巻ノ一 鬼
この物語は対象年齢5歳以上です。全ての漢字にはふりがなが振られています。(執筆中)
伝奇×SF!少年と鬼のヒミツの伝承!ヒミツ道具&異星人の交流!
その城は気付いた時には僕の目の前にあり、日常の風景に存在していた。不思議な城に誘われて中に入った僕は、奇妙な虎と出会う。
伝奇とは、実在する伝承に見られる幻想を扱った物語のことである。
鬼ごっことは、何かを追い、何かに追われるものだ。だから僕は、ずっと何かを追い、何かに追われている。僕の人生は、鬼ごっこだ。
1
友達を追いかけて城の周りをぐるぐる回っていた。目が回った。目が回ったような気がしたんだ。友達は見つからず夕暮れになった。だから僕は泣いた。うそ、泣いてはいない。
「カーッ」
カラスが城の上で鳴いている。泣いている。いや、鳴いてない。とにかく僕は家に帰ることにした。カラスが鳴いたし、夕暮れだから。暗いから。暗くなったら帰るでしょ。
「おいでよ、どうぶつのもり」
なんだろう。変な声がした。僕は声のした方を振り向く。誰もいない。誰もいないぞ。フフフと笑い声がしてポンと肩を叩かれた。びっくりして振り向く。誰もいない。誰もいないぞ。
「おにさんこちら、てのなるほうへ」
パンパンと音がした。黒い子供のような影。かげ。闇。黒く闇が渦巻いている。角が生えている。おに。鬼。オニだ。おになのかあれは。鬼。オニだ。
ケケケと笑い声がしてその黒い鬼は指を差した。しろ。城。城を差している。なんだろう。城に何かあるのだろうか。ケケケ。ケケケ。鬼は何も答えない。
「なんだ、誘っているのか」
ハハハ。鬼は腹を抱えながら笑った。ハハハ。ハハハ。そして消えた。黒い鬼は笑いながら消えた。後には帽子が落ちていた。
「友達の帽子だ」
2
家に帰ると友達の家から電話があった。
「ねえぼく君、家のタケシしらない?」
知らない。何も知らない。わかりません。わかりません。僕は何も知りません。
「わかりません」
「そう、ありがとうね」
3
4月になって僕は中学生になった。近所の学校にバスで通うことになった。
「春花です。趣味はピアノです」
席に座った彼女を見た。細い子だった。髪が長くて、背筋が良かった。桃色のリボンがアクセントになっている。春が似合いそうな子だった。
「ぼくです。よろしくお願いします」
前に立つと緊張して頭が真っ白だった。
「奇森です。森を守っています。嘘です」
楽しそうな男の子だった。髪が青がかって、瞳が薄い緑色をしていた。指が細くて長かった。耳が尖っている。森に住むエルフのようだった。
次の授業は社会だった。
「さてみなさん、この町にある大きな建物がなにか知っていますか」
先生は黒板に大きな絵を貼り、指を差した。
執筆中
SFとは、科学的な空想のことである。