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めばえ
気が付けば、黒い靄が立ち込めている中を歩いていた。
視界は手元を把握するくらいしかできない程だ。だが、だんだんと開けていくのが分かる。
いつの間にか、前方を先導するそれは、時折振り返りながら言葉をよこした。
「ほらほら 足元を御覧なさい。そこにはよく見る【瓦礫】だよ。触ったところで特に何も起こりはしない。さぁさぁもっと奥へ行こう。」
言われて視線を向けた足元には、こちらを観察するような目の集合体のようだった。
息を呑んだ。これが、【瓦礫】。
好奇心がむき出しになったようなその【瓦礫】は、こちらに近づくことはなく漂っている。何もしないと言われたが…形容が悍ましい。
その【瓦礫】からは早々に目を離し、誘うままへ進んだ。
黒い靄は視界の端にちらつく程度に薄れてきた。