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第十五話『お姫様だっこ』

「グオォォォォォ」

ミニドラゴンがもう一度吠え、ここから逃げようとしている。


「そうはさせないよ!まずはこれからだ!」

と言いながら僕は、ミニドラゴンに向かって手を伸ばした。


そして僕はスキルを発動した。


---


「ケンジ、何をする気なの!?」

と美少女剣士のユカは僕に聞いた。

自信満々に謎の行動を繰り返す僕にたいして、彼女は素直に聞いていた。

時間がない僕は、説明より速く行動に移した。


「こうするんだ!!」

と言いながら僕はスキルを発動させた。


『炎弾 - ファイヤーバレット』


ゴオォォォォォ


っと炎の弾が僕の手から放たれた。

僕の体が光に包まれて

そして、ドラゴンに・・・


『当たった!!』


「よし、やった」

と僕は言った。


コントロールに自信はなかったが、相手が弱っているのと、的が大きいのが良い方に作用した。

綺麗にミニドラゴンの顔に当たった。


「グオォォォォォ」

と、ミニドラゴンが唸りながらフラフラと揺れる。

今にも逃げ出しそうだったミニドラゴンは僕を睨む。


「すごい!でも、まだ足りない、倒すには足りないわ!」

と、美少女剣士のユカが言う。

そう、ユカ、クラスの剣戟が必要だ。

僕の『炎弾 - ファイヤーバレット』では足りない。


でもそれは『わかって』いた。


「そう、『高度を下げた』んだ」

僕は言う。


僕の目的は『炎弾 - ファイヤーバレット』で倒すことではなく、『炎弾 - ファイヤーバレット』で逃げるのをやめさせること、こちらを向かせる事、高度を下げる事だった


そして、それはおもったよりもうまくいった。


「トドメは僕が刺すんじゃない、ユカがやるんだ!」

と僕が言う。

そう、そのための準備がしっかり整ったのだ。

流れは完全にこちらに来ている。


「でも、高度が下がっても、あの高さじゃまだ届かないわ!」

とユカが言う。

そう、ユカにジャンプ力があると言っても、流石にあの高さまでは届かない。


そう、一人では届かない!


「わかってる!だからこうするんだ」

と言って、ユカのそばに立つ。

そして、グッと行動する。

ユカを抱きかかえた。


「え?え?」

とユカは言う。

そして抱きかかえられて、目の前にある僕の顔に向かって言う。彼女はその状況を理解した。


『お姫様だっこ』だと言うことに。


「ちょ!ケンジなに!!なんでお姫さまだっこしてるの??この非常時に!!」

とユカがいきなり抱きかかえた僕に講義する。

まぁそれはそうだ。

年頃の美少女にいきなりやっていい行為ではない。


「非常時だからだよ!」

と、僕が言う。

今、ミニドラゴンを倒すために必要なのはこれだからだから。

これがうまく行ってから、しっかり怒られることにしよう。


「ユカを、ミニドラゴンに攻撃できるところまで連れて行く!!」

そう言って僕はスキルを発動させた!


「え!?」

とユカは驚く。


「よし、行くよ!!」

と僕は言った。

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