……」


 同時に二人は力尽きていく。


「悪い。俺も死んじまった。まあ許してくれよな……」


 こうしてこの伝説は幕を閉じた。


ーーーーーーーーーーーーーーー



 勇者が次に目を覚ましたのは死者の国でも天国でも地獄でもない。装飾は施されている華やかなベッドの上だった。彼は事態が飲み込めずしばらく周りを見渡していた。なぜ自分は死なずにこんな場所で寝ていたのか。その疑問に答えたのは女性の声だった。


「目が覚めましたか?」


 彼が声がした方向を見ると、そこには金髪の上品そうな雰囲気を纏った女性が立っていた。


「あなたは召喚されたのです。私はこの国の王女です。詳しい事情は王が……」


 それを聞いた瞬間、男は俯いた。その目はどこか悲しそうであった。生きていたことの嬉しさなどなかったかのように。

 しばらくして、顔を上げた時にはまた、無表情と思えるような感情の読み取りずらい顔に戻っていた。


「いや、もういい。」

「え?」


 元勇者は淡々といった。


「そこから先は大体理解してる。」

「え? 理解してるってどういうことなのですか?」

「ちょっと実体験があるだけだ。」

「実体験? ちょっと、勇者様! なんでもう立ち上がろうとしてるんですか!?」


 振り返った男はなぜ立ってはいけないのかと面倒臭そうに尋ねた。


「あなたは召喚された時、ひどい傷を負っていたんですよ!? 死んでいてもおかしくなかったと聞いていたんです……!」

「じゃあ、俺はなんで生きてる? あんたらが魔法でもかけてくれたってことか?」


 王女は頷いてそれを肯定した。それを見た彼は少し、考え込んだ。


「分かった。助けてもらったんだ。話だけは聞こう。」


 彼はそう返事を返し、ため息をつきながらベッドの上に腰かけた。


 


 ーーそう、こうして彼、元勇者「影田優介(カゲタユウスケ)」は再び別の世界へと召喚された。新たな伝説の幕開けである。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ