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第十二話『戦況』

「行くわ!」

と、カチッとスイッチを入れて、彼女の持つ大砲に光が集まり、魔法が飛び出した!凄まじい光と音と共に、魔弾砲から発射された。そっと、視線をそらしてしまう程のエネルギー。


「こ、これは・・・!!」

僕は呟いた。


そう、あたりが焼け野原になるほどの炎が放たれたのだった。


---


「すごい・・・なんだこれ・・・」

と、僕はその光景を見てつぶやく。

おっとりお姉さんのハルカの大砲、魔弾砲から放たれた光は激しい炎に変換されて、ミニドラゴンを含むあたり一面を焼け野原に変えていた。


「ね、見たらわかったでしょ!炎の魔弾ね」

と、一緒に見ていた美少女剣士のユカが教えてくれた。

彼女は魔弾砲が放たれる前に見ればわかると教えてくれていた。


「これが、魔弾砲・・・すごい威力だ、無敵じゃないか」

と僕はつぶやく。

そう、僕も『炎弾 - ファイヤーバレット』という炎を放つスキルを持っているが、それとは威力がケタ違いだ。

魔弾砲はまさに大砲という感じの威力を持っていた。


「そういうわけでもないわ、今回みたいに、相手の姿勢を崩してからじゃないとなかなか、当てるのは難しい」

と、ユカが続ける。

いきなり大砲を放つのではなく、最初にユカが斬撃を繰り出したのにはそういう理由があるようだった。


「たしかに、そうかもしれない・・・」

と、僕は考える。

相手が襲いかかってくるときに当てるのは難しいそうだと思った。ちゃんとそういう問題を解決した戦い方なのだ。

ほんとに役割としての大砲なのだ。細かい動きが必要なときに当てるのは難しい。


すると、魔弾砲による煙の量が減ってきていた。


「やったか・・・?」

と、僕が煙の先を目を凝らして見る。

そして、さらに良く見て気がつく・・・


「いや、まだ、生きてる・・・」

と僕は煙の中に見えてくる影を見て言った。


ユカの剣による斬撃

シズクの斧による斬撃

ハルカの魔弾砲による砲撃


この三つを持ってしてもまだ倒しきれないミニドラゴン。

ミニという単語に似合わないほどの強敵だった。


「ほら・・・やっぱりいきなり強い敵と戦いすぎなんだよ・・・」

と、僕はこの敵を選んだ、美少女剣士のユカに言う。


「うん、その話はあとでゆっくり聞くわ!」

とユカが言って続ける。



そう、戦況が変わっていた。


そして、ユカは大きな声で言う。

「まずいわ、逃げるつもりよ!!」

そう、ミニドラゴンが両翼で自分を守る態勢に変わっていた。


「ほんとだ、いままでとモーションが違う・・・」

僕もつぶやく、いままでは、僕らを倒そうという姿勢が見えた。主に最初に斬りかかってきていた、ユカに向かって。


だけど今は違う・・・。


「完全にガードに切り替えている」

と僕は続ける。

一度耐えて次の行動に集中しているものの動きだ。


そして


ミニドラゴンはバァァァァッと大きく翼を広げる。


「まずい!飛んで逃げるつもりだ!」

と僕はその様子を見て叫んだ。

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