ぼっち、危うい
僕はぼっちだ。絶対ぼっちだ。誰が見てもぼっちだ。
でも、僕だって好きでぼっちになった訳じゃない。友達作りという競争に負けたんだ。そうさ、負け犬だよ。でも、今はこの状況に心地良さを感じている。
ぼっち、最高。
―――――――――――
日戸利学園、僕、 佐藤 人利 が通うこの学校は、部活動が大変盛んな学校だ。
野球部もサッカー部もバレー部などなど全国大会常連だ。部活動を大切にしているがゆえに、この学校は部活動に必ず入部することが決められている。これを知った時には絶望したよ。でも、そんな学校でも、部活を作る事は簡単にできたんだ。部員1人でも顧問の先生を見つければ部活作れたんだよ、知った時には、ハハ、笑っちゃったよ。 それで作ったんだ。
[ぼっち部]を。
どういう活動するかって?これがまたこの学校、こういうとこも緩いんだよ。意味がわかんないよね。とりあえず部活に在籍してればいいんだってさ。
でもまあ、最終下校時刻まで部室にはいないといけないから、今部室にいるけど
コンコン
ん、来客?珍しいな
ガチャッ
「失礼します、あの~入部希望なんですけど、、、」
コイツ、
バカか?
ここは[ぼっち部]だぞ。ぼっちっていうのは1人って事だ。入れるわけないだろ。絶対に認めるものか。
まあ、まずは優しく
「あの、なんでこんな部活に?」
「恥ずかしながら私もぼっちでして、、、」
恥ずかしいってなんだよ、ぼっちにプライド持てよ。
「それで、ぼっち仲間が欲しいなぁなんて、、、」
いやぼっち仲間ってなんだよ。聞いた事ねぇよ。初耳だよ、初耳。ぼっちが仲間を作ったらもうぼっちじゃないんだよ。
まあ、それでも優しく
「あの、お名前は。」
「君と同じクラスだよ。1年3組 佐野 少太。」
「佐野?もしかして、席は、、、」
「人利君の後ろだよ。」
全然知らなかった。
「あの、、ごめん。」
「いや、いいよ、僕も影薄いからねぇ。」
失礼な事をしてしまった。くそっ、追い返しにくくなった。
「あの、まあ、入ってください。」
「そうですか!失礼します。」
「まあ、何かお話しましょう。」
それからどれだけ話をしただろうか。最終下校時刻までしゃべって、家が近所だったものだから帰り道もしゃべったな。少太君はアニメが好きだったんだ。僕と同じ趣味を持ってたんだ。気があったんだ。
いつぶりだろう、こんなに家族以外の人とこんなにしゃべったのは。
でも、なんでこんなにしゃべってしまったんだ?僕はぼっちだ。登下校も1人、クラスでも1人、それがぼっちだ。
じゃあなんで?いや、本当は自分でもわかってる。
それは
楽しかったからだ。